第139話 おっさん、ロートレック公爵領へ赴く

「ああ、シラカワ辺境伯、よく来てくれたね。まあ、かけてくれたまえ。」


なんて自然な挨拶なんだ、公爵ってのは。


「ありがとうございます。それでは、失礼しますよ。」


ロートレック公爵の勧めでおっさんソファに座ったんだけどね、流石は公爵、いいソファだよ。


何というか落ち着く感じかな。


しかも洗練されてる感じでね、部屋の調度品もそうなんだけど、さり気なく良いものが置いてあるんだよね。


で、なぜかおっさんの左隣にリュシエンヌが、右隣にリュシエンヌの妹のジョスリーヌが座ってね。


こういうのって同行している自称妻のカトリーンが座るんじゃない?って思ったんだけどね、カトリーンはおっさんの後ろに控えてくれたよ。


メイドさんのマルスリーヌは少し離れた所でメイドしてるよ。おっさんに飲み物運んでくれたりね、さり気なく控えてるよ。これがメイドさんか!




そして、ロートレック公爵の両隣には見た事のない若者が2人いたんだよね。これはきっと長男と次男だな。




「帝都では連れてこなかったからね、紹介しておこう、長男のジェミヤンと次男のヴァランタンだ。」


おっさんに紹介された二人は礼儀正しくおっさんに挨拶してくれたよ。


「お初にお目にかかります。ジェミヤンです。」


「お会いできて光栄です、シラカワ辺境伯。次男のヴァランタンです。」




「おふたりの事はロートレック公爵から聞いてますよ。非常に有能だとか、羨ましいですね。」


「何をおっしゃいますか!今シラカワさまは帝都で一番の話題でしたよ。正直こんな田舎でもシラカワさまの噂は入ってきてましたから。」


・・・・どんな噂なんだ?


「シラカワ辺境伯の経営しておられる店の商品ですが、非常に素晴らしい商品を扱っていると評判ですよ。それに、ドラゴンやフェンリルを討伐するほどの腕前もお持ちとか、是非一度手合わせ願いたいものですよ。」


「そんなおだてても何も出ませんよ?私の腕前と言ってもスキルがなければ普通の人にも負けますよ、私は。」


「シラカワさまは謙虚ですな!」




・・・・これ本気じゃないよね?




「2人とも辺境伯が困ってるではないか、その辺にしておきなさい。で、シラカワ辺境伯、本日はどのような用向きでしたかな?」


・・・・おっさんお礼に来たんだけど、何その意味深な聞き方は?何気に娘に目配せしてるじゃねーかよ、違うよ!娘さんは関係ないよ?




しかも両隣の2人、おっさんの腕を取りギュって抱きしめてくるんだよ、きっとこっち見てるな、見ないよ、おっさん。




「はい、先日のお礼をと思い参った次第ですよ。」


おっさんそう言って収納カバンから色々取り出してね、先ずは酒!きっと貴族なら飲むだろうってね。


次にシャンプーやらリンスをね。


そして、奥方様にどうぞって言って下着をいくつか、サイズ知らないから複数のサイズの下着を出して、


「サイズが分からなかったものですからいくつか用意しましたので、合うサイズのを試着してもらってください。」


そう言って下着を渡したよ。


早速メイドさんが受け取って持って行っちゃったよ。




おっさん両隣の女性陣に、「君達にもこれを。ぜひ着てみて下さい。」


そう言っておっさん、2人に下着やら肌着を渡したよ。


「よかったら後でお店に案内しますよ?」


「宜しいのですか!とても嬉しいのですけれど、迷惑ではないかしら?」


リュシエンヌさん、いい女やなあ。少し控えめなのもいい!


「シラカワさま、ちょっとこの下着凄いサイズぴったりな感じだけど、どうしてわかったのかな?」


ジョスリーヌさん、流石にわかるよ、一番小さいサイズだし、渡したの・・・・そう、もうこれしかないってサイズなのよ、彼女のは。




「す、少し失礼しますわ!」


あ、妹引き連れて出て行った。まさかもう試着するの?


リュシエンヌのすらっとした高身長であんなの着ちゃったら、もうおっさん大変な事になりそうだよ。




「こら、失礼じゃないか、そんなのは後にしときなさい。」


公爵さん、普通はそうだよね、でも、おっさんはちょっと着た所を想像しちゃってて、あかん、もう着てもらわないとってなっちゃっててね。


「いいじゃないですか、それに男性陣にもあるのですよ、渡すものが。」


「わかった。じゃあ2人とも早く済ませなさい。」


そう言われて、すぐに出て行ったよ。


ちょっと楽しみ。まあ、実際に着た姿を拝む事はないんだけどさ、ないよな?




「こちらの品になるのですが・・・・」


おっさん、慌てて打ったおっさんソード(仮)を5本取り出したんだよね。


ジスラン君には必要なさそうだったけど、こういうのは全員に渡すのが良いかなと思ってね。


「これは!陛下から伺っていたのだが、もしや同じものなのかい?」


うおう、めっちゃ目が輝いてるよ!


「多少形は違うかもしれませんが、性能は同じだと思います。そのつもりで打ちましたから。」




「しかし、これは・・・・礼を受け取るとは言ったが、これでは貰いすぎではないか!よいのかな、こんな凄いのを貰っても?」


「遠慮なさらず。それだけのご恩を感じてるんですよ、私は。」


おっさん無理やり受け取ってもらったよ。


「なんて輝き・・・それにどうだいこの軽さ。」


お、喜んでるな。


しかし、いい加減剣の名前を考えないといけないなあ。

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