25 二人だけの部屋で、たっぷり汗をかいて……
「遥花、これくらいで良いかな?」
「あっ、もっと……奥の方をかき混ぜて……」
「うん……これでどうかな?」
「あっ、上手……けど、もうちょっと優しくして」
「……これくらい?」
「うん……ちょうど良いよ」
「あ、何かトロトロして来たね……」
「もしかして、サラサラの方が好みだった?」
「ううん、僕はこっちの方が好みだよ、カレーは」
僕が言うと、遥花はニカリと笑う。
「えへへ、楽しいな~。幸雄と二人でカレー作るの」
「僕もだよ。遥花と二人だと何でも楽しいね」
「ちゅっ♡」
「わっ」
いきなりほっぺにキスをされて、僕はびっくりした。
「ごめんね。最近、幸雄を好きな気持ちがますます止まらなくて……ちゅっちゅしちゃうの」
そう言いながら、遥花は僕のほっぺだけじゃなくて首とかにもキスをして来る。
これは外国の血が騒いでいるのか。
「遥花、料理中はダメだよ?」
「分かった。その代わり、後でたっぷりしてくれる?」
「たっぷりはちょっと……カレーはたっぷり頂くけど」
「む~、カレーに嫉妬」
遥花はぷくっと頬を膨らませる。
時刻はお昼時。
僕らは暑い時にあえて暑い物を食べる精神で、今度はカレーを食べることにしたのだ。
「ねえ、遥花。やっぱり、ちょっとくらいクーラー付けておかない?」
「ダメよ、幸雄」
「けど、汗だくになっちゃうよ?」
「それが良いんじゃない。ダイエット効果もあるし」
「まだダイエットしていたんだ」
「そうよ。ダイエットは女子の永遠のテーマなんだから」
「大変なんだね、女子って」
苦笑しつつ、僕らは食卓に着く。
「「いただきます」」
そして、スプーンを構えていざ実食。
「「……美味しい~!」」
二人そろって舌鼓を打つ。
「やっぱり、カレーって最高だね」
「うん、美味しい」
「遥花のレシピが良いんだよ。後でまた教えてくれる?」
「幸雄のためなら、いくらでも教えちゃう♡」
「可愛いなぁ、遥花は。おっぱいもデカいし」
「やん、エッチ♡」
「何で僕なんかの彼女なんだろうね?」
「それは……幸雄のことを愛しているから……きゃっ、言っちゃった」
「何かもうお腹いっぱいになって来たな」
「ダメよ、幸雄ぉ。もっと食べて~。デザートだってあるんだから」
「あれ、そうなの?」
「うん。あ・た・し♡」
「……極上だねぇ」
「うふ♡」
いつも以上に甘々なやり取りをしているのは、きっとお互いに暑さで脳みそがとろけているせいだろう。
「あっ……暑い……けど、美味しい」
遥花は目を閉じて言う。
その際、彼女の首筋から噴き出た汗が滴り落ちる。
そのまま伝って行き、深い谷間に流れ落ちていく。
その光景は正に絶景だった。
「……すごいな」
「うん、すごい暑い」
「じゃあ、クーラーつける?」
「ダメ……あっ、でも苦しい……けど、それが快感だったりするの」
「前から思っていたけど、遥花って結構Mだよね」
「うん。幸雄の前では特に♡」
「えっ、僕はいつも優しくしているつもりだけど……」
「優しさの中にある男らしいトゲの部分が好き♡」
「そ、そうですか……」
いかん。これ以上、甘々なトークをしている場合じゃない。
今はこの暑さの中でひたすら、この辛さと向き合うんだ。
僕は皿を傾けて勢い良くカレーをかきこむ。
「すごい、幸雄の汗がセクシー……舐めても良い?」
「むぐっ!」
僕は遥花のハレンチ発言によって例のごとく噴き出しそうになるが、カレーでそれをしたら被害は甚大、おまけに遥花のアパートの部屋は畳なので、慌てて水で流し込んだ。
「……ぷはっ、死ぬかと思った」
「ごめんね、エッチな彼女で」
「いや、それは大いに結構なんだけど……」
「だよね。さっきから、あたしのおっぱいばかり見ているし」
「うっ……ていうか、また大きくなったよね?」
「誰かさんのせいでね♡」
まだ会ったこともないけど、お父さん、お母さん、あなた達の娘はどうしてこんなにエッチなんですか!?
「はぁ、すっごい汗かいちゃった……」
すると、遥花は汗でびしょ濡れになったTシャツを脱ぎ捨てる。
それから、ドデカいブラジャーも平然と取ろうとするので、
「いやいや、それはさすがにまずいから」
「そう? けど、蒸れちゃうから」
「うちわで扇ぎなよ」
僕はさっとうちわを遥花に渡すが、
「幸雄が扇いで?」
「マジですか?」
きっと、何を言っても無駄なので、僕は仕方なくテーブルから身を乗り出して遥花の胸を扇ぐ。
その際、遥花は指先で少しブラを浮かせていた。僕は決してその中身を見ないように目を背けながら手を動かす。
「はぁ、気持ち良い。やっぱり、幸雄のテクは最高ね」
「その言い方。普通にうちわを扇いでいるだけでしょ」
「えへへ。じゃあ、今度はあたしが扇いであげる」
「ありがとう」
僕は遥花にうちわを手渡す。
それから束の間、手の甲で汗を拭うために遥花から目を逸らしたのだけど……
「ねえねえ、幸雄。見て」
「ん?」
直後、僕は目を大きく見開く。
「ジャーン!」
遥花はうちわの持ち手の部分を谷間に挟んでいた。
そして、少し得意げに笑う。
「おっぱいに刺さっちゃった♡」
僕はあんぐりと口を開いて愕然とした。
いや、刺さっちゃったって……
「あの、遥花さん。その言い方は……」
「どうしたの? このままおっぱいで扇いであげようか?」
「……普通にお願いします」
クーラーオフにより異常な熱気も相まって、僕は鼻血が噴き出そうだった。
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