第702話 2人に待ち受けていた事態とは
クサーヴァーは、父であるミロスラーフへ事の次第を伝えに向かったのだが、この時クサーヴァーをじっと見つめる怪しげな視線に気が付かなかった。
否、魔王の首が飛び、その後シラカワ侯爵の静観と妻達の喜びをじっと見続ける視線に誰も気が付けなかった。
邪神リアレプトである。
【ノエミ嬢の因子を追っておったが、やここにきてようやく手掛かりがつかめた!吾輩大手柄!デアとかいう娘の力で復活したのか?もう少し・・・・お、
・・・・
・・・
・・
・
ミロスラーフは意外と近い場所にいた。
ミロスラーフの目的は魔王の討伐。
しかも復活させないように、である。
しかしミロスラーフは今回自身の能力を明一杯引き出したせいで、今は殆ど身体を動かす事ができないほど魔力を使い果たしてしまっていた。
そんな折、息子が戻って来た。
「父上!ついにシラカワ侯爵が魔王を討ちました!」
「そうか、ついにやったか。しかしまた復活しても困るな。しかしクサーヴァー、お前にも苦労を掛けたな。」
「いえ!これも一族の悲願ですから!」
「今後はシラカワ氏が魔王をどう始末するかだが・・・・む!何奴!!」
ミロスラーフはクサーヴァーの背後に何やら不吉な気配を感じ、戦闘態勢に。
『ほう!吾輩の気配を察するとは、其の方・・・・いやいい。吾輩今は機嫌がよいのだ。今なら其の方の情報だけでよい。さあ我に従がうのだ!』
リアレプトは2人の前に姿を現す。
「ついに姿を現したか。以前から貴様はシラカワ氏にいらぬちょっかいを出していたようだが、もういいのか?」
『あの冴えないおっさんの事を言っておるのか?あれはどうでもいいのだ。吾輩ノエミ嬢に用があってな。今回ノエミ嬢の部下の気配をようやく見つけたのだ。うはははは!!!!』
成程シラカワ氏に執拗にちょっかいを出していたのはこういう事か。
だが目の前のリアレプトというのはパッとしない外観とは裏腹にどす黒いオーラを放っている。
これには勝てない。
だが自身もクサーヴァーも今は魔力が殆どなく、満身創痍。逃げ切る事も厳しいが争って生き残る確率は万に一つもない。
【クサーヴァー、合図をしたらすぐに逃げろ。俺も逃げる。】
【ね、念話?父上どういう事ですか?】
【あれには俺では勝てぬ。3・・・・2・・・・1・・・・今だ!】
ミロスラーフはできうる限り急ぎリアレプトから離れる。
クサーヴァーも父であるミロスラーフを見倣い離れようとするも、
『遅い遅い!神たる吾輩から逃げられると思っておるのか?』
一瞬にして追いつかれ、2人は気が付けば吹き飛ばされていた。
『弱い弱い。』
そう言いつつリアレプトは2人の頭を鷲掴みにし、持ち上げる。
「うぐ!!!」
「い、痛い!!!!」
2人は苦痛に顔をゆがめる。
そこでミロスラーフは何とかズボンのポケットに手を突っ込み、何やら金色の玉を取り出す。
「これでも・・・・くらえ!」
ミロスラーフは手にした玉をリアレプトの顔に当てる事に成功する。
但しリアレプトはこんな事では一切のダメージを負わない。だが・・・・
『一体何を吾輩のかおに・・・・ってうわあああ!!!!』
リアレプトは2人を放り投げた。
『なんて物を吾輩の顔のぶつけたのだ・・・・くさいくさい!辛抱たまらん!こうなれば元女神ちゃんを犯すしかない。いや駄目だ珠が手に入らなくなる!!!それより早く穢れを取らねば!何故吾輩がオークの睾丸に触れねばならぬのだ!しかも顔にだ!!くそ!お前ら覚えておけよ!!!』
ミロスラーフが咄嗟に投げたのは、オークの睾丸だった。
妊娠薬の原料となる貴重なアイテム。
そしてリアレプトの心根は腐りきっており、睾丸をぶつければ何らかの事態の変化が見込まれた故の行動。
2人は助かった・・・・
とこの時は思っていたのだが、2人とも既に頭に魔道具を仕込まれ、この後5年にわたりリアレプトに追われる事になる。
そして捕獲されその後5年にわたり、リアレプトに頭の中を調べ尽くされてしまい、口田士門に救出されるまでずっと拘束されたままだった・・・・
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