34 文化祭の舞台裏で……二人きりのドキドキクッキング?

 待ちに待った文化祭当日。


「お帰りなさいませ、ご主人様♡」


 可愛らしいメイドの女子たちに迎えられ、学園の生徒を初め、校外の来客たちも顔を綻ばせている。


 色仕掛けみたいでちょっとどうなの?と思う所もあるけれど。


「ママ、このサンドイッチ美味しい~」


「そうね。ちょっと辛いけど、美味しいわ~」


 親子連れのそんな声を聞いた僕は、


「遥花、料理の評判が良いよ」


 キッチンでせっせと料理をしている遥花に声をかけた。


「本当に? 良かった~」


 遥花はホッとして嬉しそうに微笑む。


「黒田くん、接客の方が大丈夫だから、遥花ちゃんの料理を手伝ってあげて」


「うん、分かった」


「幸雄ぉ、二人きりだからって嫌らしいことするなよ?」


 これ見よがしに秀彦が言う。


「あのね……」


 強く否定したい所だけど、そうとも言い切れない自分がいることに気が付き、ガクリと肩を落とす。


「幸雄ぉ~!」


 すると、キッチンの方から遥花の声がした。


「ほら、愛しの彼女が呼んでいるぞ。せいぜい、乳繰り合いな」


「秀彦、後で殴るね」


 僕は笑顔でそう言ってキッチンに入る。


「ごめんね、ちょっとこの盛り付けを手伝ってくれる?」


「うん、良いよ」


 一応、僕も遥花の料理を手伝うためにメニューの盛り付けなどは頭に入っている。


 それに、普段から遥花の料理を手伝っていたから。


「あんっ、幸雄ってば上手♡」


「ありがとう」


「そこ、もうちょっとつまんで引っ張ってくれる?」


「こうかな?」


「やんっ、気持ち良い出来栄え♡」


 僕は遥花のそこはかとなくエッチな物言いにドキドキしながら、料理をメイドの女子たちにサーブする。


「よろしく」


「はーい」


 笑顔でお客さんの所に向かう彼女見送ると、


「幸雄ぉ、他の女子に見惚れているっしょ?」


「え? いや、そんなことないよ」


「良いなぁ、やっぱりあたしもメイド服を着ようかなぁ?」


「それはやめた方が良い。和やかな雰囲気のメイド喫茶が、一気に血の海と化すから」


「何よ、幸雄ってば失礼ね」


 だって、サイズが合っていないギチギチのメイド服なんか着たら、絶対に遥花のおっぱいが爆発してしまう。


 そして、男たちの鼻も決壊して血の海と化すのだ。


 遥花はそんな僕の気を知ってから知らずか、少しふてくされたようにフライパンを振っている。


「あっ」


「どうしたの?」


「ちょっと、ズボンがずれちゃって。悪いんだけど、直してくれる?」


「うん、分かった」


 見ると、遥花のGパンがズリ下りて、可愛らしいパンツがひょこっと顔を覗かせていた。


 僕は二重の意味で噴き出す。


「ちょっと、笑わないでよ」


「いや、ごめん……ズボンを上げれば良いかな?」


「うん」


 頷く遥花の背後に僕は立つ。


「じゃあ、行くよ?」


「良いよ」


 そして、僕はGパンをぐいと上げた。


「んあっ!」


「えっ!?」


 いきなり声を上げた遥花を前に僕は動揺する。


「ど、どうしたの?」


「ちょ、ちょっと、食い込んだから……」


「ご、ごめん! ていうか、火を消して自分ですれば良いんじゃないの?」


「ダメよ、いま大事な所だから。火加減を間違えられないの」


「そ、そっか」


「幸雄、今度は少し下げて。ベルトを緩めて良いから」


「わ、分かった」


 何だか嫌な予感がするけど、遥花の料理が生命線の一つだったりする訳で。


 彼女が料理に集中するためにも、僕は意を決してベルトを緩めた。


 そして、慎重にGパンを下ろして……


「やっ、あっ!」


 またしても遥花の声が響く。


 ビクッとした僕は手元が狂い、Gパンを落としてしまう。


 途中で身を屈めて何とかキャッチするが……


「…………あっ」


 目の前に、とても可愛らしいイチゴ柄のパンツがあった。


 僕は顎が外れそうな勢いで口をあんぐりと開く。


「もう、幸雄ってば。デザートの時間にはまだ早いぞ?」


 遥花がニコリと笑って言う。


「おーい、幸雄ぉ。料理は出来たかぁ~?」


 秀彦の声がして僕は慌てて立ち上がる。


「ん、どした? ていうか、何で橘さんを隠すように立ってんの?」


「いや、別に……」


「そんなに自分の彼女を独占したいのかよ。良いじゃんか、ちょっとくらい俺にも巨乳のおすそ分けをしてくれよ~」


「やだもう、藤堂くんってば。あまり幸雄をいじめないで?」


「ハハ、これは参った」


「料理はあと少しで出来るから、待っていて」


「りょーかい。幸雄、ちゃんと彼女をサポートしてやれよ~?」


 秀彦は少しご機嫌な様子でキッチンから出て行った。


「……ふぅ~」


 僕は深く長いため息を漏らす。


「ドキドキしたね?」


 遥花は不敵に微笑む。


「こんなこと言いたくないけど……やっぱり君ってちょっとバカだろ?」


 僕は呆れながら遥花のGパンを持ち上げた。


「とか言って、幸雄も興奮したでしょ?」


「そんな余裕は無かったよ」


 まあ本当は、ちょっぴりしたけど。


 また遥花が調子に乗ってエロさが加速するから黙っておく。


「はい、お待たせ」


 遥花は綺麗に包んだオムライスを差し出す。


「じゃあ、運ぶね」


「うん。あっ、そうだ」


「どうしたの?」


「今度、幸雄に『おっぱいオムライス』を作ってあげようと思って。もちろん、そのモデルはあ・た・し・だよ?」


 ウィンクしながら言う遥花を見て、


「……頭が悪すぎる」


「えへへ♡」


 僕は額に手を置きうなだれる。


 まあ、ちょっと楽しみなんだけどね。







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