仮想(ヴァーチャル)泥棒ゲーム

作者 葛西京介

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★★★ Excellent!!!

 鍵開けは趣味だが金庫の中にあるお宝や大金には興味がない変わり者の泥棒アーティー・ナイトは、ある夜、建物に忍び込んだところを警備員に見つかり射殺されてしまう。不思議な空間で目覚め、創造者と名乗る人物と出会ったアーティーは自分の命をかけた『泥棒ゲーム』に挑むことに。

 ゲームの参加者は仮想世界のどこかにあるお宝を盗み出す。制限時間は7日間。同じお宝を狙うライバルを出し抜き、7つのステージでお宝を手に入れてクリアすれば死の運命を覆せる。ただし連続で失敗すればあの世行き。

 舞台となる仮想世界は現実と見紛うリアリティだが、あくまでもゲーム。ターゲットのお宝には必ず隠された裏設定があり、創造者が用意したシナリオを紐解いて攻略のヒントやフラグを集めなければ獲得できないというのがミソだ。

 ステージ内を隅々まで調査し、NPCから噂を聞き込み、真相を解明していく物語は好奇心をかきたて、まさに謎解きミステリーのようだ。

 どんなときも飄々としたアーティーがピンチにも冷静に機転を利かせて切り抜けていくスリルもたまらない。海外ドラマやハリウッド映画が好きな人にオススメしたい。


(「注目の自主企画から選んだ作品」4選/文=愛咲優詩)