第662話 勇者ヨーリスと転生者ライナス その6


その何かは丸い珠の様で、玄関に転がっていく。

もう建物中の人が大騒ぎ。

建物のあちこちが破損し、何やら木材があちこちに飛び散っているからだ。


「いてて・・・・なんだったんだ?」

ライナスは何とか立ち上がる。

「あ、あれなんだ?」

ヨーリスはライナスと少し離れていたので、見えていたが、ライナスに何かがぶつかったようだ、しかもこの建物の天井を突き破って・・・・



そして玄関に転がるのを見ていて・・・・


その時丁度誰かが入ってきて・・・・

「なんだ?うっせーな!」


そう言いながら男2人は・・・・そのうち一人は足元に転がってきた珠を踏んでしまい、

見事にすっ転んだ。


「うぎゃあ!・・・・っていってええ!なんだ?なんで俺様こけたんだ?」


「うははは!なんともない所でコケるとは、勇者よ、お前もなかなか才能があるな!」


ヨーリスはその珠を追いかけていたので、ちょうど目の前にはこけた立派な姿をしている男性がいた。

なので、つい起き上がってもらおうと手を差し伸べた。

「あ、あの大丈夫ですか?」

「あ・・・・ああ?何だてめえ!てめえかこの珠を仕込んだ奴は・・・・まあいい・・・・」


そう言ってヨーリスの手を握り起き上がる男性。

そして・・・・

「てめえ面白い事やってくれるじゃないか!ああ?そうだろイディオ!」

「勇者が男の手を握ってるとか・・・・ついにそっちの趣味になったか?」

「あほいえ・・・・てめえ勇者様をこんな目に合わせたんだ、わかってるよな?」


その瞬間、ヨーリスは吹き飛んだ。そして・・・・しまった・・・・ついスキルを発動させてしまった・・・・


本来は相手の了承を得てからスキルを発動するヨーリスだが、今回相手の手を握った状態で強い衝撃を受け、強制的にスキルが働いてしまったのだ・・・・


そしてライナスが駆け寄ってくる。

「ヨーリス!」

「いや・・・・僕は問題ない・・・・それよりあの・・・・」


ライナスは勇者に駆け寄った。


「ちょっと!事情も聞かずに何でいきなり殴るんですか!」


すると今度はもう一人の方が・・・・

「おうにーちゃん、誰にモノ言ってんだかわかってんのか?」


そう言ってイディオと呼ばれたもう1人がライナスを吹き飛ばす。


「ふん・・・・なんだかむしゃくしゃしてきたぞ!こうなったら・・・・娼館へ行くか!」

「お!いいな!行くか?」


「oo!逝くze!」

「なんだ勇者調子が出てきたじゃねえか!」


「この後アルフォンシーナがここにやってくるらしいからよ!その後はあいつとお楽しみって寸法さ!」


「いいなあ!俺の趣味じゃないからなあ聖女様は・・・・娘もあんなだしなあ・・・・」


そんな事を言いつつ去っていく2人。


「おいライナス大丈夫か?」

「あ・・・・ああ・・・・なんだったんだ?」

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