ステージ#4:終了
#4:バックステージ
「ステージの結果について、クリエイターからのコメントをお伝えします」
あまりよくない傾向だと思うが、
「今回のステージは特に広範囲であり、かつ調査すべき項目も例外的なものであったが、調査方法が極めて粗雑であり、必要最低限にも満たない情報しか収集できていない。特にホーエンブルク・アム・シュヴァーベンゼーとリッツェル島における調査は極めて不十分であり、キー・パーソンズからの情報収集も不完全である。ターゲットを確保できたのは他の
今回はどんな評価を受けても文句が言えない。“極めて”という言葉が何度も出てきたのはショックが大きいが、おおむね自覚している。そして指摘されたとおり、ターゲットが確保できたのは偶然の産物だ。ただ、天才のハーレイ氏でも最後の最後までターゲットが何か、どうすれば手に入るかに気付かなかったのに、俺みたいな凡人は“必然的に”偶然に頼らざるを得ないじゃないか、というくらいの言い訳はしたい。
「先ほどのステージに対する質問を受け付けます」
「今回のターゲットは、二人以上が入手できる可能性があったんじゃないか?」
退出前に訊いて却下された質問なので、もう一度訊いておく。
「ありません」
即答だな。だったら、あの時答えてくてりゃよかったのに。まあ、そうなったら追加で質問するんだけどさ。
「しかし、例えば俺ともう一人の
「ターゲットの
なるほど。オリンピックの“友情のメダル”のように二人で半分ずつ分けるわけにはいかないということか。
「
「お答えできません。未回収のシナリオの内容については言及できません」
ああ、やっぱりね。でも、俺以外の
「俺はターゲットを“盗む”ために色々と調べていたんだが、今回は結局盗むんじゃなかった。その目的を明らかにせずにステージを開始したのは不親切じゃないか?」
「ターゲットがあなたに授与されるまでに、盗むことが可能な時間帯がありました。情報を適切に収集していれば、その時間が発生することも推論可能でした」
イーデルシュタインから王女の館まで頸飾を運んでくる間ってことか。何ともピンポイントな。2時間しかないだろ。いや、ローラ・シュローダーが王女の使いを襲ったりせず、地下トンネルで潜んでいれば、それができた可能性もあるか。
「しかし、それには王女の性格を読み切っている必要があるな」
「ステージ内にはそれを推論するための十分なヒントがありました」
やっぱりあちこちで王女のエピソードを調べるべきだったんだな。それと、勲章が授与される条件か。きっととんでもない前例があったんだろう。王女のお転婆な性格はきっと遺伝だから、過去に同じような破天荒な王女がいたんだろうさ。
「結局、王女の脚の病気は治るのか?」
「お答えできません」
「丘の城の地下室の鍵をぶっ壊したのはローラ・シュローダーだったのか?」
「お答えできません」
「彼女は単独の
「お答えできません」
「マリーとルドルフの恋のストーリーに続きはあったのか?」
「お答えできません」
「レッティンゲルから他にどんな情報が聞き出せたんだ?」
「お答えできません」
「湖底トンネルが掘られたのは何年前なんだ?」
「お答えできません」
うん、全部答えてもらえないのは解ってる。だが、何となくまだ次のステージに行きたくなくて、時間を稼いでいるだけだ。次のステージは、どうにも自信がない。今までのやり方を根底から改めないとターゲットを手に入れられないような気がしている。ステージを終える前に、ハーレイ氏にカウンセリングをしてもらえばよかったな。
「他に質問がなければ、次のステージに移ります」
わざと何も答えなかった。これも時間稼ぎの一つだ。10秒ほどが経過し、再び
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