第4話 沼地の散策

 


 4日目。


 毒沼の古竜の素材がたくさんあるのでなんとか活用しようと、クラフトのロック解放を狙いスキルポイントを振ってみる。

 毒沼の古竜の鱗、蛇をそれぞれ5まで上げる。

 この時点ですっぴんスキルツリーをそれぞれ5までで45ポイント、毒沼の古竜の鱗と蛇で30ポイント、加護を10まで上げて55ポイント。

 214ポイントあったスキルポイントは残り84となった。


 

 さて、クラフトだが毒沼の古竜素材の軽装が作れるようになった。革を鞣したり牙や骨を加工など職人のような作業が必要なく作れるのはありがたい。

 粗末な服はクリーム色の薄手のスウェットのような服だった。その上から完成した装備をつけてみる。


毒沼の古竜のショートソード

古竜のバックラー

毒沼の古竜のスケイルプレート、グローブ、ブーツ

古竜のショートケープ

粗末な服


 装備品に強さを表す数値はないので、これが強いのか弱いのかはわからない。 

 毒沼の、とついていないものも違いがよくわからないがもしかしたら古竜という種族がいるのかもしれない。

 大きな亀のような毒沼の古竜の姿を思い出すと、巨大な体や牙など、考えるだけで出会いたくはないが。エグいブレスとかも吐いたりしそう。


 ともかく、これでこの拠点の辺りを散策する準備はできたと思う。食料を少しと回復薬、毒消などの少しのポーションも用意した。



 沼地は大小様々な水溜りのような水場と、それの隙間を縫うような少しの陸地で構成されていた。

 深い霧がたち、ほとんど周りを見渡せないこともある。

 拠点内にはなぜか霧がほとんど発生していない。もしかしたら立ち込める霧は毒性があるのかもしれない。

 安全地帯を囲む柵を乗り越えて周囲をぐるっと歩いてみる。

 古屋の裏手にかなり大きい沼があるようだ。深さもありそうだ。沼というよりは湖のようだ。


「今度釣りしてみるか…」


 ポツリと独り言を漏らす。

 陸地には菖蒲のような植物が生い茂り、視界も悪い。沼や湖には大きなものは2メートルはあろうかもいうハスのような葉がいくつも浮いている。所々にうねうねと曲がった幹が触手のようにいくつも分かれ地面から生え、それらが絡まり合って大きな幹になる、南国風な樹木もある。

 どうも霧の発生源は、ガジュマルのような樹木の足元や、小さな黒く濁った水たまりからボコボコと沸いている茶色い泡から出てきているようだ。

 そんな霧の中を歩いてもなんともないあたり、毒沼の古竜の加護スキルを上げておいたのは正解だったと思う。かなりの高耐性、もしかしたら無効になっているのかもしれない。



 しばらく歩いてみたが、まだ生物を見かけていない。植物の群生しているところがガサガサと急に揺れたり、水面を揺らして移動する何か、は見たのだが姿を現すことはない。

 水際は歩きにくく柔らかい地面に少し埋まるような感じである。

 拠点の小屋が遠くに小さく見える。


 ガサガサガサガサッ

 バシャンッ

 ギー、ゲッゲッゲッ…


 耳をすませば辺りを蠢く何かの音や気持ちの悪い鳴き声も聞こえる。

 こわ…。

 側の木を見上げ、生い茂る葉を見ると、何かが垂れ下がっている。

 蔦…、ではない。蛇だ。かなり長い、濃い緑色の蛇や首の2つある蛇などが1匹だけでなくわらわらと木に巻きついて、上から垂れ下がったりしている。

 刺激しないようそーっと後ろに下がり距離を取る。ある程度離れたところで一目散に拠点小屋に向けて走った。

 まず、2つの首がある蛇なんて見たことがない。あの数の蛇がまとまっているところもなかなか、いや、かなりキモい。

 この沼地は毒のせいなのかなんか臭いし快適さのかけらもない。

 この10メートル四方の拠点だけが安心のできる場所である。設置した水源ブロックで作った井戸の水は飲んでも問題がないようだし、畑もあってとりあえずしばらくのの食料もある。




 クラフト。釣竿。


 安全地帯から釣り糸を垂らし、小屋の裏手で釣りを始めた。座り心地の良いベンチに雨除けの屋根もつけた。

 お外怖い。完全にビビった。

 なんか、誰か、めっちゃ強い優しい冒険者さんとか来ないかなーーーー。



 安全地帯で現実逃避。それから毎日畑の収穫と釣りだけをして過ごすのだった。 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る