32 汗だくの二人が茂みに隠れて……

 肩を並べて吐息を弾ませていた。


「気持ち良いね、幸雄」


「うん、そうだね」


 僕らはジョギングをしていた。


 スポーツの秋と言うし。


 遥花のシェイプアップ願望(別に必要ないと思うけど)も継続中みたいなので。


 ちなみに、遥花はスポブラを付けている。


 だから、その大きなおっぱいの揺れを周りの人たちに見られることはない。


 まあ、顔は抜群に可愛いから、どちらにせよ注目の的なんだけど。


「ちっ、カップルでイチャイチャ走りやがって」


 なんて声も聞こえて少し居たたまれない気持ちだ。


 けれども、遥花は気にすることなく笑顔で走る。


「遥花、ちょっと休憩しようか?」


「うん、そうだね」


 僕らは公園にやって来た。


 水道の蛇口をひねると、ゴクゴクと飲む。


「ぷは~……どうして、運動後の水道水は悪魔的に美味しいのかな?」


 遥花が言う。


「そうだね。きっと、頑張ったご褒美に運動の神様が美味しくしてくれているんだよ」


「ふふ、幸雄ってば可愛い」


「そ、そうかな?」


 いけない、こんな風にイチャついていたら、また周りからやっかみの声を受けてしまう。


「ねえ、幸雄」


「なに?」


「ちょっと汗かいて蒸れたから、スポブラを外したいんだけど……」


「良いんじゃない?」


「けど、幸雄以外におっぱいが見られちゃうから……」


 遥花は両腕で胸を隠すようにしながら、少し恥じらって言う。


「そっか……」


 僕は辺りを見渡し、


「じゃあ、あそこに行こうか」


 茂みの方を指差す。


 ちょうど生い茂った木々もあるから、十分に隠れることが出来るだろう。


「うん」


 遥花は頷いて立ち上がる。


 僕らは一緒にその茂みに向かった。


「よいしょ……」


 遥花はTシャツを脱いだ。


 汗でぐっしょり濡れたスポブラが露わになる。


 僕は目を背けようとするが、


「見て良いよ♡」


「いやいや」


「もう、照れ屋なんだから」


 僕は背中越しに遥花の衣擦れの音を聞きながらドギマギする。


「終わったよ」


「うん……って!?」


 遥花は上半身が裸のままだった。


 両腕で押さえてもこぼれそうなおっぱいがすごい。


「えへへ♡」


「は、遥花さん!」


「冗談よ♡」


「か、勘弁してくれよ」


 僕が腕で顔を隠している間に、遥花はTシャツを着た。


「あっ……どうしよう、替えのブラが無いから、浮いちゃう」


「し、仕方がないね。スポブラが乾くまで少し休もうか」


「うん。ねえ、あの木陰に行かない?」


「そうだね」


 僕らはその木のふもとに来ると、腰を下ろして幹に寄りかかる。


「ふぅ……冷たくて気持ち良い」


 遥花は目を閉じて言う。


「うん、そうだね」


 僕はぎこちなく笑いながら言う。


 つい、ノーブラ状態の胸に目が行きそうになるのを堪えていた。


「ふぅ、暑いなぁ」


 そんな僕の気を知ってか知らずか、遥花はTシャツの胸元を持ってパタパタとさせる。


「けっこう走ったからね」


「痩せたかな?」


「どうだろうね?」


「あっ」


「どうしたの?」


「ちょっと、擦れちゃって……」


「そ、そっか。女の子って大変だね」


「うん。好きな人がそばにいると、それだけでドキドキしちゃって……落ち着きなく立っちゃうから、余計に擦れるの」


「こ、困ったものだね」


 僕はそんな答えしか返せない。


 それからしばらく、無言の時が流れる。


「……ねぇ、幸雄」


「どうしたの?」


「エッチ……したいな」


「へっ? でも、外だよ?」


「じゃあ、キスだけで良いから」


「遥花……」


 頬を赤らめて僕を見つめる彼女が可愛らしくて、優しくそっとキスをした。


「んっ……あたし、汗くさくない?」


「大丈夫。ちゃんと良い匂いがするよ」


「それはそれで変態」


「ひ、ひどいな」


「ウソ、嬉しいよ♡」


 今度は遥花の方からキスをして来た。


 積極的に僕と絡まろうとして来る。


「ぷはっ……ねぇ、幸雄。おっぱいも揉んで?」


「え? いや、でも今は……」


「もちろん、敏感な所はダメ。けど、その周りなら大丈夫……たぶん」


「じゃ、じゃあ……軽くね」


「うん」


 遥花はコクリと頷く。


 僕はTシャツの下にある遥花のイケないノーブラおっぱいからなるべく目を背けて、ゆっくりと触れた。


「あっ……その優しい揉み方、好き」


「本当に?」


「うん。幸雄はキスもそうだし、力加減が絶妙で……いつも頭がクラクラしちゃう」


「エッチな子だね」


「誰のせいだと思っているの? あたしがこんな風になったのは……全部、幸雄のせいだよ?」


「遥花……あまり煽らないでくれ。本当にシたくなっちゃう」


「良いんだよ、シても?」


 遥花は真っ直ぐに僕を見つめて来る。


「一度、お外でしてみたかったの」


「遥花……」


 僕は目先の衝動に駆られそうになるが、


「……やっぱり、お家でしよう」


「……分かった。じゃあ、帰りは全速力で走らなくちゃ」


「……そんなに我慢できないの?」


「……うん、もう限界寸前だから」


「……イケない子だな」


「……バカ」


 それから、急いで帰ると言いながら、僕らは手を繋いで走って行った。







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