第11話 メーネア・シンセリティ
メーネア・シンセリティ、それがわたくしの名前。
インダルチャンス王国の第1王女。
我が父インダルチャンス王国現国王ガーベージ3世
そして我が母アリーチェ・シンセリティとの間に生を受け28年。
決してアラガントゥとかいう女は母ではない。
事の起こりは15年前、当時父の側室だったアラガントゥという女が男児を出産した時まで遡る。
父は側室の女をたいそう気に入り、弟が生まれてからはあの女の言いなりになっていった。
あの時止められていたら・・・・残念ながら当時は無力な13歳。
無謀にも隣国との戦争をし、我が兄リアム・シンセリティは当時17歳だったがまだスキルを所持していないにもかかわらず前線に無理やり行軍させ、帰らぬ人となってしまった。
あの戦争はあの女が兄を排除する為に父を焚き付けたのは明白。
そして、次期国王は自分の息子になるように兄を前線に送り排除した。許せない・・・・。
この国では15歳で成人を迎え、女性なら20歳を迎えるまでに結婚をするのが普通で、私のように25歳を超えても結婚をしていないと行き遅れ扱いされてしまう。
我が国が隣国との戦争を終結したのが今から7年前。
この間わたくしは嫁ぐ事も許されず、婿を迎えることもできず、ひたすら弟の世話をさせられた。
父はこの後も非道な事を行ってきた。一番辛かったのは異世界の人々を無理やり召喚し、スキルを奪い殺害すること。
何も知らず、関係のない異世界の人々。
異世界から召喚された人々は高確率で何らかのスキルを所有し、低確率ながら非常に強力なスキルを所有している。
ただ、何度も召喚できないようで、概ね5年に一度が限度のようで、今回は弟の成人の儀に合わせて行うよう。
成人の儀を受けて初めてスキルを所有できるようにはなるけど、普通15歳でスキルは発現しない。
なので、成人の儀の時に、次期国王がスキルを所有していたら?
それはもう国中が次期国王に期待する事となるでしょう。
これこそがあの女の狙い。
しかし、わたしくしには如何する事もできない。
今回の召喚でスキルを奪うときに、あの女はわたくしに
「ストューピッドも成人するし、そなたはもう要らぬ。異世界人と共に果てるがよい。
スキルはストューピッドが大事に使うゆえ、安心してたもれ」
愕然としながら父を見ると、驚くことに父もあの女の意見を受け入れ、国の為だとかきれいごとを言う始末。
ああ、わたくしにはもうこの国に居場所はないのですね、と。
そしてわたくしの最後の日、弟の成人の儀、異世界人の召喚の日がやってきた。
そして、召喚。
1人、40代の男性が、他の人とは違って見えた。
容姿はどこにでも居そうな壮年、しかし、周りを警戒しているのか様子を見ているよう。
そして、何かそわそわしている様子。
そして極めつけが、「トイレ行きたいから案内してくれないか?」
その一言を聞いて、わたくしには希望が見えてきました。
この方をトイレに案内をすれば何かが変わるのではないか?ひょっとして逃げ出せるのではないか・・・・
父に案内をするというと、あの女経由で許可が。そのとき暴言が聞こえたが聞こえないふり。
この異世界の壮年の方をトイレに案内しつつ話をしていると、どうやらすまほ?という異世界のアイテム経由で鑑定スキルが使えるらしく、ひょっとしたら他のスキルも使えるのでは?とこの時わたくしは直感したのです。
偶然でしょうが、ここはトイレ。トイレにはかのGがいます。
そして、やはり目の前に1匹のGが現れ、驚いたのか異世界の壮年の方はGに「あっち行け!」と思わず叫んだのですが、なんとGが言う事を聞き、向こうへ行こうとしているではありませんか?
この時、ひょっとしてと思い、
「申し訳ありませんが、先ほどの・・・・に止まるように命令してもらえませんか?」
そう伝えても訝しそうにわたくしを見る異世界の人でしたが、思うところがあったようで
「とまって」
「こっちに来て」
そういうとその通りに行動するではないですか。
もしやテイマーのスキルがあるのではと思い、すまほ?で自分の情報を確認してもらうとやはりテイマーのスキルを所有している様子。
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