第703話 巫女

「・・・・まあこの後はずっと捕らわれて、いいように使われてしまったのですがね。但しこちらも悟られぬよう抵抗はしていたのですが。」


 ミロスラーフは元勇者。

 それ故邪神に抵抗し、最悪は免れた。


 だが5年もの間、邪神に拘束され捕らわれていた。

 そう、口田士門に助けられるまでは。


「あの邪神は私も色々思う所があるので、隔離していますよ。口田君はその辺り少々甘いのでね。」

 何をしたかって?


 私だけが出入りできる亜空間にご案内しただけなんだよ?

 こう言っては何だけど、既に私も神の能力を手にしちゃっているから、リアレプトが如何に邪神であろうと亜空間からの脱出は自力では無理、たぶん。

 そしてもうおっちゃんはねえ、あの亜空間の入り口を封印しちゃったんだよねえ。今頃亜空間が何処にあるのやら。


 おおそうだ、それよりミロスラーフの娘さんだ。予知できるんだったっけ?でも体の具合が悪いんだろう?


「その話はこれぐらいにして、君の娘さんがいる所へ案内してよ。」


 因みにミロスラーフとその息子クサーヴァーは、我妻アルフォンシーナとアメリータの手により回復し、体調も万全のはず。


「先に言っておきますが、娘の姿は酷いものです。恐らくもういくばくかの命でしょう。」

 言っている意味が分からないな。


「もしかして死にかけている?」

「見ようによってはそうかもしれません。娘には申し訳ないと思っていますが、娘自身の強い意志でこうなりましたから。」


「なあ、よくわからんのだけどさ、もしかしてあんたの娘さんって、予知するのに寿命とか自身の命そのものを代償にしちゃっている?」

「そうかもしれません。娘は予知をする度に弱まっていきました。それが回復する事はありません。」

「まあいいや。一応アルフォンシーナとアメリータにも来てもらおう。一寸待ってて。」

 兎に角話をしに行こう。会わない事にはわからないからね。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「自身の寿命と引き換えに予知、ですか?」

「うんそうなんだ、多分だけど。」


 おっちゃん今はこういった事にかんして、詳しいと思われるアルフォンシーナへ聞いてみたんだけど。

「強い力には対価が必要かもしれません。それが寿命でしょうか?私は聞いた事がありません。通常魔力で事足りますから。ですが気になります。アメリータも同行させましょう。万が一呪いでしたらアメリータの方が適任ですし。」

 そしてアメリータと言えば、

「寿命が・・・・呪いかもしれませんね。もしくは禁呪ですか?」

「なあアメリータ、禁呪って何?」

「神の決めた理から外れた人には過ぎた術です。」

 うわ、おっちゃんもはや神だからさ、どうなの?


「よくわからんね・・・・まあ一度会おう。じゃあ2人とも頼むよ。」


 こうしてアルフォンシーナ、そしてアメリータと共に、ミロスラーフの娘と会う事に。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 船で行けばあっという間。

 もう着いたんだけどさ、で、会ったんだけど・・・・

 まだ生きていた。

 ただ・・・・老衰?

 どう見ても死にかけの100歳を超えてそうなばあさんが寝てた。

「これでも私の娘です。」

 これでもって。

 一体何歳か知らないけど、女性に年齢を聞くのは失礼なんだよ?


 まあ色々試して回復できるなら回復させてあげたいな。

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