第339話 ミスリル

気が付けば夜叉の国でひと月ほど過ごしてたおっさん。

だって・・・・温泉があるんだもん・・・・


おっさん、温泉大好きでね。

旅行に出かける時は必ず温泉がある宿に泊まる事にしていて。


で、十六夜たちが暮らしてる所に温泉が湧いていてね。

これはもう満喫するしかないでしょ!ってなもんで、気が付けばひと月経ってたってわけ。

流石にこんなに長期で館を放っておくわけにもいかず、渋々帰る事にしたよ。

あー、でも美女たちを残して帰るのもなんだかな・・・・

赤ちゃんめっちゃ可愛いし!


・・・・

・・・

・・


久しぶりに帰ってきた館だけど、早速ジスラン君から報告が。

「侯爵さま、ブレット・カルダー男爵より報告が上がっております。」


うん?誰だっけ?・・・・・・・・

あ、そうだ、金鉱管理してくれてるんだっけ。

「えーもしかしてもう金が尽きたとか?」

「いえ、それはあり得ません。そうではなく、どうやら隣の山から微量ながらも貴重な金属が存在しているようなのです。」

「何その金属って?」

「ミスリルです。」

おー!あるんかこの異世界には。

「えー何そのミスリルは?」

「侯爵さま御存知では?侯爵さまが打った剣の素材ですよ。」

げ!そう言えば鉄にしては何か違うなーとか思ってたんだよね。

「あの鍛冶職人なんちゅう物寄こすんだよ。」

「普通の鉄では侯爵さまの打った剣のような魔術の属性を組みこむ事ができませんからね。」

「じゃあおっさんの打った剣のあの能力はミスリルに由来してるって事か?」

「半分は素材ですが、半分は打った侯爵さまのスキルのおかげでしょう。」


・・・・

・・・

・・


ジスラン君と話している間にブレット・カルダー男爵がやってきた。


「侯爵さまお久しぶりです。」

「おー久しぶりだね!ミスリルを見つけたって?」

「それほど埋蔵量があるようには思えませんが、剣の10本や20本は作れる量だと思うのでござりまする!」


興奮してるのか相変わらず変な言い回しだ。

「ほう!そではいいな!大丈夫なら早速掘っちゃおう!」

「あ、先ずは現地を見てほしいのですけれど・・・・」

「もしかして危険な場所なのかい?」

「いえ、そういう訳ではないんですが、実は侯爵さまが従えてるフェンリルの巣だった所の付近なので・・・・」

「ああ、フェンリルの巣をどうにかしないと、って?おいフェンリル、どうなんだ?」

地面からフェンリルがぬっとあらわれて

『我の住処は複数ある。ひとつぐらい問題なし。』

だって。


・・・・

・・・

・・


ブレット・カルダー男爵を伴って、あと金鉱目当てで領地にやってきた、鉱脈に詳しい人間を何人か同行させて、ミスリルがありそうな・・・・

フェンリルの巣の付近に来たんだけど、金鉱がある山の付近にある小高い山?の洞窟らしく、巣の奥にミスリルがあるらしいみたいで。

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