第5章 第1話

週明けの月曜日、理科室に一人でいた俺のところに飛び込んできたのは、鹿島と一年の女子だった。


「部長、出来ました!」


何の疑いもなく、まっすぐに向けられるその視線と気持ちとが、気持ち悪い。


「あぁ、あとでチェックしておくよ」


受け取ったその紙を、この場で破らずにおいてやっただけでも、ありがたく思え。


後で紙飛行機にでもして、飛ばしてやる。


受け取った年間計画書を裏面に置くのを見て、鹿島と、彼にくっついて来ただけの女の子の顔が曇った。


「あの、提出期限があって……」


「あ、そうなの?」


ちらりとだけ紙をめくって、すぐに伏せる。


確かに、今週の水曜日が期限になっていた。


明日、明後日だ。


「あぁ、間に合うからいいんじゃない? 別に」


「間に合いますか?」


「うん、出しとくよ」


ついてきた女の子は、不安そうに鹿島を見上げた。


なんだこいつら、つき合ってんのか? 


それとも、一方的に鹿島のことが好きなだけ?


「じゃあ、お願いします」


そのまますぐに帰るのかと思ったら、二人はそこにあった椅子に腰掛けた。


小声でぼそぼそと何かを話している。


これじゃあ、こっそりこの紙をポケットに隠したり、改ざんしたりすることも出来ないじゃないか。

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