第338話 十六夜・臨月

・・・・だから月女が来たのか。そう思っていると、紅渚が現れたよ。

「旦那さま!私達に会いに来てくれたの?うれしい!あ、でも私もこんなお腹だから、軽く抱きしめるので満足するね。」

「おお!紅渚も大きなおなかになっちゃったなあ!月女と似た感じか?」

「そうね、産婆に言わせれば恐らくあと1週間ほどで二人とも産まれるって。」

そう言いつつも抱きついてくる紅渚。

ちょっと見た目がまだ女子高生っぽいからちょっと背徳感というかなんというか。

こうしてしばらく抱きしめてたんだけど。

「紅渚、それぐらいにしなさい。十六夜姉さまの所へ旦那さまを案内しますよ。」

「はい、月女さま。では旦那さま、着いてきてください。」

「もうすぐ生まれるんだって?」

「はい、ただ、まだ子宮口が開ききってないからもう少しかかりそう、破水もしてないし。」

紅渚の説明だと、まだもう少しかかる感じで、話しているうちに十六夜の居る部屋へと到着したよ。

日本だと産婦人科で出産という感じだけど、この世界では基本自宅で出産らしいので、住まいにいると言えばそうなるんだな。


おっさんの後ろをついてきていた月女が前に出てきて、先に十六夜の居る部屋に入っていってね。


暫くして

「旦那さま、十六夜姉さまは今なら会えるので、どうか会ってやってくださいまし。」

そう言うのでおっさん部屋に入っていったよ。

あ、消毒とか・・・・急いで異世界売買で除菌ウェッティ買ってまず手を拭いて、泡の消毒のキレ〇キレイを購入、手にこすりつけて消毒。

そして横になっている十六夜の所へ。

「十六夜、来たよ・・・・」

「だ・・・・旦那・・・・さ・・ま・・・・十六夜は・・・・嬉しゅうございます・・・・そして・・・・わたくしも出産は・・・・初めての事でございますし・・・・不安でございました・・・・そこに・・・旦那さまが・・・・来て下さるとは・・・・感激でございます・・・・」


陣痛があるんだろう十六夜。そんな中旦那がいるのといないのとではかなり違うよね。おっさんは日本に2人の子供がいるけど、出産時は無理に会社を休んででも立ち会ったからなあ。


そしておっさん十六夜の背中をさすったり水を飲ませたりしながら傍らにいて、産婆が男は出て行けと言ったけど、ここは居座る事にし、そして流石に旅姿をしたままではと思ったので、一度着替えと風呂を借りて出直して、十六夜が赤ちゃんを出産するまで付きっ切りですごしたよ。

そして・・・・・

・・・・

・・・

・・


無事出産。母子共に問題なく安産。

その後さらに1週間いたんだけど、月女と紅渚も無事出産。

3人ともちゃんと立ち会えたよ。

ただ、普通の人と違い妊娠期間が違うような?かれこれ妊娠してから1年以上経ってるんだよね、確か。人間だと大体10か月って所なんだけど。

それを言うとカトリーンとかもそうなんだよな。

そして、エルフもなんだよな・・・・

一応ジスラン君に定期的に連絡とってもらってるんだけど、まだまだ出産が近いとか連絡ないし。

でも、何で十六夜たちは連絡してくれなかったんだろう?

もしかしておっさんに余計な手間をかけさせたくなかった?

勿論、余計な手間とか思わないし、何事よりも優先すべき事なんだけどね。

この辺りは日本人と異世界の人々の考えの違いなんだろうか?

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