26 きれいな花火の下で……
「え、花火大会?」
「うん、近所の河川敷であるみたいなんだけど。一緒に行かない?」
「もちろん、行く♡」
遥花はニコリと笑う。
「じゃあ、浴衣を着ちゃおうかな」
「え、無理しなくて良いよ」
「大丈夫、レンタルするから」
「そうじゃなくて、苦しいかなって……」
僕の視線を感じ取った遥花は、
「あっ、またおっぱい見てるし」
「ご、ごめん。けど、やっぱり心配だから」
「大丈夫だよ。前にも言ったでしょ? 女の子は好きな相手に可愛く見てもらうためなら、いくらでも我慢しちゃうんだから」
「遥花……じゃあ、せっかくだし僕も浴衣を着ようかな」
「え~、本当に? 嬉しい」
ピタっと抱き付いて来る。
「ねえ、エッチしよ♡」
「え? でも、またお隣の山本さんに聞かれちゃうんじゃない?」
「うん。この前も『おっぱいちゃん、いつもお盛んだね~』って言われたけど、もう慣れっこだよ」
「僕はちょっと慣れないかな……」
「ドーン」
そのまま畳の床に押し倒される。
「……うわ、下から見上げるおっぱいもスゴいな」
「もう、幸雄のエッチ♡」
「遥花の方がね」
僕は苦笑しながら言った。
◇
そして、花火大会当日。
レンタル浴衣の店に僕らは来ていた。
一足先に着替え終えた僕は少しドキドキしながら遥花を待っていた。
「お待たせ、幸雄」
声に振り向くと、僕は声を失った。
それくらい、浴衣姿の遥花は可愛らしかった。
髪型もいつもと違って、アップにしていて、より魅力が増している。
「わ~、幸雄の浴衣姿かっこいい」
「ありがとう。遥花こそ、すごく可愛いよ」
「え、本当に? 嬉しい……」
遥花は照れて顔を俯ける。
ふと見ると、彼女の立派な胸の膨らみが鳴りを潜めていた。
「あ、やっぱり、おっぱいが気になる?」
「あ、いや……」
「さらしを巻いてもらったんだ」
「え、苦しくないの?」
「うん。お店のお姉さんが上手にしてくれたから」
遥花が言うと、
「彼女さん、すごく立派なモノをお持ちですね~。あんなに大きいの初めて見ましたよ~」
ちょっとギャルっぽい店員さんがニヤニヤしながら言ってきた。
「あ、あはは……」
僕は恥ずかしかったので、
「じゃあ、行こう、遥花」
「うん」
遥花の手を取って足早に店を出た。
◇
やはり、大勢の人々で賑わっていた。
「遥花、はぐれないよう、しっかりと僕の手を握っていてね」
「うん」
遥花は素直に頷く。
「なあ、あの子メチャかわいくね?」
「金髪だよ、金髪」
「外人さん?」
「いや、ハーフじゃね?」
そんな囁き声が聞こえて来る。
例えおっぱいが隠れても、遥花は周りから注目を集めるんだなぁ。
「どうしたの、幸雄?」
「あ、いや。早く始まらないかなって」
「うん、そうだね」
ふと、遥花の目が並んでいる屋台の一角に向けられた。
「ちょっとお腹空いちゃったから、アレ食べても良い?」
「ん?」
その屋台には『極太フランクフルト』と書かれていた。
「浴衣とか汚さないかな?」
「大丈夫よ」
遥花は笑いながら僕の手を引っ張って行く。
「へい、いらっしゃい!」
「おじさん、極太フランクフルトを下さい。幸雄もいる?」
「いや、僕は良いよ」
「あいよ~! ぶっといやつ一つね!」
おじさんはササッと手際よくそれを用意する。
「すぐに食べるかい?」
「はい」
「ほい、可愛いお嬢ちゃんにはケチャップとマスタードたっぷりサービスだ!」
「ありがとうございます。わぁ~、本当に太いですね」
「だろう? 彼氏のと比べてどうだ~? 何つってな! ガハハ!」
「やだもう~、おじさんってば」
そして、屋台から離れる。
遥花はフランクの先っちょをかじった。
「うん、美味しい。やっぱり太いと食べ応えがあるね」
「はは、良かったね」
「けど……幸雄の方がもっとスゴいよね」
「えっ?」
「ううん、何でもない」
遥花はまたニコリと笑う。
その時、夜空に華やかな花が咲いた。
「わ~、見て見て! 始まったよ」
「うん、そうだね」
正直、僕は極太フランクフルトを食べる遥花に気を取られてそれどころじゃない。
「そうだ、ケチャップとマスタードがこぼれないように、先に舐めちゃお」
遥花はペロペロとフランクを舐める。
「よし、これで心おきなく食べられる」
遥花は少し大きめに口を開けてパクリとした。
「うん、美味しい。けど大きいから、ちょっと顎が疲れるね」
ふと、遥花は僕の方に顔を向けて、
「どうしたの? さっきからあたしの方をジロジロ見て」
「あ、ごめん」
「ううん、良いよ。幸雄に見つめられて嬉しいから♡ あ、やっぱり食べたい?」
「いや、大丈夫だよ」
「そう? わぁ、あの花火きれい」
「そうだね……遥花の方がもっときれいだけど」
「あん、ダーリンのバカ♡」
遥花がぎゅっと抱き付く。
例えさらしを巻いて姿かたちは隠してあっても、その圧倒的な柔らかさと弾力は全く損なわれていない。
むしろ、いつもと違う感覚で味わう彼女の胸に対して、僕はひどく興奮してしまった。
「……ありがとう、遥花?」
「え? あ、うん。どういたしまして」
僕の方が鼻血で浴衣を汚しそうだった。
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