第311話 異世界では正妻の立場は絶対らしい・・・・
「あ、あの・・・・言ってる事がよく判りませんが、どうぞ気になさらず。ある程度はこーちゃ・・・小次郎から聞き及んでおりますから。」
「いや、そういう訳にはいかないのだ!この・・・・少なくともセアリアス帝国では、本来正妻の許可を得なければ側室は設けてはいけないのだが、そなたは遥か遠くの彼方の二ホンという国に住んでおるし、我から連絡をする事もかなわぬ故、勝手に事を推し進めた。改めて詫びよう。」
・・・・そんなに正妻ってえらいんか?
知らんかったな・・・・
そして、暫くしてエルヴィーラと香苗ちゃんがやってきてね。
どうやらおっさんが正妻を連れてきたって誰かが知らせたみたいで。
エルヴィーラはまだお腹が目立ってないけど、妊婦でね。
香苗ちゃんは厨房で料理をしてたみたいでエプロン姿。
で、エルヴィーラはいきなり妻の前で土下座をしはじめて。
えっ!何それ怖い・・・・
「申し訳ございません。シラカワさまの正妻、ユリナ様ですね。わたくしセアリアス帝国で皇女の立場で、現在はシラカワさまの側室、そして出産の準備で現在プレジール城に戻っておりました。勝手に側室になってしまい申し訳ございません。」
あ、さらに深く、頭を床につける勢いだよ。
それを見て、呆気にとられていた妻が急いでエルヴィーラに近づき
「貴女妊娠してるのでしょう?それなのにそんな事をしてはいけません!さあ、起きて下さい。こちらの事はよく判りませんが、本来日本は一夫一妻。勿論世界には一夫多妻の地域もあると聞き及んでいますが、この異世界は一夫多妻・・・・しかも小次郎は、よく判りませんが爵位を授与されていて、爵位のある男性はたくさん妻を娶らなくてはいけず、それはもはや義務と聞き及んでいます。もうそのような事で頭を下げるのはやめてほしいです。」
「あ・・ありがとうございます・・・・」
エルヴィーラが大人しい・・・・
それより、香苗ちゃんだ。
エルヴィーラと違い、日本人・・・・
香苗ちゃんの中ではきっと不倫に近い感情なんだろう。
顔が真っ青だよ。しかも震えてるし・・・・
「あ・・あの・・・・白河小次郎さんの・・・・奥さんの・・・・友理奈さんですよね・・・・?私・・・・しらk・・・杉浦香苗と言います。小次郎さんと一緒に異世界に巻き込まれてしまい・・・・そして助けてもらって・・・・でも・・・・この異世界に小次郎さん以外に知り合いもいないし・・・・その・・・・ごめんなさい・・・・」
泣き出しちゃった・・・・
そんな香苗ちゃんを友理奈は内心どう思ってるかは分からないけど、そんな怒りの表情を見せず・・・・旦那が自分以外の女を抱いてたなんて普通の妻なら怒り狂うだろうけど、友理奈は違ったよ。そっと香苗ちゃんを抱きしめて。
「小次郎から聞いてますよ。貴女が生きていてよかった。杉浦さんのご両親もあなたが生きていると知ってどれだけ喜んでいる事か。あの行方不明の事件は未だ一人も戻ってきていませんから。」
その後、色々な感情が混じったのか、2人で号泣してたよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます