第704話 ばっちり目が合ってしまった
ミロスラーフの娘と言う、どう見てもばあさんな、こう言っては何だが棺桶に半分入っているような、つまり死相がはっきりと出ていて死を待つばかりにみえる年寄りが目の前にいたからねえ、恐る恐るその顔を見てしまったよ。
するとそのばあさん(本当は若いらしい)、私の気配を察したのかいきなり目をパチッと開けてね。
つまりそう、私とばっちり目が合ってしまったのだよ、ははは・・・・
つうか笑えねえ!
つまりこのばあさん、もとい娘さんの目は死んではいなかった。
何かを訴えかけているけれど、もはや言葉を発する事が出来ない・・・・そんな状態で尚生きようとその目は凛々と輝いている。
だけどもう寿命だな、残念だけど。
しかしもう残りわずかな命を削って、その娘さんは手を動かし、私と掴んだので驚いたよ。
何かを言訴えているけれど私にはわからない。
すまんね。
【ようこそお越しくださいました白河小次郎様。】
【おや?念話とかかい?】
【そう思って下さって結構です。最後に貴方と相まみえ思い残す事はございません。】
【いやちょっと待ってよ会っていきなりそれはないよ。】
【申し訳ありませんが、あと数分の命です。】
うわ!もう死ぬとか本人分っているのか!
こういう時はどうすれば?
【珠を使えばいいのでは?】
あ、そうだった。今も頭の中には離れていても和佳と和澄の念話みたいのが頭に入ってくる。
因みに和佳と和澄もミロスラーフと対面してから一言も喋っていない。
特に和佳は目の前にいる巫女?と同様、若しくは近い能力持ちだ。
そ、そうだ!珠を使おうそうしよう!
デアちゃんとあんな事やこんな事を沢山したから珠は沢山ある。
【私がしてあげるよ。】
珠を取り出したら和澄が珠を手にし・・・・彼女達は精霊だから、実体化しても珠の影響がない?
いやいやそうじゃない。既に珠の影響を、恩恵を受けているんだ。
実体化したのも半ばこの珠のせいだろう。
そしてあろう事か和澄は実体化していた身体を元の姿に、つまり精霊を見る事が出来ない人にはその姿が見えない状態になっちゃって・・・・って何をするんだ?
【和澄いけません。おやめなさい!】
和佳が和澄に警告を発するけれど手遅れ。
【お姉さま今までありがとう。そしてマスター、私幸せでした・・・・】
【おい何を言っているんだ!】
そのまま珠と共に和澄は横たわる娘の中へ消えてしまった・・・・
【和澄!どうしてそんな事をするんだ!】
私が珠を手にしそのまま娘さんに押し付けるだけじゃ駄目だったんか?
そして暫くすると・・・・ばあさんだった姿はみるみる変化し、気付けば20代と思われる女性が晴れやかな顔をしてベッドで寝息を立てていた・・・・
【ただいま。】
【和澄おかえりなさい。】
・・・・私の心配をよそに和澄は無事戻って来た。
【お、おかえり・・・・】
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