第72話 十六夜
おっさん、思わず十六夜を抱きしめて、
「誰にも言えず辛かったね。もう心配ないから。おっさんの強さは十六夜もわかってるだろう?おっさんならすべて解決できる。ただ、解決するにはすべて知らないとね。さ、言ってごらん?楽になるよ?」
我ながら何という大言壮語を。尤も、おっさんのスキル、なかなかよさげだからいけてるんじゃないかと思ってるんだけどね。
そんなことを思っていると、泣きはらした顔の十六夜が少し落ち着いたのか、おっさんの顔をじっと見てきた。目が合ったよ。なんていうか和装の美女。そそるよね!
暫くじっと見つめあったよ。ここで目をそらせば何かに負けたような・・・・じゃなく、いけない気がしてね。
「流石ですね、ご主人さま。隠し通せると思っていたのですが、無駄なようですね。こんな嘘つきな私ですが、本当に信用して下さるのですか?」
「もし、十六夜がおっさんを裏切っちゃったら、それはおっさんの見る目がなかったって事さ。実を言うとほんのさっきまでは十六夜をこれっぽっちも信用してなかったんだよね。」
「今は信用を?」
「うん。十六夜のね、目がね、信用できる目だったんだよ。で、十六夜、話してくれるかい?おっさんで出来る事なら頑張っちゃうよ?」
「フフッ。可笑しな人。ご主人さまが私を信用して下さっていないのはずっとわかっておりました。ですが、今は、そう、まるで私の心のすべてがご主人さまの物になってしまったような、そんな感覚。そして、ご主人さまは全てを託すに値する人であると私今は確信しておりますの。」
なんか偉い事になっちゃってるな。
「おっさんに任せなさい!(何、この信用?そんなおっさん魅力あるの?)」
「はい!お任せしますわ。」
何故か十六夜の顔には希望の光が見えた気がした。
「何から話せばよいのか・・・・」
十六夜の話はこんなだったよ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
十六夜は、妹の
しかしこの地域、インダルチャンス王国にあり、最近妹が出かけたのだが、いつまでたっても帰ってこず、代わりに1通の手紙が届いたそうだ。
『妹を返してほしければ1人で城まで来い』
インダルチャンス王国の最近のきな臭さは肌で感じていた十六夜。
ただ、2人とも余程の事がなければ騎士団にも後れを取らない。
というか十六夜は今まで敵対した相手に一度も敗北をした事がなく、また、結婚相手は自分より強い相手ではないと認められないという信念があり、年頃・・・もはや婚期を逃した年齢になってしまったが、それでもかまわないと思っていた。勿論、妹も同じだ。
その妹がインダルチャンス王国にどうしたわけか捕まってしまったらしい。
妹はすべてに優先すべき存在。どう考えても碌な事にならなさそうだったが、十六夜は城に行く事に。
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