第24話 廃坑街 浴場の蛭
大穴はかなり大きく、大人が10人横に並んで入れるくらいありそうだ。
入ってすぐ門のようになっており、切り出された足でできている。その中央に、これも石でできたボックスのようなものがあって、さらに奥へと続いている。
その先は暗がりになっていて見通しは悪そうだ。
ボックスを覗き込むと小さな棚や朽ちた木材が散らばっていた。入ってきた方と逆側は切れていて、そこからボックス内に入るような形になっている。ボックスそのものの高さは1メートルほどでわざわざ反対に回らなくても乗り越えられそうではあるが。
特にこれといったものはなかったのでそのまま先は進もうとする。が、中央に大きな壁があり道が二手に分かれている。その辺りから床が剥き出しの岩肌から綺麗に削られ凸凹のない床に変わる。
分かれた方の右を見ると部屋があるようで、そこから探索することにした。
慎重に部屋の中を覗き込み、様子を伺う。特に気配はない。物音もしない。
なれはて坑夫などいなさそうだ。頭の輝石に魔力を流し込み、部屋の中を照らす。
中央に朽ちた木材のテーブルがあり、ベンチのようなものもある。壁にも朽ちかけの木箱が並んでおり、おそらくこの部屋は詰所のようなものと思われた。
奥に石でできたテーブルがありその後ろの壁に大きめの輝石が埋め込まれていた。
それに魔力を込めると詰所のような部屋に灯りがともり、さらに部屋の外、大穴の奥に続く通路も明るくなった。
視界が良くなったことで探索がやりやすくなった。
とりあえずこの大穴を調べたら一度上に戻ろう。
ショートソードは鞘に収め、投げナイフを手に取る。
通路を進んでいくが、足音がはっきりとわかるくらいしなくなっている。奥は広くなっている気配があるので、ボッカきら購入したリグレットがなければ音が反響してなかなかの音になっていたに違いない。
しっかりと警戒しながら通路を進む。一度角を曲がると、広々としか空間に小さめの池ほどの水場があった。
「そうか、ここは銭湯みたいなところなのか」
独り言をこぼしながら水場を眺める。しかし警戒は解いていない。
ドサリ、と天井から何かが落ちてきた。
それは1メートルはあろうかという大きさの、黒々とした塊。モゾモゾと動いているように見える。
肉厚な木の葉のような形で、少しづつゴギョウに近づいてくる。水場の方からもさらに三体、這い出てきて移動を開始する。
「ええ、気持ち悪いな…」
そう言いながらナイフを投げつける。表面は柔らかくナイフはサクっと刺さる。
ナイフの刺さった蛭はナイフに付与された毒性によってたちまち侵され、ビクビクと小さく痙攣してそのまま硬直する。
めっちゃ効く。毒、めっちゃ効く。
近寄ってきていた他の蛭にもナイフを投げつける。
一体、また一体と動かなくな?が、蛭は奥の方からそれ以上の数が湧き出してくるようだった。
蛭は動きも遅く、近寄ってくるだけで攻撃のようなこともしてこない。しかし、ゴギョウを獲物と見たのか次々と現れる。
とても気持ちが悪い。
すでに20体ほどの死体が転がっている。中には五行の真上から落ちてきて毒沼の古竜のスキルの壁にぶつかり、軽く毒を受けたのちショートソードで斬り伏せられたものもある。
奥の方にはまだ動く気配がありゴギョウはその気持ち悪い状況に心から嫌そうな声を上げるのだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます