79 橘一家とご対面
イギリス。
初めて訪れるその街並みは、とてもオシャレだった。
最近の日本も海外の文化を積極的に取り入れて垢抜けているようだけど。
これはもう、素のまま美しいというか。
何か、背伸びしても中々及ばない。
そして、街を歩く女性も、やはり日本人よりもスラっと背が高く、脚が長い。
今まで見たことのない魅力的な美女にたくさんお目にかかった。
もちろん、日本の街並みも女性も素敵なことに違いはないが。
要は、新鮮さの問題だ。
けど、これだけは言える。
「わぁ~、あの建物おっきぃ~!」
そんな風に無邪気に街並みを歩く遥花。
外国の女性は胸が大きいイメージだけど……この地においても、遥花の方が圧倒的に大きい。
イギリス人はスレンダーな女性が多いからかもしれないけど。
ドーン!と迫力のあるそのおっぱいは、イギリスの人たちもすれ違うたびに目を丸くしていた。
これがアメリカ人なら『ワォ!』と言っていただろう。
まあ、あくまでもみんな僕の勝手なイメージに過ぎないけど。
「遥花、お父さんたちとの待ち合わせの場所はどこだっけ?」
「もうすぐ着くわよ」
笑顔の遥花に付いてしばらく歩いて行くと……
「わぁ、立派なホテルだね……」
これまた見たことないくらい、ナチュラルにオシャレな建物だ。
「ロビーでパパが待っているよ。行こ?」
「うん」
僕は緊張しつつ、遥花とホテルに入った。
「えーと……あっ、いた」
遥花が声を出し、
「パパー!」
すると、高級なソファーに腰を下ろしていた男性が振り向き、立ち上がる。
遠目から見ても分かるくらい、素晴らしい金髪の美男だった。
「遥花!」
すると、その金髪の美男はこちらに駆け寄って来る。
遥花をぎゅっと抱き締めた。
「久しぶりだな。元気にしていたか?」
「うん。パパも元気そうで良かった」
「ああ。おっ」
すると、その青い瞳が僕を見た。
「彼が噂の……」
「そう、愛しのダーリン、幸雄だよ♡」
遥花は僕の腕にぎゅっと抱き付いて言う。
「あ、初めまして。いつも遥花さんにはお世話になっていて……」
「ヘイヘイ、そんな固いあいさつな抜きにしよう、幸雄」
直後、遥花のお父さんの手が伸びて……
「うっ!」
僕の股間を掴んだ。
「ふむ、中々に立派だ。いつもコレで、遥花をヒィヒィ言わせているのかい?」
「もう、パパのエッチ♡」
「ハハハ」
こ、これはイギリス人のジョークなのだろうか。
とりあえず、僕はお父さんに股間を掴まれたまま、愛想笑いをする。
「パパ、これはあたしだけの物なんだから、いい加減に話して」
「おお、すまん、すまん」
お父さんはようやく僕のジュニアを解放してくれる。
「コホン、改めまして。橘ジェームスです。よろしく、幸雄」
遥花のお父さん――ジェームスさんはニコリと笑って手を差し出してくれる。
「初めまして、黒田幸雄です」
「幸雄、早速だけど我が家に来てくれるかな? 妻も待ってくれているからね」
「遥花のお母さんですか。ぜひ、お会いしたいです」
「では、行こうか」
ジェームスさんに付いて行くと、いつの間に表にリムジンが用意されていた。
「乗りたまえ」
「あ、はい」
僕は少し唖然としながらリムジンに乗った。
「遥花のお父さんって本当にお金持ちなんだね」
「うん、そうだね」
それからしばらく、快適なリムジンの中で談笑をしていると。
賑やかな街並を外れ、緑が豊かな校外へとやって来た。
リムジンが停車する。
「ここが我が家だよ」
「……すごい」
何か、やっぱり日本と規模感が違うというか。
デカい。とにかくデカい。
こんな感想、今まで遥花のおっぱいに対してしか抱いたことがない。
「入りたまえ」
また、ジェームスさんにかっこよく誘われる。
門から玄関ドアまでの距離も長かった。
そして、玄関ドアを開くと……
「洋子、帰ったぞ~!」
ジェームスさんが声を響かせると、
「は~い!」
日本人の女性がやって来た。
「お帰りなさい、ダーリン♡」
そして、ジェームスさんにキスをする。
「ただいま」
愛しの旦那さんにちゅっちゅしていたお母さんは、ふとこちらに気が付く。
「あら、遥花ちゃん。久しぶりね~!」
そう言って、ぎゅっと抱きしめる。
「ママ、久しぶり」
「あんた、またこんなにおっぱいが大きくなって」
「えへへ♡ 幸雄にいっぱい可愛がってもらったから♡」
「ん? あら、あらあら~!」
お母さんの目がこちらに向けられる。
「や~ん、遥花の彼氏くんもイケメンじゃな~い!」
そして、ギュッと僕に抱き付く。
「は、初めまして。黒田幸雄と申します」
「初めまして。遥花の母の橘洋子です」
お母さんはニコっと笑って言う。
「よし、これで未来の家族のご対面は済んだな」
「あなた、今度は幸雄くんにご両親にもあいさつをしないと」
「おお、そうだな。今度、プライベートジェットで行くよ」
「プ、プライベートジェット……」
何かもう、凄すぎる。
「おーい、洋子ぉ! 長旅でもうお腹ペコペコだから、早く美味しいごはんを食べさせてよ~!」
奥の方からそんな声が聞こえた。
「おっ、シェリーが来ているのか?」
「そうよ。今日、日本から帰国したんだって」
「えっ、シェリーさん日本に来ていたの?」
「ちょっとだけ、お仕事でね」
微笑むお母さんに案内されて、僕らは奥の食堂スペースにやって来た。
そこもまた広いなぁ、と感心していると。
「あら?」
そこに座っていたブロンドの美女と目が合う。
一瞬だけ、ポカンとする僕だけど……
「……あっ。あなたは」
「えっ、幸雄どうしたの? もしかして、シェリーさんのことを知っているの?」
「いや、その……」
「ジェームス、洋子」
ブロンドの美女は言う。
「この二人、飛行機の中でラブラブちゅっちゅしていたよ♡」
「「「えっ?」」」
橘一家が目を丸くする。
そして、僕は口をあんぐりと開けた。
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