第6話・海斗・どう言い訳しても・・


どう言い訳しても。

僕が

勝手で。

卑怯な事は分かっていた。君を困らせる事も。


でも。


まっすぐに見てくれる君の目を見て。手を伸ばさずにはいられなかった。


「あまりにも、君が可愛いから。」

僕はそう言った。


君はまるで、初めて言われたかのようにほおを赤くして。

僕の胸に顔をうずめようとした。

そんな君を。

髪を、ほおを。すべての香りを。すべて残らず口に含み。

君を抱いた。僕を受け止める君は優しくて、しなやかで。何度も、何度も、求めたくなった。


 愛している。


そう言えば。君はどんな顔をしただろうか。


しかし、僕が口を開く間もなく。するりと、君はすり抜け。


 そして、まるで、僕に言わせないように。君は先に言った。さようならと。

 

 バレてはいけないから。同じタイミングで部屋を出るわけにはいかなかった。


 僕は、部屋を出る君を、目で追う事しか出来なかった。




 ついに、一線を越えてしまった。

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