第3話殺し屋キルとリリムの一日 その一アジトでの保護申請

「ただ、いま・・・・・・」

「ただいまーって、何、それ?」

キルがアジトに帰って来ると、キルがリリムを連れてることについて受付のライアがジト目で反応した。

キルがあたふた言葉を詰まらせている間にリリムが満面の笑みで「パパはパパなの~!」と言った瞬間、バン!銃口が飛んできた。


「な、何、するんだ・・・・!?」

「あんた、ついに尻尾をだしたね?殺し屋の基本は恋人や家族は作らない。基本でしょ?それをアンタは・・・・・」

「こ、この子は、金塊病の廃村から助けて・・・・」

「金塊病?あ、ホントだ。身体のあちこちが金塊化してる。こりゃますます処分しなきゃいけなくなるな━━━━━殺すよ」

「!!」

「へえ。キル、あんた殺るってのかい?確かにあたいは遠距離戦ではあんたに勝てないけど。この狭い室内ではあたいのナイフが上手だよ」

「それでも、撃つ!」

「望むところよ!」

今まさに、二人が交わろうとしたその瞬間。

うぇんうぇんとリリムが泣き出して。

二人は武器をしまった。



「で、どうすんのよ?このガキ。私たちだけじゃ判断しかねないけど?」

「うっ・・・・・。あまりの可愛さについ、連れてきた」

「そんな手見上げ寄こされてもね?あたいらは誘拐犯じゃないし。この子の命を守るなんて、出来ると思う?」

確かにその通りだ。彼らはあくまで殺し屋であって、保護機関でもない。

即ち、ここにこの子がいる意味が無いということである。

「まあ、金塊病に関しては裏市場で治療薬が作られてるし。あとは手回しして安全な機関にでも預けるこった。それがこの子のためだよ」

「・・・・・・」

「パパ?お顔、とぉ~ても暗いけど。大丈夫?」

「あ、うん・・・・・・リリム。短い間だった、けど。ここでお別れ━━━━━━」

「それなら問題ないわよ?」

突然、そんな声が聞こえてくる。

とても声の透き通った女性の声が。

「ボス!?」

「あっ、ライアさんも一緒だね。なら話が早いわね」

「どう、いうこと、ですか?」

「それがね?ここの施設━━━━━表向きは冒険者の仕事案内や相談所として運営しているでしょ?あなた達もよく手伝ってるから分かると思うけど。そのお客様の多くからお子さんを預かってくれる場所はないかってよく言われてたのよ。だから、丁度良い機会だし。子供の保育所も設けたいな~って」

『・・・・・・え、え~~~!?』

「一件落着、だね♪」



        

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