第23話 廃坑街 新しい装備と広場の大穴


 ボッカの売り物は拾ったり、盗んだらしてきたものらしい。盗品なんて大丈夫なのだろうか…。

 しなし、盗んだと言っても大抵はモンスターに襲われ、打ち捨てられた人間の持ち物であったり、人の住まなくなった建物から失敬してきたものらしい。

 それでもなんとなく引っかかるものはあるが、ここは弱肉強食の世界。ボッカなりの生きる術なのだろう。



「この鍵はなんだ?」


「はい、お目が高い!ええ、ええ、わかりません!ですが、ええ、きっとお役にたちますよ、ええ」


 お目が高いの使い方合ってる?

 この廃校街来るときの、チェーンや鉄塊で反対から閉じられていたら鍵なんて役に立ちそうもないが。


「じゃあ、この鍵とリグレットでいくらになる?」


「はい、ええと、はい。1220ソルですね、ええ」


 少し足りないが、経験値からも払えるのだろうか。


「もし、経験値を全部使ったりしたらどうなるんだ?」


 経験値を一定値以上減らすと、レベルが下がるらしい。下がったレベルはまたモンスターを倒したりして稼げば上がるらしいが、その場合必要になる経験値が多くなり、元のレベルに戻すには苦労するだろうとのこと。しかもステータスも下がるためより苦労するだろう、と。

 しかしスキルに関してはレベルが下がっても失うことはなく、再びレベルを上げて得られるスキルポイントで別のスキルを得たり育てたり、が可能になるらしい。もちろんレベルが下がった分その効果や威力は落ちる。


 とりあえず、14万近くある経験値が500減ったところでいきなりレベルが下がるとも考えにくい。素材類が思いの外高額だったこともあり同じだけ稼ぐにしても、足跡を消せるのはかなり有益に思えた。

 鍵は、なんとなくだ。なんとなく役に立つ気がする。



「へへっ、旦那、ありがとう、へへへっ」


 ボッカは目を細めて満面の笑みなのだが、すごく悪そうに見えるのはゴブリンだからだろうか。


 ゴギョウはボッカのいる部屋の、別の小さな部屋に青い薪を設置して中継視点とすることにした。

 そこで売らないで置いた鉄鉱石を加工して小さな投げナイフを作成した。襷掛けするような形でホルダーを作りそこにナイフを10本。さらに収納に同じものを1セット。


 遠距離攻撃とまではいかないが、廃坑街なら鉄も手に入りそうではあるし気兼ねなく使えそうだ。

 そしてそのナイフには全て毒性を付与しておいた。なれはて坑夫相手なら存分に活躍してくれるだろう。

 ナイフの形はどちらかと言えば小さなクナイのようなもので切りつけたりはできないだろうが投擲には向いている形だろう。毒性を増やしたことで毒沼の古竜のスキルのおかげで、真っ直ぐに狙い通り飛んでいってくれる。



 試しに他の小さな洞窟にいたなれはて坑夫に投げつけてみたが見事命中。毒で弱った坑夫を簡単に切り伏せることができた。

 そこで回収した素材を再びボッカに買い取ってもらい、【流石・小】を20個ほど購入。

 試しに握り潰して使ってみたが左腕は治らなかった。


「さて、次は…」


 ボッカの洞窟の近くにある大きな洞窟を探索してみよう。


「あっ、旦那、あの大穴はやめたほうがいいです、ええ、あそこには水場がね、ええ、あるんですが、、、血吸い蛭どもが、ええ、巣をね、ええ、張ってるんです、ええ、ええ」


「そんなのが近くにいてここは平気なのか?」


「ええ、ええ、あいつら、あそこからは出てきません、ええ、でも、たまに白い奴とか、そんな奴らが水欲しさに近寄ると、ええ、片っ端から襲うんです、はい、だから、近寄らなかったら、ええ、平気です、はい」




 不用意にボッカの洞窟を出ると傍からなれはて坑夫が飛びかかってきた。

 しかしガツンッと音を立てて毒沼の古竜のスキルの壁にぶつかる。これが自動防御か…。

 結構ビビって心臓がバクバクいっているゴギョウは強がりで平静を装いながら大穴へ向かっていった。






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 少しずつですがご覧いただいている方も増えてきました。ありがとうございます。

 まだまだ続きますので、よろしければ評価、レビュー等もいただければ幸いです…!

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