29 これが僕らの青春だ……!

 いつものように、学校帰りに遥花のアパートに二人でいた時のこと。


 遥花は何やら熱心にマンガを読んでいる。


「そんなに面白いの?」


 僕が尋ねると、遥花は顔を上げた。


「うん、面白いと言うか。興味を持って」


 そう言いつつ、遥花はマンガのページを僕に見せた。


「これは……」


 そこに描かれていたのは、巨乳の女子が胸の弾力でポヨンとボールを弾くシーンだった。


「あたしもさ、これ出来るかな?」


「うん、余裕で出来ると思うよ」


 何せ、3ケタさんですから。


「……あ、良いこと思い付いた」


「最近、よく思い付くね」


「おっぱいラリーしよ」


「おっぱいラリー?」


 僕は意味が分からず首を傾げる。


「えっと、確かこの辺りに……」


 遥花は部屋の隅に置いてある箱のそばに寄った。


 その際、スカートからパンツが見えたのは内緒だ。


 ちなみに、青のストライプ。


「あった、これよ」


「それは……」


「スーパーボールよ」


「ああ、何か懐かしいなぁ。で、それをどうするの?」


「こうやって……」


 遥花は自分の胸に軽くスーパーボールを当てた。


 ポヨンッ、と跳ねて畳に落ちる。


「上手いことやって、もっと高く遠くに飛ばせないかなって」


「ああ、どうだろうね。あくまでもマンガの世界とは違うからな……」


「ちょっとだけ、やってみない。幸雄も協力して」


「僕は何をすれば良いの?」


「あたしの胸に目がけてボールを投げるの」


「えっ? 上手く出来るかな?」


「大丈夫だよ。何度も練習すれば。とりあえず、やってみよ?」


「うん、分かった」


 僕はちょっとだけ童心に返った気分でスパボを握った。


「ちょっと、下から投げてみようか。ふわりと」


「うん、お願い」


 僕は遥花が痛くないように、ふわっと孤を描くようにスパボを投げた。


 上手く遥花の胸に当たってポヨンと跳ねる。


 そして、畳に落ちた。


「ちょっと、力が弱いかも。おっぱいラリーだから、幸雄が投げて、あたしがおっぱいで幸雄に返したいの」


「そ、そうなんだ」


「今度は上から投げてみて」


「え、大丈夫?」


「うん、心配しないで。力加減を間違えても、おっぱいの弾力でガードするから。おっぱいガードよ♡」


「ハ、ハハ……」


 僕は半笑いをしながら、上からちょっと強めに投げてみた。


 先ほどのように、上手いこと胸の上部に当たれば良かったんだけど。


 少し手元が来るって下の方にズレてしまう。


「あッ!?」


 胸にスパボがヒットした瞬間、遥花が短く喘ぐような悲鳴を発した。


「は、遥花!? 大丈夫!?」


 僕が慌てて駆け寄ると、遥花は胸を押さえて軽くビクビクしていた。


「……さ、先っちょに当たった」


「えっ? まさか、そんなピンポイントに……ご、ごめん」


「ううん、気にしないで……たまに、幸雄も強くつねる時があるから平気よ」


 遥花は少し涙目ながら笑顔で言う。


「は、遥花……」


「幸雄、あたし何だかハマって来ちゃった。こうなったら特訓よ!」


「そういえば、スポ根マンガも読んでいたね」


 ちょっとしたお遊びのはずが、いつの間にか本気で特訓が始まっていた。


 僕はとにかく遥花を傷付けないように優しく、けれども力を込めて投げることが要求されたので、ひたすらにスパボを投げて感覚を掴もうとする。


 そして、遥花もただ待つのではなく、自分のおっぱいで積極的に良いポジションを取りに行こうと試行錯誤していた。


 さらに、普段からしているというおっぱい体操の回数をさらに増やした。


 キャベツやからあげなど、おっぱいの成長に効く食材をたくさん食べた。


 彼女はストイックにおっぱいのコンディションを整えて行った。


 お互い、そんな生活が1週間ほど続いた。


 そして、迎えたこの日。


「遥花、目標は何回にしようか?」


「とりあえず、10回にしましょう」


「分かった」


 僕はスパボを持つ。


 遥花はおっぱいを構える。


 ちなみに、お互いに動きやすいTシャツと短パン姿になっていた。


「レディ、ゴー」


 僕はスパボを投げる。


 我ながら、絶妙な力加減とコントロールで遥花のおっぱいに向って行く。


 スパボがおっぱいに当たる瞬間、遥花も自分でおっぱいを動かし、ふわりとスパボを宙に浮かせる。


 きれいな孤を描いて僕の下に返って来た。


「やったー、上手く行ったね♡」


「さすがだね、遥花」


「幸雄だって、上手よ」


 それから、僕らはお互いの努力が実り、順調にラリーを続けて行く。


 僕がスパボを投げ、遥花がおっぱいでレシーブする。


 それはなさながら、ラリーというよりもバレーだ。


 まさか、おっぱいでバレーをするなんて。


 バカみたいな話だけど。


「遥花、痛くない?」


「うん、平気よ。この1週間、徹底的におっぱいを鍛えたから」


「さすがだね」


「幸雄、ラスト1回よ」


「ああ。行くよ、遥花」


「来て」


 僕は少し緊張したせいか、手元が来るってしまう。


「しまった!」


 スパボは目標よりも低く手前に落ちる軌道だ。


「えいやっ!」


 遥花は前のめりにダイブした。


 見事、そのおっぱいでスパボに触れる。


 それはまさしく、バレーのフライングレシーブさながらだ。


 遥花のファインプレーによって、スパボはふわりときれいな孤を笑顔で宙を舞う。


 そして、僕の手元に収まった。


「……やったよ、遥花」


 僕は小さく声を震わせ、遥花の下に向かう。


「幸雄……やったのね」


「ああ、遥花のおかげだよ」


「ううん、幸雄が一緒に居てくれたから、達成できたのよ」


 僕らは今までにない充足感を覚えながら、二人で熱く抱擁した。


「あ、そうだ。そのボール貸して」


「うん?」


 遥花は受け取ると、なぜかTシャツを脱ぐ。


 上がブラジャーだけの姿になった状態で、スポッとおっぱいの谷間にスパボを収めた。


「二人のウイニングボール、だね♡」


「あはは。やっぱり、遥花はエッチな子だなぁ」


「うふふ。幸雄こそ」


 僕らはお互いに満面の笑みを浮かべていた。




      ◇




「ねえねえ、美香。何かおとなり騒がしくない? ちょっと注意して来ようか?」


「ああ、良いの、良いの。可愛いバカップルがイチャついているだけだから」


 山本美香は壁の方を見つめながら、呑気にクッキーを頬張っていた。







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