第661話 勇者ヨーリスと転生者ライナス その5

ヨーリスとライナスは先行して目的地に向かっていた。




此の先に教会があるという。


道はここしかないので、行けば必ず分かるらしいので、2人は先を急いでいた。




クサーヴァーがああ言った以上、自分達2人は先に到着し、全員の手続きを済ませておかねば・・・・後で何を言われるか、わかったものじゃない。




「あいつに任せていいのか?」




ライナスはヨーリスにそう聞いてみる。




「しかしライナス、あいつはああいったら頑として譲らないしなあ。俺達よりも賢そうだが・・・・なんだろうな、あの鼻にかけたような、取ってつけたような態度。」




「やっぱりそう思うか?なんだか違和感があるが・・・・なんだろうなあれは。あいつの持って生まれた性格か?どうやらパーティの知恵袋、司令塔、そんな風に自分を思っているようだしさ、時々『何も考えず、俺にしたがっとけばいいんだよ!』なんて言いやがるし・・・・」




「だけどまあ、今まであいつの指摘した事は間違ってはなかったんだよね・・・・」




2人ともクサーヴァーをあまりよく思っていない。


彼は自分達と違い、ある程度経ってから孤児院にやって来た。


なので孤児院の連中は、クサーヴァーとはあまり親しくなっていない・・・・




そして暫くして2人は教会へたどり着いた。


もう見た目でわかるその建物。


ここは・・・・併設してギルドがある?




田舎ではよくあるようで、一つの建物に色んな機能がある。




「ここか・・・・早速入るか。」


「そうだな・・・・ぼーっと突っ立ってても仕方ないし。」




丁度その頃、2人は知らなかったが、現勇者とパーティメンバーの一人がギルドへアイテムの換金に向かっていた・・・・さらにその後を聖女と言われてる女性とその娘が追いかけている事ももちろん知らなかった・・・・




・・・・


・・・


・・







「ようこそ・・・・教会ですね?」




受付の女性が対応をしてくれている。


「あ、その、15になったので、ここに来るように言われました。」




ヨーリスがそう受け応える。


「はい、今はその時期ですからね。5年に一度、集中するんですよ。」




今は赤の月。


この赤い空が出現すると、暫くの間教会で手続きをすると、よい結果が得られるそうだ。


「ええとこの後仲間もすぐ来るんです。」


「何人でしょうか?」




「僕らを含め7名です。」


「わかりました。ではカードをご用意いたしますが・・・・そこのプレートに手をかざして下さいね。」




そう言われ、ヨーリスは従う。


受付の女性が何やら操作をし、


「はい、完了ですね。カードをお渡しします。説明は・・・・皆さんの手続きが終わりましたら、全員で致しますから。暫く奥の椅子で腰かけてお待ち下さいね。あ・・・・では次の人、どうぞ。」




次はライナス。


「ではここに手をかざして下さいね。」




「はい、こうですか?」


「ええそうですよ・・・・はい終わりました。カードをどうぞ。」




ライナスもカードを受け取ったが・・・・




この時周囲に異変が起こった。




なにやら轟音がしたと思ったら、建物の屋根が壊れ、何かが落ちてきたのだ。


そして運悪く、ライナスの所にその何かが向かって・・・・何が起こったか理解しないまま、ライナスはその何かにぶつかり、吹き飛んでしまう。


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