第10話 食事中の方、ごめんなさい

「ヨクダ タイブンゼ ルキスノ タンア」



・・・・スキル大臣とかいうのが専門学校生?に呪文を唱えたな。

ふむふむ、腕輪は簡単に取り外しできそうだな。


「お疲れさまでした。残念ながら私共の探していた人物ではなかったようです。暫くすれば元の体調に戻るのであちらの部屋でしばし休んだのち、元の世界へ戻っていただく」

「やっと帰れるのか。しかし、だるい。」

「おい、肩を貸してやれ」

「はっ!ではそこの方、こちらへ」

「あ、わかったよ。あの部屋に行けば帰れるんだね?」

「勿論です」


・・・・あー連れてかれたよ。おっさん、みんな助けたいけど、オーバースペック。

男は自力で何とかしてーな。

こちとら自分1人と、もう1人が限界。今のうちにあの呪文を覚えとくか・・・・




・・・・あーついにおっさんの番が来た。ミスは許されない。気合を入れていこう。あ、自然にな。・・・・香苗ちゃん緊張しすぎ。

「香苗ちゃん、緊張しすぎ、リラックスやで」

「で、でも・・・・怖い・・・・」

「まあ、おっさん信じてってのも無理な話だけど、生き残りたいなら言うとおりにしてーな」

「え、ええ。そうします」

・・・・大丈夫かいな。


「では、右手を差し出してもらおうか」


・・・・よし、今だ、”やってこいこいG達よ!”

カサカサカサカサ カサカサカサカサ カサカサカサカサ

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カサカサカサカサ カサカサカサカサ カサカサカサカサ


「お。おい、あんた確かライヤー大臣といったよな?あんたの足元にいるのってもしかして・・・・」

「?足元?ってうおぉ!GがGが大量に・・・・!」

カサカサカサカサ カサカサカサカサ カサカサカサカサ

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「く、来るな!来るなあ!」

カサカサカサカサ カサカサカサカサ カサカサカサカサ

カサカサカサカサ カサカサカサカサ カサカサカサカサ

カサカサカサカサ カサカサカサカサ カサカサカサカサ


・・・・よし、跳べ!・・・・いやー、昔スーパーでアルバイトしてた時、バックヤードで一度だけGが目の前に飛んできたんだよなあ。あれは未だに覚えてる。あのインパクトはすごすぎたからなあ。


「ぎゃあああ」


・・・・今だ!よっと。

「な、何をする!」

「ヨクダ タイブンゼ ルキスノ タンア」

「あ、貴様!なぜそれを!」

「お宅らあほか?目の前で何度も唱えてただろ?」

「や、やめろー」

「もう遅い!あ、この腕輪もらってくね?そのよくわからんごっついプレートももらってくよ!」



「う、力が入らん・・・・」ドサッ


・・・・うわ!Gの上に倒れるとか一生トラウマものだな。よし、G達よ!偉そうにしてるやつらへ向かって飛んでくれ!


カサカサカサカサ カサカサカサカサ カサカサカサカサ

カサカサカサカサ カサカサカサカサ カサカサカサカサ

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カサカサカサカサ カサカサカサカサ カサカサカサカサ



・・・・よし、あとはこのままずらかるのみ。

「香苗ちゃん、行くよ?」

「・・・・死にたい・・・・」

「ご、ごめんよ。」



・・・・メーネアちゃんの言う通りならあっちだな。

「さあ、こちらです。今のうちです。」

「分かったよ、メーネアちゃん」





・・・・お、偉そうにしてる二人が叫んでるが、Gの前にはなすすべもなかろう!Gに感謝する日が来るとは思わなかったな。

うわ、Gをものともせず追いかけてくる奴らがいるな。

よし、間に合うか?

えっと油油・・・・お、サラダ油をっとっと。

「香苗ちゃん、これ床に撒きながら頼むわ」

「は、はい」




・・・・おー流石は石の床。

みんなこけるコケる。立ち上がれないだろう!

おっさんも何度会社で床にこぼれた油で滑りそうになった事か。




移動する事10分近く、各所を守る衛兵はメーネア王女の姿を見ると何を言うでもなく道を開け、ようやく城の外に出ることができた。



・・・・今回の事は末端の兵士には知らせてなかったんかいな?

あと、普通王女だとこんな少人数で外に出れるものかいな?

今思い出すと大臣やら后やらがメーネアちゃんにひどい言い方してたからそれの影響か?

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