第641話 悩む遼太郎

「じゃあその、精霊ってどんなのなの?」

・・・・逆にどんなの想像してるんだ?

【和佳、姿を現してくれないか?】


【よろしいのですか?いきなり私達が出現しますと驚きますわ?ご子息様には一言お断りをした方がよろしいのでは?】


ご尤もな御意見でございます、和佳さん。

【それと、私はその、ご子息様にどう映りましょう?】


【それは分からないかな・・・・まあ、一度遼太郎には伝えるから、そうしたら現れて?】


「遼太郎、父さんな、今精霊を連れているんだ。そして、その精霊は成人女性の姿になる事が出来てね、あ、今いる精霊は女性なんだ、だから成人女性の姿になるんだけどさ・・・・」


「え?精霊ってほら、これぐらいのちっこい奴じゃないの?ほら、何だっけ▲プリのアニメ・・・・アリエ◇ティだっけ?あんなぐらいの大きさじゃないの?後羽があったり・・・・」


「遼太郎、それは多分精霊じゃなく、妖精だな、フェアリーだ。精霊はね、普段は目に見えないんだけど、条件が揃えば顕在化するんだよ。じゃあいいか?精霊をここに呼ぶから。」


「お・・・・おおう?」


よくわかってないね、遼太郎・・・・


で、そんな事を話ていたら・・・・

千亜希が戻ってきた。

「あれ?お父さんどうしたの?珍しいね?」


「おかえり千亜希、学校はどうなんだい?」


「学校って・・・・大学院なんだってば。なかなか難しいよ?」

「そうか・・・・父さん高校までしか行ってないからさ、よくわからないんだよ。」

「そうだっけ?お母さんが大卒?」


「そうそう、そうなんだ・・・・」


「へえ・・・・って遼太郎、どうしたのそんな顔しちゃって?さてはまた振られたな?」


「うっせえ姉貴!いいだろ別に!」


「まあいいんだけどさ・・・・くれぐれも結婚してないのに、高校生なのに相手を孕ませた!とかならないようにね?」


そう言って・・・・いてええ!

「ちょ!脛痛い!地味に痛いんだよ脛!なんで千亜希いきなり父さん蹴るんだよ?」


「・・・・また向こうで女増えたでしょ?」


「うぐ・・・・だってさ・・・・あっちじゃ父さん貴族なんだよ?家臣はもっと子を作れって毎日追及してくるしさ・・・・あ、そうだ、今からね、精霊を遼太郎に見てもらうんだ。千亜希も見るか?」


「精霊?見るって何?」

「ああ、条件が揃えばね、人間の姿になって姿を現してくれるんだよ。」


「へえ・・・・で、その女の人・・・・精霊が新たな奥さんなわけ?」


「・・・・どうしてわかった?」


「はあ・・・・まあいいけど、さ、出してちょうだい?」


「じゃあ遼太郎、千亜希、今から精霊が姿を現すから・・・・和佳、出てきてくれ。」


【わかりました・・・・】


暫くすると、そこには人の姿の和佳が現れた。


「うわ・・・・っておやじなんだよこの超絶美人な女性、これが精霊なの?」


遼太郎は和佳の顔を食い入るように見ている。

そして千亜希が・・・・

「きゃあ!すごい!すごい綺麗・・・・私もこんなになりたい・・・・」


・・・・すまん千亜希、お前の背の低さは父さんの祖母の血なんだよ。

母も、母の妹もみな背が低かったんだよ・・・・女は。

そしてさらにその娘・・・・つまりおっさんの従姉妹、女は皆150センチなかったんだよ・・・・例外なく。

さらにその娘・・・・悉く150センチないんだよ。

何で?って思うけど。

で、男の方は皆普通に背が高い奴もいれば、父さんみたいに背の低いのもいるんだよ・・・・何故かわからんけど。

でもいいじゃないか、女は背が低くてもさ・・・・

あ、その肝心の祖母だけど、がっちりしていて、あ、太ってるんじゃなくてね、骨が太いというか・・・・そして、背が高かったよ・・・・170センチ近かったんじゃないかな?

なのに親戚一同は何故あの婆さんの家系の女はみな背が低い??ってなるんだよ。


「皆さま初めまして。和佳と申します。」


「きゃあ!かっこいい!ね、お姉さまと呼んでいい?」


・・・・どうした千亜希?

「ええと・・・・お好きなように呼んでいただいてよろしいですわ、千亜希様。」

「その呼び方駄目!ああ・・・・この年になって素敵なお姉さんが・・・・」


・・・・そうか、千亜希には年の離れた弟、遼太郎がいるけど、お姉さんも欲しかったんだな・・・・だけどごめんよ、父さんの最初の子が千亜希だからさ・・・・

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