第605話 セアリアス帝国の鞘

さて、皇帝の専用の剣を・・・・と思ったら、キラスとキウスから待ったがかかった。


「アークマスター、お待ち下さい。」


うん?


「私達の鞘に精霊がおりません。」


へ?


「そうでしたわマスター。先に渡してしまったので失念していましたが、鞘にも精霊が宿れますよ?魔石が仕込んでありますので、魔力切れも問題ないでしょう。」




・・・・そうなんか?


「という事だ。ほれさっさと出す!」


「・・・・この精霊以外にもさらに増えるのか?」


「時の皇帝を守護してくれるんだ。ありがたく宿ってもらえよ。」


「・・・・それとは別に、俺様専用剣もあるんだな?」


「ああ、ツンデレ精霊とかどうだ?」


「なんだそのつんでれ”とは?」


「普段はつんつん・・・・とがってるが、二人っきりになればデレるってやつだな。そのギャップに世の男どもはメロメロってなもんさ。」


「・・・・よくわからんな。」


「そうか?おっさんの周りにもそういやいないな・・・・まあいいや。和佳、適当なのチョイスして?」


「おいこらマテや!仮にも帝国の守護なんだろ?何適当なんだよ!」


「まあ皇帝陛下。適当と言いましても、私の良いようにという意味ですわ。」


「・・・・あんたも精霊か?」


「さようでございますわ、皇帝陛下。現在シラカワ公爵の扱う精霊は、私が管理しております。ですので、私にお任せ下されば、間違いはないかと思われますわ。」


「・・・・俺様の剣は兎に角、この二振りの剣はずっとセアリアス帝国を守るんだろ?鞘は何だ?」


「鞘に宿る精霊は主に防御を司ります。皇帝個人もそうですが、国に対しての防御も多少の効果が見込めますわ。」


「じゃあこの剣自体は何だ?」


「降りかかる火の粉を払いのけてくれますわ。」




「・・・・よくわからんが・・・・なんとなくわかる。この際だ、まとめて頼む!」


「わかりました。では・・・・キラスとキウス、こちらへ・・・・」


鞘に収まったまま運んできたよ。


「これに関してはマスターのみでよろしいでしょう・・・・マスター、剣・・・・鞘を。」




「持てばいいのか?」


「お願いいたします。」




おっさんが持つと・・・・何やら激しく光りだす。そして・・・・暫く色が変化したが、収まった。




「精霊が宿りました。キラスとキウスとは違う属性になります。それでは・・・・マスター、皇帝陛下用の剣をお取りくださいまし。」


「あ、わかった・・・・」


おっさん剣を手に取り・・・・そうは言っても鞘を持ってるんだけどね。


「では皇帝陛下、剣を手にお取りくださいまし。くれぐれもシラカワ公爵から剣を奪う事のなきよう、2人で持っていてくださいまし。」


「さっきのロニーたちのようにすりゃあいいんだろ?」


「はい・・・・それと、皇帝陛下の頭の中を少し覗かせていただきます・・・・どのような女性がよろしいか頭に思い浮かべていただきますと、ようございます。」


「わかった・・・・」




・・・・


・・・・


・・・・


・・・・




「終わりましたわ。仮宿になじめば、顕在化しますので・・・・」


さあ帰るか・・・・というかここおっさんの領地の温泉だったっけ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る