第15話 毒沼の古竜のスキル




 オババの杖から光が放たれゴギョウを照らす。



 [ゴギョウ]

 レベル 58


 筋力 12

 体力 15

 技量 14

 魔力 14

 運  12


 ・strength 5

 ・energie 5

 ・endurance 5


 ・毒沼の古竜の蛇 5

 ・毒沼の古竜の鱗 5

 ・毒沼の古竜の加護 10



 毒沼の拠点を出た時と変わりはない。沼地の旅ではレベルが上がらなかった。スキルポイントも消費していない。



「先ほどの話で納得したわい。古竜を倒したことで大量の経験値を得てレベルが上がったんじゃな」


「そうですね。それと初めからスキルポイントがたくさんあったのでまだ余ってます」


「……この世界の平均的なレベルは10前後じゃよ」


「10⁉︎」


「じゃからオヌシのレベルは高すぎるのじゃ。レベルやステータスに頼らない鍛錬で体力や筋力は数字には表れんが増減はある」


「転移者の人は…?」


「同じじゃよ。しかし初めから持っていたスキルポイントに差があるらしくてな、後から転移してきた者ほど多いようじゃ」


「えっ?詳しく教えてもらえませんか?」


「詳しくは知らん。しかし転移者が集まっとる場所ならわかるかも知れんの」

「それからその、毒沼の古竜のスキルについてじゃが」


「わかるんですか?」


「基本的なことだけじゃ。まず『蛇』はじゃな…」




 毒沼の古竜の蛇は、クラフトに関係するものだった。このスキルによってショートソードやバックラー鎧などが作成できた。さらに、このスキルによってクラフトされたものを扱う時の技術も高められる。

 毒沼の古竜の武具に限定されるが、例えばショートソードを手に持っている間は剣士さながらの体捌きが可能になる。強力だし、とても便利なスキルだった。

 毒沼の古竜の鱗は、やはり緑色の半透明な壁だった。かなり強力なスキル盾で、レベルを上げればもっと大きく、厚くすることが可能。さらにこの盾に触れた敵対者に毒を付与することもできるらしい。

 そして毒沼の古竜の加護。予想通り毒耐性に関することだったが、その効果はかなり強力であった。

 レベルを最大にしているため、毒を無効どころか毒にかかると体力が回復したり、ステータスが上がる。さらに触れた相手から毒を吸収して治すこともできる。

 麻痺毒や昏睡毒なども無効化できる。





この後、オババは鑑定に疲れた、とさっさと寝てしまったため、ゴギョウはクラフトスキルの衣類装飾品スキルを3まで上げ、毒の腕輪と毒の足枷を作成した。

 装備することで毒状態になる。

 本来は拷問とか相手の弱体化に使えそうなものであるが、ゴギョウが身につけることでステータスが上がった。

 数値は変わらないのだが力が漲る感覚がある。

 数値に表れない部分もなんとかしてわかるようにしたいが、もしかしたら他の転移者がその方法を見つけたり、それがわかるスキルなんかも持っているかもしれない。


 ついでに石のツルハシも作成し、素材集めを開始する。



 結局、ゴギョウは壁の修理材料を村の外にある山の岸壁から調達することとなった。

 「オヌシ強いから村の外でも大丈夫じゃろ」

 とのことである。


 村を出て30分ほどあるいた場所にある、削られて崖状になった山すそに着いた。

 おそらくあの石壁を作った転移者もここで石を集めたのだろう。


 ゴギョウはふと思う。この山を貫通するトンネルを掘れないだろうか、と。

 

 そうすれば危険な山道を通らずとも街へ行けるし、素材も集まる一石二鳥ではないか。


 うん、そうしよう。そういった作業好きだし。




 ゴギョウは右手でつるはしを持ち、大きく振り上げた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る