第73話 十六夜 その2
そして城に行くと、国王の元に連れていかれた。
そこで十六夜が目にしたのは・・・・
妹がよく世話をしていた近隣に住む少女と共にほとんど裸で縛られている妹の姿であった。
しかも首には怪しげな首輪が。
「お前が十六夜とやらか?」
そう聞かれ、そちらを見ると下品な笑いを隠そうともせず、こちらをじろじろ見るこの国の王ガーベージ3世とその后、それに恐らく国の重鎮達だろう。
「妹に何をした!」
「そう怒るな、夜叉よ。心配いらんよ。まだ手は出しておらんからな。ところで、取引をしたいのだがな、十六夜とやらよ。取引を成功した暁にはこの娘共をそなたに引き渡そう。勿論手は出さんよ。」
そう、あれは隷属の首輪。妹と少女は国王の奴隷となってしまっていた。
妹がここの人間共に後れを取るとは考えにくい。おそらくはこの少女を助けようとし、あの首輪をはめられてしまったのでしょう。
「・・・・私がその依頼を解決すれば本当に解放してくれるのでしょうね?もし、2人に手を出せば、その時は私のすべてをもってこの場にいる皆を殺す!」
「おお怖い!さすがは夜叉じゃのう。そんな美貌であるのに信じられんが。まあいい、引き受けてくれるのだろう?」
「何をすればいい?」
話を要約すると、
娘であるメーネア姫が、異世界から来た男女に連れ去られ、しかもその男女は国の大臣のスキルと大事なアイテムを強奪して逃亡してしまった。その時他のスキルも奪ってしまっている。
なので、姫を連れ戻すのと、この男女を捕らえ、連れて来ることというのであった。
かなり危険があるので、実際はこの男女の行き先を調べ、その場所を知らせ、捕縛する手伝いをするだけでもいいらしい。
まあ要は、姫とこの異世界から来た男女の身柄の確保ができればいいらしい。
ただこの逃亡した男、かなりのスキルホルダーらしく、知る限りでは奴隷商、おそらくテイム、洗脳、スキル譲渡があるらしい。
しかも、姫をたぶらかし逃げおおせれるぐらいなので、魅了のスキルも所有している可能性がある。
他にもどんなスキルを持っているか不明なので、実力のあるものでないと身柄の確保は難しいという見解らしい。
で、連れ去られた姫とこの異世界の男女は秘密裏に確保したいらしく、世間には姫の誘拐?と異世界の男女の逃亡?は知らせていないらしかった。
そこで、十六夜の出番らしく、十六夜がこんな依頼を受けるはずもないのでこのような強硬手段に出たらしい。
で、この時、認識阻害の髪飾りと、召喚石をひとつ渡された。
何かの役に立つだろうから持っていくように、と。
・・・・
・・・
・・
・
十六夜は考えた。
異世界の男女とは何なのか。
噂では、数年に一度異世界の住民を強制的に召喚し、スキルを奪い殺害している、というものだ。
本当かどうかはわからないが、ごくまれに異世界からの転生者というのがいるらしいので、そんな愚かな事もしているのだろう、きっと。
で、姫を人質に逃げだした?そんな事があるのだろうか?
謎であった。
そして、その3人の逃亡先は、どうやらセアリアス帝国らしく、暁団という冒険者パーティが追っているらしく、この暁団に接触、情報を得ておくようにも言われていた。
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