49 ホカホカにしてあげる

 お正月はすっかり寝正月、ずっと引きこもってしまった。


 だから、今日は久しぶりに遥花と外に来ていた。


「わあ、雪がサクサクだ~」


 遥花は軽くハシャぎながら言う。


 今日は二人で少し遠出した所にある自然公園に来ていた。


 湖には美しい白鳥の姿もある。


「ねえねえ、幸雄。雪だまる作ろうよ」


「良いよ」


「せっかくだから、あたしと幸雄をモデルにして、カップル雪だるまを作りたい♡」


「うん、分かった」


「じゃあ、早速スタートね」


 僕たちは協力してせっせと雪を転がす。


「よいしょ、よいしょ」


 遥花は息を切らしながらも、楽しそうに雪の玉を転がす。


「楽しそうだね、遥花」


「うん、玉を転がすのは得意なの」


「へぇ」


「もう、惚けちゃって。幸雄も知っているでしょ?」


「もしかして、下ネタ?」


「ふふふ」


 遥花はニヤリと笑いながら玉を転がして行く。


「よし、胴体部分は完成だ」


「幸雄、顔も出来たよ」


「じゃあ、これを上に乗せようか」


「うん」


「せーの」


 そして、ついに雪だるまが形になった。


 あとは、目とか鼻を付けてあげれば完成である。


「さて、どうしようか……」


「ふふふ。こんなこともあろうかと、用意して来ました」


 遥花は胸に手を突っ込むと、そこから小さな袋を取り出す。


「ホカホカだよ?」


 僕は手渡されたその小袋を持つ。


「うん、ホカホカだ」


「幸雄の手もあっためてあげようか?」


「いや、良いよ」


「遠慮しないで♡」


 遥花は半ば強引に僕の手を取ると、アウターの隙間から僕の腕を胸元に入れた。


「あっ……幸雄の手が冷たい……」


「遥花のおっぱいは……温かいね」


「手がかじかむと可哀想だから。ぎゅっとしてあげるね♡」


 遥花は両サイドから胸をぎゅっと押さえる。


 すごい胸の弾力を感じた。


「あっ、んっ……あっ……ダーリンのお手てが温かくなりますよーに」


 パフパフ、と僕の手を挟み続けている。


「んっ……温まったかな?」


 遥花は僕の手を胸から出して確かめる。


「おかげでホカホカだよ。ありがとう、遥花」


「どういたしまして♡」


「じゃあ、続きを……」


「もう片方の手も温めなくちゃ」


「えっ」


 戸惑う僕をよそに、遥花はまた僕の手を胸で挟む。


「あんっ……こっちの手も冷たい。しっかりと、温めてあげないとね」


「遥花さん、そんなに気を遣わなくても大丈夫だよ?」


「ダメ。あたしがダーリンの手を温めてあげたいの♡」


 そして、遥花はぎゅっぎゅとして、僕の手を温める。


「あったかくなーれ、あったかくなーれ」


 遥花は優しい声で言う。


「も、もう良いんじゃないかな?」


「んっ、もう少しだけ」


 遥花は仕上げにまたぎゅっぎゅとして、それから僕の手を離す。


「ホカホカになったね♡」


「う、うん。ありがとう」


「あっ」


 遥花はふと何か気付いたように声を出す。


「どうしたの?」


「今の間に、さっき温めた方の手がまた冷たくなったかも」


「いや、大丈夫だよ」


 僕は言うけど、遥花は首を横に振る。


「ダメなの」


 そして、今度は僕の両手を胸に入れて挟む。


 何だかとんでもない状態になってしまった。


「す、すごい。両手でも問題なく挟めるんだ。さすがは遥花……って、違う、違う!」


「うふふ、ダーリン♡ 遥花のおっぱいは気持ち良いかな?」


「まあ、気持ち良いけど……って、だから違うよ!」


「落ち着いて、ダーリン♡ 今、お手てを温めてあげるから」


 遥花はニコリと笑う。


「よしよし、冷たかったでちゅよね~。遥花ママが温めてあげまちゅよ~」


 そして、なぜか母性を発揮し始めた。


「は、遥花。さすがに恥ずかしいよ」


「恥ずかちい?」


「だから、赤ちゃん言葉はやめてよ」


「そうだね。あなたは私のダーリン♡」


 ちゅっ、とキスをされる。


 僕は軽く抵抗しようとするが、遥花に両手が捕まっているため、逃れることが出来ない。


 遥花は戸惑う僕をよそにちゅっちゅと熱くキスを迫って来た。


「んっ……はっ……お口も温めないとね」


「そ、その必要は無いと思うけど」


「何なら、全身も温まる?」


「遥花さん、さすがに自重しよう」


「雪の上で幸雄と……もう溶けちゃう♡」


「雪がね」


「あたしも♡」


「全く、遥花はどこに行ってもエッチな子だな」


「ダメかな?」


「まあ……興奮するけど」


「変態ダーリン♡」


 それから結局、僕は遥花の至極のおっぱいカイロを味わっていた。


「……あ、雪だるまが溶けちゃった」


 やはり、彼女と居ると目的を見失う。







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