80 愉快なファミリー

 シェリーさんというイギリス美女にとんでも暴露をされたことで、家の中の空気が気まずく……なることはなかった。


「いやー、やっぱり幸雄は俺が見込んだ通りの男だったなぁ!」


「そうね、あなた」


 お父さんとお母さんは口々に言う。


「もう、パパとママのバカ!」


 遥花は赤面しながら言う。


「本当に、こっちが見ているの恥ずかしくなるくらい、ラブラブちゅっちゅだったわよ」


「シェリーさん! 何でそんなこと言っちゃうの!」


 遥花は赤面したままで叫ぶ。


「しかも、キスだけに留まらず、遥花の大きなおっぱいで幸雄を……」


「きゃー! きゃー!」


 珍しく遥花が取り乱している。


 やはり、家族が相手だと色々想う所があるのだろうか。


「あの、シェリーさん。その辺にしておいてあげて下さい」


 僕は言う。


「あら、優しいのね、幸雄」


 シェリーさんは微笑んで言う。


「あ、シェリーさん。幸雄にちょっかい出さないでよね」


「ふふふ、どうかしらね」


「もう、バカ!」


 遥花はぷくっと頬を膨らませる。


「あの、シェリーさんは遥花たちとどういったご関係なんですか?」


「ん? 私は遥花の両親の友人で、遥花のお姉さん分みたいなものかな」


「へえ、そうなんですか」


「こんなイジワルなお姉さん、いらないもん」


 遥花はまだむくれたまま言う。


「あら、傷付いちゃう。じゃあ、ひどい妹が相手をしてくれないから、幸雄と話しちゃお」


「あっ」


「幸雄は今、日本で遥花と一緒に住んでいるんでしょ?」


「あ、はい。お父さんに良くしてもらって」


「構わんよ」


「じゃあ、二人きりで……毎日、エッチしまくり?」


「えっと、それは……」


 僕が返答に困っていると、


「そうよ、毎日エッチしまくりよ」


 遥花が言った。


「その前から、ボロいアパートで幸雄とエッチしまくりだったもん」


「あら、そうなの」


「は、遥花。お父さんとお母さんの前で……」


「グッジョブ」


「うふふ」


 ノリの良い家族で助かった。助かったのか?


「やっぱり、遥花のそのバカみたいにデカいおっぱいでご奉仕しているの?」


「そうよ。幸雄はあたしのおっぱいが大好きで、いつも遊んでいるもの」


「例えば?」


「おっぱいドリブルとか。幸雄、やってみて」


「えっ?」


 僕は激しく遠慮したかったけど、ニコニコする橘ファミリーに見つめられて……


 バイン、バイン!


「あんっ! やんっ!」


「「「おおおおおおぉ~!!!」」」


 お父さんとお母さん、シェリーさんが感心したように拍手をした。


「我が娘ながら、非常にビッグなおっぱいだな」


「私の血だけじゃ無理だったわ~」


「私もそれなりに大きいけど、遥花はケタが違うわね。オバケおっぱいよ」


「誰がオバケおっぱいよ」


 遥花はジト目でシェリーさんを睨む。


「あまりイジワルなことばかり言うと、おっぱいでビンタするよ?」


「どんな風に?」


「こんな風に」


 バチィン!


「ぐはッ!?」


 僕は勢い良く吹き飛んだ。


「きゃあああああああああああぁ!」


 遥花が叫ぶ。


「幸雄、ごめん! つい、力の加減を間違えちゃって……」


「だ、大丈夫……じゃないかも。首の骨とか折れていないかな」


「うわーん、ダーリンが死んじゃう~!」


 泣き喚く遥花の下に、


「全く、本当にバケモノみたいなおっぱいじゃない」


 シェリーさんが呆れたようにやって来た。


「どれ、見せてごらんなさい」


 シェリーさんは僕の頭を抱きかかえてくれる。


 その際、豊かなバストが目に入った。


 遥花に比べると小さいけど。


 十分に大きいサイズだし。


 魅力的だな、と思ってしまった。


「うん、大丈夫。折れてないわよ」


「良かった~」


「全く、遥花はしょうがない子ね。まだまだ、私には及ばないかしら?」


「お、おっぱいは勝っているもん!」


「それだけかしら?」


「ううぅ~……」


 また遥花が悔し泣きしそうだったので、


「遥花が一番だよ。僕にとってはね」


「幸雄……」


 遥花が僕を見つめる。


「お二人さん、ベッドルームはあっちよ」


 シェリーさんが親指でクイと示す。


「いや、それは……」


 僕はふと、ご両親に目を向ける。


 二人とも、満面の笑顔で、グッと親指を立てていた。


「も、もう……みんなのバカ!」


 遥花はまた赤面しながら叫ぶ。


 僕も恥ずかしいけど、こんな遥花を見るのは新鮮だから、ちょっとだけ嬉しかった。







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