第438話 G『やあ!』

ダンジョンに入ろうとしていると・・・

何やら子供と大人が揉めている。


揉めているというか、子供と大人が言い合ってる?


様子を見ていると・・・


大人が、子供のカバンを取り上げ、中身を出している?何やってるんだ?


「ガキが勝手しやがって!ここは俺らの縄張りなんだよ!勝手に果物採ってくんな!」


「え?ダンジョンは誰のものでもないじゃないか!しかも誰かの物なら、それは領主さまのだよ!」



「は!ここにその領主さまがやって来るのか?今まで一度だって見に来てねえじゃねえか!ならばと俺様が管理してやってるんじゃねえか!」


「そんな勝手許されないよ!」


・・・見たくないもん見てしまった・・・・


おっさん気配を消して、子供のうちの一人に接近、こっそり話しかける。


「なあ、あれ何かな?」


びくっとする子供のうちの一人。


「おじさん誰?気が付かなかったけど・・・・」


「まあ、本当はおっさんが管理しないといけなかったんだよね・・・・で、あの阿呆は何者?」


「僕たち小さい連中から、ああやって果物巻き上げてるの。」


「・・・・君のも渡す必要あるの?」


「うん・・・・」


・・・・これは考えものだな。あ、いい事考えた。


「ねえ・・・・それおっさんが買い取ってあげよう。金貨一枚でどう?」


「え?金貨?いえいえそこまで高くないよ?」


「ああ、カバンも欲しんだよ。カバンも含め、その値段でどうだい?」


すると・・・・


「ねえ姉ちゃん、このおじさん、金貨一枚でこのカバンごと全部買いたいって。」


するとそのお姉ちゃんと言われた女の子は・・・・


「え?どういう・・・・っておじさん何?」


「はは・・・まあいいじゃないか、どうだい、そのかばん、譲ってくれないかい?」


「でも・・・・カバンが無いと・・・」


「あ、そうか、なら別のをあげるよ。これだけど・・・」


おっさん適当にカバンを一つ取り出して、渡す。


「いいんですか?」


「ああ、ちょっとね・・・・それおっさんが以前使ってたお古だけど、そんなのでいいなら使って。」


そしておっさん、さっと中身を入れ替え・・・というか、果物は渡したカバンに入れてあげたんだよ。


「ちょっと待ってて・・・・」


おっさん少し離れた場所へ行き・・・・


『やあ!』


おっさん久しぶりにGと対面したよ。


「すまないけどね、仲間とカバンに入っていてほしいんだ。袋が空いたらあの大きい奴に挨拶してほしいんだよ。」


『わかってるぜ旦那!』


何故かそう言った気がします。


で、仲間と共に・・・


カサカサカサカサカサカサ

カサカサカサカサカサカサ

カサカサカサカサカサカサ


袋にかなりのGが入っていきます。


「すまないね。あとでこの辺りに餌置いておくから、勤めが終わったら食べてね。」


おっさんGにお礼を言いつつ、カバンを子供に渡す。


「蓋を開けちゃあいけないよ。で、あの阿呆にカバンごと渡すんだ。」


おっさん戻ってさっきの子供にそう言う。


「このカバンは、終わったら改めて渡すから、あいつに取り上げられたくないだろ?」


そう言うと・・・


「おい!そこのガキ!てめえもさっさと出せよ。」


「あ、カバンごと渡してあげて。」


「うんおじさん・・・」


その子は言われたように渡す。


「あ?カバンごとか?きったねえカバンだが・・・・まあいい、中身入れ替える手間が省けるってなもんだ。あ、これで全部か、サッサと消えちまえ!」


あろう事かあの阿呆は子供を蹴り飛ばし追い返しています。


・・・・ああ云った輩には、一度痛い目に合ってもらわないとね。


さて・・・どうなる事やら?

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