53 こんな狭い場所に二人で……超密着にドキドキ♡

「え、呼び出し?」


 放課後、遥花と一緒に帰ろうとした時のこと。


「そうなの。何か風紀委員があたしのことを呼んでいるって、先生に言われたの」


 遥花は口の先を尖らせて言う。


「え、何だろうね? 別に服装とか乱れている訳じゃ……」


 ドーン!


 遥花は見た目こそハーフで派手だけど、中身は至って真面目な日本の少女。


 だから、ボタンもきちんと留めている。


 けど、それが逆に罪なのかもしれない。


 閉じ込められたおっぱいが今にも爆発しそうだ。


「幸雄?」


「あ、ごめん。良ければ僕も一緒に行こうか?」


「え、本当に? ありがとう、心細かったの~♡」


 むぎゅっ、とその巨大な胸を押し付けられる。


「「「ちっ!」」」


 案の定、クラスの男子たちに舌打ちをされるが、これは殺傷兵器でもあるんだよと内心で諭しながら、僕は遥花と教室を後にした。


「あーあ、何を怒られるんだろう」


「まだ決まった訳じゃないでしょ?」


「でもでも、風紀委員に呼び出されるなんて……何かしら怒られるしかないでしょ?」


「大丈夫だよ、僕が付いているから」


「幸雄……♡」


 すると、遥花がきゅっと僕の手を握る。


「ねえ、ちょっとだけ寄り道したい」


「え、どこに?」


「誰も居ない所……」


「は、遥花。ダメだよ、遅くなったらそれこそ怒られるよ?」


「どうせ怒られるもん。だから、ね?」


 遥花の目はうっとり発情していた。


 こうなると、彼氏である僕の言うこともロクに聞かない。


「じゃあ……あそこの教室とか空いてそうだな」


 僕は遥花と一緒にその教室を開く。


 カギも無しに開くとか、不用心だな。


「あ、思い出した」


「え?」


「この教室、カギが壊れているから。他のカップルとかも、時たま来てイチャつくんだって」


「それって……ヤリ部屋ってこと?」


「え、シたいの?」


「いやいや、僕はそんな……」


 むぎゅっ。


大きなおっぱいを押し付けられて、軽く息を詰める。


「ねえ、幸雄ぉ……学校でももっとイチャイチャしたい♡」


「し、しているでしょ?」


「もっと、もっと……幸雄が欲しいの」


 ちゅっ、と甘くキスをされる。


 遥花はちろちろと舌を動かして、僕の舌と絡めようとする。


「こ、こら、遥花」


「ん、良いでしょ、ダーリン♡」


 すっかり発情モードの遥花は止まらない。


「幸雄……ちゅっ、ちゅっ」


 遥花はキスをしながら僕に抱き付き、甘えて来る。


 さすがに僕も男だから、そんなエロい彼女に対して、我慢が出来ない。


「あんっ♡ 幸雄がお尻を触ってる♡」


「遥花がいけないんだよ? こんなにエッチな子だから」


「幸雄が仕込んだんだよ?」


「仕込んだとか言わないで」


 僕は苦笑する。


 ちゅっ、ちゅっ、と。


 甘いキスは続く。


 僕はキスをしつつ、尻を揉みつつ、さらに胸を揉む。


「あんっ、あっ……あん♡」


 遥花の吐息が荒くなり、甘くなる。


「……もう、大好きなダーリンに弄られて……おかしくなりそう」


「大丈夫、もう遥花はとっくにおかしいよ」


「何よそれ、ひどい」


 その時、廊下の外で足音がした。


 まずい、と思った時。


 僕らはとっさにそばにあった掃除用具入れに身を隠す。


 教室の扉が開いた。


「お~、ここが噂のヤリ部屋か~」


「いやいや、噂だろ」


「何だよ、エッチしている奴らが居ると思ったのにな~」


 そして、また教室の扉が閉まると、彼らの声が遠ざかって行く。


「……行ったね、出ようか」


 僕はそう言うが、


「待って」


 遥花がぎゅっと抱き付く。


「え?」


「せっかくだから……もう少し、ここで密着しよ?」


「いや、密着しすぎでしょ? ぶっちゃけ、遥花の爆乳のせいでかなりぎゅうぎゅうだよ?」


「うふふ、幸せな圧迫死♡」


「とうとう僕まで殺す気か」


「ダメ、あたしと一緒に生きてエッチなことたくさんするの♡」


 遥花はまたキスをねだって来る。


 僕は仕方なく遥花の欲求に応える。


「あんっ、幸雄そんな所を触っちゃダメ……あんっ♡」


 蒸せかえるようなその密閉空間で、僕と遥花はしばらく一緒にいた。




      ◇




「……って、いつまで待たせるのよぉ!」


 目の前のデスクを思い切り叩く。


「れ、麗子さん! 落ち着いて下さい!」


「こまり、橘遥花は何で来ないの!? この私の呼び出しを無視しているのかしら!?」


「いえ、そんなことはない……と思います」


「言い切れないのね……ハッ、まさか」


「どうしました?」


「彼氏とイチャついて遅れている……なんてことはないわよね?」


「それは無いと思い……ますん?」


「ますん、って何よ。どっちつかずね」


「す、すみません」


「ていうか、本当にこの私の呼び出しをすっぽかしてイチャついていたら羨まし……きっちりと罰を与えないとね」


「麗子さん、本音が漏れかけて……」


「お黙り、こまり!」


「ひぅ!」







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