60 引っ越しのごあいさつ
一通りの家具を揃えて、僕と遥花の新生活が始まった。
まだ春休み中だから、今日は同じマンションに住む人たちに二人でごあいさつをしていた。
「新しく入居した者です♡」
遥花は粗品のタオルを渡しながら言う。
「あらまあ、随分と若いご夫婦ね~」
「やだもう、違いますよ♡ あたし達はまだ高校生なので」
「えっ、高校生!? その割には……すごいおっぱいね」
「えへへ♡」
「ママ~、このお姉ちゃん、ママよりもすごくおっぱいが大きいよ~!」
「う、うるさいわよ!」
「あはは、子供ってかわいい~」
「じゃあ、失礼します」
僕らは会釈をしてその場を後にする。
「はぁ~、あたしも早く大人になって幸雄と結婚して、子供が欲しいなぁ」
「そうだね。何人くらい欲しい?」
「二人かな。男の子と女の子、一人ずつ」
「女の子は、きっと遥花に似て可愛いよ」
「男の子だって、幸雄に似てイケメンだよ♡」
すると、前の方から子連れのご夫婦がやって来た。
「あ、初めまして。新しく入居した者です」
「あら、こんにちは。新婚さん?」
「いえ、まだ高校生なので。いずれは結婚します♡」
「あらま~……ていうか、すごいおっぱいね」
みんな言うな~。
「ああ、確かにな」
「ちょっと、あなた! 若い子にセクハラしてんじゃないわよ!」
「ち、違うよ!」
「えへへ、ちょっとくらいなら良いですよ」
「おぉ~、良い子だなぁ」
「あんた、彼氏くんに悪いからちょっとは遠慮しなさい」
「だ~!」
すると、奥さんが抱いていた赤ちゃんが遥花を見て声を上げた。
「ん、どうしたの? お姉ちゃんにだっこして欲しい?」
遥花が手を差し出す。
「ごめんね~」
「いえ。あたし、子供が好きなので」
そう言って、遥花は笑顔で赤ちゃんを抱きかかえる。
「だぁ~!」
「わぁ~、可愛い」
僕はつい、赤ちゃんを抱く遥花を見て、未来の幸せな家庭を想像してしまう。
「あらあら、この子もすっかり懐いちゃって」
「嬉しいです」
すると、赤ちゃんがふいに遥花の胸をパクっとした。
「へっ?」
そのまま、ちゅううぅ、と吸う。
「んっ、あっ!」
「「なっ!?」」
男である僕と旦那さんが同時に反応した。
「ちょっと、この子ったら! 私のよりも凄い勢いで吸っているわよ!?」
「いや、突っ込む所そこですか!?」
「んやあぁ! そんなに強くしたら、ダメ~!」
そう言いつつも、遥花は赤ちゃんを優しくあやしている。
ようやく、赤ちゃんは遥花の胸から口を離す。
「はぁ、はぁ……もう、将来はエッチな男の子かな?」
「あ、その子は女の子なの」
「えっ、そうなんですか?」
うーむ、遥花の極上の爆乳は、もはや男女を問わずに幸福にしてしまうんだな。
つい、感心してしまう。
「す、すまん……ぶほぁ!?」
そして、旦那さんが鼻血を噴き出した。
「ちょっと、あなた! 何を興奮してんのよ!」
「ごめんなさ~い!」
「だぁ~!」
幸福に代償は付き物かな?
◇
一通り、あいさつを終えた僕らは部屋に戻った。
「ふぅ、ちょっと疲れちゃったね。休もうか」
「そうだね」
僕と遥花はソファーに座る。
「ねえ、ちょっとヤキモチ焼いた?」
「え?」
「あたしのおっぱい、赤ちゃんに吸われちゃって」
「いや、まあ、相手は赤ちゃんだからね。仕方ないよ」
「じゃあ、幸雄も吸う?」
「えっと、じゃあ……ちょっとだけ」
「……あっ♡」
閑話休題。
「何か、ちょっと信じられないなぁ」
「え?」
「こうして、遥花とまるで新婚さんみたいな生活が始まるなんて」
「まだ、本当に夫婦じゃないけど……あたしも嬉しい」
僕と遥花は肩を寄せ合い、お互いにきゅっと手を握る。
「やっぱり、子供は3人が良いかも」
「3人と言わず、10人くらい作っちゃう?」
「じゃあ、11人。そうすれば、サッカーチームだよ」
「もう、どれだけあたしとエッチがしたいの♡」
「けど、あまり子だくさんだと、遥花と二人きりで過ごす時間が減るね」
「うん……じゃあ、今この幸せを思い切り噛み締めよ?」
「そうだね」
お互いに優しく、強く、手を握り合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます