73 お留守番する遥花ちゃん

「じゃあ、行って来るよ、遥花」


「いってらっしゃい、ダーリン♡」


 そう言って、あたしは大好きな彼に対して唇を突き出す。


 彼は少し照れながらも、キスをしてくれた。


「……えへへ♡ 行ってらっしゃいのチューできた」


「あはは。夕ご飯には帰るから」


「じゃあ、美味しい物を作って待っているね♡」


「うん、楽しみにしているよ」


 幸雄は笑顔で出て行った。


「……さてと」


 今日、幸雄は友人の藤堂くんと遊ぶらしくて出掛けた。


 だから、久しぶりにあたしが一人でお留守番。


「えっと、食器は洗ったから、お洗濯をしようっと」


 あたしはルンルンとステップを踏みながら脱衣所に向かう。


 けど、その途中で、


「あっ」


 うっかり、つまずいてしまう。


 普通なら、転ぶ瞬間、とっさに手が出るだろう。


 けど、あたしの場合は……


「ほっ!」


 バルルン!


 おっぱいを床に突いた。


 そして、その勢いでまた元の姿勢に戻った。


「えへへ、遥花ちゃんナーイス♡」


 今の、幸雄に見てもらいたかったなぁ、と思いつつ。


 あたしは脱衣所に行って洗濯物をする。


「あ、これダーリンのシャツだ……」


 家には自分しか居ないと分かりつつも、すぅっと匂いをかぐ。


「……はぁ、早く帰って来ないかな」


 まだ出掛けたばかりなのに、もう彼のことが恋しい。


「ダメよ、遥花。もし将来、結婚して、ダーリンがお仕事を始めたら、毎日コレだもん。今の内に慣れておかないと」


 ピッ、とドラム式の洗濯機を回す。


「さてと……」


 窓から差し込む日光を浴びながら、あたしはエクササイズのビデオを見る。


「はい、ふとももを上げて!」


 もちろん、それを見ながら自分でもちゃんと真似してトレーニング。


 ちゃんと痩せて、いつまでも綺麗でいたいから、ダーリンのために♡


「よっ、ほっ、はっ」


 けど、やっぱり、おっぱいが邪魔だ。


 いちいち、ブルルン! ブルルン!と揺れちゃって。


「ふぅ、肩が凝るなぁ」


 日頃からちゃんと胸回りを鍛えているけど。


 それでもやっぱり、重い物は重い。


 この前、また重さを計ろうと思ったら、勢い余って計りを壊しちゃったし。


 あの時のダーリンの顔、可愛かったな♡


「汗かいちゃった」


 洗濯が終わるまでまだ時間があるから、お風呂に入ることにした。


「はぁ~、汗をかいた後に浴びるシャワーは気持ちが良いなぁ」


 まずはサッとシャワーで汗を流す。


 それから、スポンジで泡立てて、体を洗う。


 そういえば、人によってどこから洗い始めるか、違いがあるらしいけど。


 あたしはもちろん、おっぱいから♡


「ゴシゴシ、と♡」


 胸の表面だけでなく、谷間にもスポンジを挟む。


 そして、スポンジではなく、おっぱいを動かして中までピカピカにする。


「んっ……! ちょっと擦れちゃった♡」


 スポンジを谷間から出すと、後は全体を洗う。


 シャンプーもして、湯船に浸かった。


「そういえば、昨日。ここで幸雄とエッチしたんだよね……」


 また、あたしの方から誘ったんだけど。


 彼は戸惑いつつも、いつものように優しく受け入れてくれた。


「あっ、思い出したら……」


 あたしはダーリンにごめんなさいと言いながら、しばらく自分でしていた。


「……はぁ、はぁ」


 湯船に浸かったまま果てたあたしは、しばらくボーっとしていた。


 けど、のぼせるとダメだから、仕方なくお風呂を出た。


「あ、そうだ……」


 あたしは宿敵を睨む。


 そう、体重計だ。


 女子にとって、すべからく現実を見せつける、ちょっと嫌なやつ。


「お願いします……」


 あたしは少し祈りつつ、そっと体重計に乗った。


「……そ、そんな」


 あろうことか、体重が増えていた。


 そんな、ちゃんと運動をして、クビレだって前よりも……


「……あっ」


 ポヨヨン、と。


 体重増加の原因たる子が可愛く跳ねた。


「こら、また大きくなって。ダーリンにも、オールワンまでねって言われているんだからね」


 一人でおっぱいに語りかけてしまう。


「あ、洗濯が終わった」


 ドラム式で乾燥まで一気に済ませてあるので、後はたたんでしまうだけ。


 あたしはキャミソールとパンツだけ着て洗濯物を取り込みたたむ。


 ちなみに、ブラはしていない。


 今日は宅急便も来る予定が無いから。


 ワガママなおっぱいを解放してあげないとね。


 それから、お昼ご飯を食べる。


「いただきます」


 作ったのは月見そば。


 それを一人でちゅるちゅるとすする。


 あまりにも寂しかったので、パシャリと自撮り。


 そして、幸雄にLINEで送る。


 すると、すぐに返事が来た。


『遥花のおっぱいのせいで、秀彦が鼻血を噴いた』


 あっ。


 イケない、ダーリンにアピールするつもりで送ったのに。


 ごめんなさい♡


 それから、リビングでテレビを見たり、本を読んだりしてくつろいでいたけど……


「……寂しい」


 もうダーリンの温もりが恋しくて仕方なかった。


「……またしちゃおうかな」


 あたしはソファに寝転がると、そっとパンツの方に手を伸ばす。


「ただいまー」


 玄関先から声がしてビクっとする。


 けど、あたしはすぐに、


「ダーリン、お帰りなさ~い!」


 玄関まで猛ダッシュをして、彼に抱き付いた。


「おわっ、遥花」


「もう、寂しかったんだからね~!」


「ごめんね、ただいま」


 微笑むダーリンに、あたしはちゅっちゅとしちゃう。


「ねえ、もう我慢できないの」


「えっ、ちょっと待って。さすがに玄関では……」


「えーい!」


 あたしは強引にダーリンを押し倒し、


「あんあんあんあ~ん♡」


 イチャラブしてしまった。







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