ステージ#18:Game Day

#18:Game Day-2066年1月10日(日)

「ウィーク18エイティーン、最後に残った1試合、タイタンズアットジャガーズは第4クォーター残り2分55秒。タイタンズが33ヤードのFGフィールドゴールを決めて3点追加、27対21とリードを広げました。タイタンズのキッカークロスビーのキックオフはタッチバックになりました。これからジャガーズの攻撃オフェンスが始まります。勝った方がワイルドカード2位、プレーオフの権利を得ます。今シーズン、逆転勝ちの多いジャガーズが、また逆転を成し遂げるでしょうか。それともタイタンズが抑えきるでしょうか。

 試合開始からの流れを振り返ると、先制したのはジャガーズ。これはウィークワン以来ということでした。キッカーベルデンの47ヤードFGフィールドゴール。しかし続く攻撃でタイタンズがQBクォーターバックケーヒルからWRワイドレシーヴァーランドール・ブラウンへのTDタッチダウンパスを通して逆転。さらにRBランニングバックウィリーのTDタッチダウンランで突き放しました。その後、両チームFGフィールドゴールを1本ずつ決めて、17対6で前半を終えました。

 後半、先に点を取ったのはタイタンズ。第3クォーター残り3分18秒、ケーヒルからTEタイトエンドカニンガムへのパスでした。これで24対6とリードを広げましたが、ここからジャガーズが反撃を開始。RBランニングバックモスの42ヤード独走TDタッチダウンで7点を返すと、第4クォーターに入ってQBクォーターバックナイトからエースレシーバー、ドーキンズへの32ヤードTDタッチダウンで追い上げます。ツーポイントコンバージョンを成功させて、24対21の3点差。

 そして先ほどタイタンズのFGフィールドゴールで27対21となりました。沢内さん、いいゲームになりましたね」

「そうですね。今シーズン、ジャガーズが土壇場から追い付くというのを何度も見ましたんで、後半に入って点差が広がっても、『ああ、まだ大丈夫、大丈夫』と……いや私じゃないですよ。スタジアムや中継でご覧のジャガーズファンは、そう思って見てたんじゃないでしょうか」

QBクォーターバックナイトは先発、リリーフ含め9試合に出場していますが、そのうち8試合で第4クォーターに逆転勝ちを収めています」

「とてつもない勝負強さですね」

「さあ、ジャガーズ自陣25ヤードからの攻撃です。最初はショットガン隊形。レシーバーを右に二人、左に一人。RBモスがモーションで左に出ました。QBクォーターバックナイトから右に短いパス。WRワイドレシーヴァーキース・ジャクソンに通りました。ランアフターキャッチで7ヤードのゲイン。急ぎます。ジャガーズはノーハドルですぐに攻撃を始めるでしょうか」

「いいと思いますね。ジャガーズとしては残り時間を全部使い切ってTDタッチダウンで逆転というのがベストのシナリオですが、なるべく早めにFGフィールドゴールレンジまで入っておこうと考えていると思います。タイムアウトが3回残ってますので、無理してTDタッチダウンを獲らなくても、まずFGフィールドゴール、そして次のタイタンズの攻撃でタイムアウトを全部使って止めて、もう一度FGフィールドゴールで同点、オーバータイムで逆転ということも考えられますから」

「またショットガン隊形。レシーバーを右に二人、左に一人。すぐにスナップが出ました。QBクォーターバックは左を見ている。投げました。通りません。時計が止まります。残り2分29秒。あっと反則か?」

WRワイドレシーヴァーのドーキンズがアピールしていますね。フラッグ出ました」

守備ディフェンスのパスインターフェアーでしょうか。そうですね。CBコーナーバックシャラマンが反則を取られました。その地点まで進んで1stファーストダウンになります」

「レシーバーの前に入ったんですが、その時に押したと判定されましたね。でもこれはいいと思います。これくらい積極的に行っても。ディープゾーンはしっかり守っていますから、サイドライン際のパスを誘っておいて、インターセプトを狙うというのも一つの考え方ですから」

「タイタンズは後半、守備ディフェンスの反則が増えています。自陣32ヤードからジャガーズ1stファーストダウン。またショットガン隊形で、今度はTEタイトエンドを入れずに、右にレシーバーを3人、左に一人。ジャガーズはタイタンズ守備ディフェンスの逆を突いて、縦に長いパスを狙うというのはありますか?」

「ミドルレンジは考えられますね。DBディフェンスバックを奥に連れて行って、LBラインバッカーとの間を狙うパスです」

「おっとここでホイッスルです。攻撃オフェンスのフォルススタートでしょうか」

「ダレイマスですね。もったいない」

「5ヤード下がって1stファーストダウン15ヤード。長いパスが必要な状況になりました」

「そうするとやはりミドルレンジを狙うことになると思いますね。あるいは10ヤード前後のパスを投げて、ランアフターキャッチで距離を伸ばすというのも考えられます」

「さあ、仕切り直しです。隊形フォーメーションは先ほどと同じ。QBクォーターバックはスナップを受けて、少し下がってから短いパス。しかしこれはすぐに止められました。ノーゲイン」

「急いだ方がいいですね。時計がどんどん回ってしまいます。ツーミニッツワーニングで止まりますけど、それまでにもう1プレイやって、3rdサードダウンでショートの状況を作った方がいいです」

「ノーハドルで始めます。ツーミニッツまで残り5秒、4秒、始めました。早いタイミングのパス。左へ、通りました。WRワイドレシーヴァーナイキスト。5ヤードほどのゲインでしょうか。ここでツーミニッツワーニング。自陣32ヤードで3rdサードダウン10ヤード。難しい状況が残りました」

「ジャガーズとしては10ヤードを2回で獲ってあくまでもTDタッチダウンを狙うのか、それとも諦めていったんタイタンズに攻撃権を渡して、3回で止めて取り戻すか。どちらを選択するのか。タイタンズの守備ディフェンス1stファーストダウンを獲らせないよう、42ヤード付近にディフェンダーを集めてきますから、パスが通ったとして、1stファーストダウンが獲れずに1ヤードなり2ヤードなり残ったときにジャガーズはどうするのか、ということです。それくらいだと4thフォースダウンギャンブルで勝負に行くこともあると思いますが、3ヤード、4ヤード残るとリスクが大きいですから」

「それではここで、AFCのプレイオフ進出チームを確認しておきましょう。この試合の他は全て終わっています。各カンファレンスの1位と、その他のチームのうち勝率の高い2チームがワイルドカードとしてプレイオフに進むことができます。シード1位がバッファロー・ビルズ、2位クリーブランド・ブラウンズ、3位ロサンゼルス・チャージャーズ、4位ヒューストン・テキサンズ、そしてワイルドカードでノースのニューヨーク・ジェッツ、あと1チームが、今対戦しているジャガーズとタイタンズの勝者ということになっています」

「ビルズとブラウンズは予想どおり強かったですね。チャージャーズは意外でした。私はAFCウェストはレイダーズを予想していたんですが、思わぬ混戦になりました」

「開幕時点ではレイダーズとそれに対抗するチーフスという予想でしたが、両チームとも中盤にエースQBクォーターバックを失ったのが大きかったですね」

「サウスも混戦ながらテキサンズが最後に頭一つ抜けるだろう、という予想が多かったんですが、これほどの混戦にしたのはやはりジャガーズの活躍でしょう。QBクォーターバックがナイトで6人目ですか。それまでボロボロだったのに、何とか立て直してワイルドカード争いをするところまで来ましたから」

「今日の他試合の結果で、一つでも勝敗が入れ替わっていたら、ジャガーズもタイタンズもプレーオフはなかったという状況ですから」

「勝率が他のチームと並ぶと、直接対決の結果とか、カンファレンス内の勝率とか、共通する対戦相手の勝率とか、いろんな条件によって順位を決めるんですが、それが全部この2チームのいい方に転がりましたね。しかもタイタンズは勝つと9勝7敗でジャガーズと勝率が並んで、直接対決も1勝1敗になるので、その他の条件によって順位が上、ということになるらしいです。ややこしすぎます」

「NFCも見ておきましょう。シード1位がダラス・カウボーイズ、以下デトロイト・ライオンズ、アリゾナ・カージナルス、タンパベイ・バッカニアーズ、フィラデルフィア・イーグルス、サンフランシスコ・49ersフォーティーナイナーズとなっています」

「ダラスが強いでしょうね。レギュラーシーズン16勝0敗。スーパーボウル初の3連覇に加えて、今年はパーフェクトシーズンなるか、と注目されています」

「さあ、ツーミニッツワーニングが明けました。改めまして、3rdサード10テン。ジャガーズは1stファーストダウンを獲得して攻撃を継続できるか。タイタンズは止めきれるか。大きなダウンです。ショットガン隊形。レシーバーは右に3人、左に一人。大きく広げた隊形です。タイタンズはブリッツを仕掛けるでしょうか。スナップと同時にブリッツが入った!」

「6人入りましたよ!」

「ナイトはかわして、ステップアップして、奥を狙う! 右のサイドライン際、ドーキンズ! 捕ったか? いやパス失敗!」

「フラッグ! フラッグが出ました。インターフェアか、その前にホールディングか」

「これはジャガーズ助かりましたか? 守備ディフェンスパスインターフェア!」

QBクォーターバック、ぎりぎりでしたね。腰の辺りを掴まれてると思うんですが」

「右のサイドライン際、競り合いになっていましたが、キャッチの瞬間、CBコーナーバッククレイマーの左手がドーキンズのジャージを掴んでいました。これはさすがにインターフェアが取られます。敵陣に大きく入って、38ヤード地点から1stファーストダウン。時計も止まって残り時間1分52秒です」

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