18 ただ、虫よけスプレーをするだけなのに……

 突然だけど、僕はスカートよりもズボン派だ。


 ひらひらとして女の子らしいスカートはもちろん可愛いけど。


 アクティブに動くイメージのズボンの方に魅力を感じてしまう。


 それから、ぴっちりとしているお尻のラインも堪らない。


 遥花は胸だけじゃなくてお尻も大きいから。


 その破壊力は凄まじい。


 そして、ズボンとTシャツの組み合わせが最強だ。


 遥花は腰のクビレも素晴らしいから、Tシャツ越しに想像してしまう。


「幸雄、どうしたの?」


 そんなボン、キュッ、ボンな僕の彼女だけど。


 今日は更にイチオシポイントがあった。


 それはおへそである。


 特別にへそ出しの服を着ている訳じゃない。


 恐らく、遥花はちょっと小さめのTシャツを着ている。


 そして、100cmの大台に乗っているバストによって持ち上がり、Tシャツの丈部分がちょっと足りなくなる。


 そのおかげで、おへそがチラ、チラと見えるのだ。


 これは、狙っているのかどうか、定かではないけど……


「……ふふふ」


 あ、狙っているかも。


 何か不敵に微笑んでいるし。


 遥花は頭も良いから。


 こんな風にあざとい戦略も立てられるのだ。


「大丈夫か、遥花?」


「ん、何が?」


「ただでさえ、夏で虫がいっぱい居るのに。その上、これから行くところは虫がたくさんいる所だよ? そんな風におへそを出していて良いの?」


「大丈夫、コレがあるから」


 そう言って遥花は、


「ジャーン! 虫よけスプレー!」


 得意げに小型のそれをポケットから出して見せた。


「おぉ、さすが。準備が良いね」


「でしょ? じゃあ、幸雄。あたしにスプレーして」


「え? 自分でしないの?」


「ダメ?」


「ダメってことはないけど」


「じゃあ、お願い♡」


 僕は遥花から虫よけスプレーを受け取ると、


 シュー、とそれをかけてやる。


「あっ……」


 なぜか遥花がエロい声を出した。


「ど、どうしたの?」


「ううん、何でもない。続けて」


「わ、分かった」


 僕は遥花の顔にかけないように気を付けながら、肩から徐々に下の方へとスプレーをして行く。


「んっ……あっ……おっぱいにもかけて」


「ぶっ! な、何で?」


「だって、こんなに目立っているから、虫もたくさん寄って来るかもしれないでしょ?」


「そ、そんな虫たちは嫌だ。サルとかの哺乳類なら、喜んで遥花のおっぱいに飛び付きそうだけど」


「幸雄のエッチ♡」


「何でだよ? 僕は君の話に乗って広げてあげただけなのに……」


「良いから、もっとあたしにスプレーをぶっかけて♡」


「前から分かっていたことだけど、遥花ってエロいよね。やっぱり、外人の血が流れているせいかな?」


「かもね。幸雄のことを見ていると、ムラムラが止まらないの」


「あまり調子に乗っていると、口にスプレーしちゃうよ?」


「お口にぶっかけるの?」


「だから、それはもう禁止!」


「ごめん、ごめん」


 ちなみに、現在僕たちがいるのは近所の公園だ。


 幸いなことに、周りに親子連れはいないから、遥花のハレンチ発言を聞かれなくて済む。


「ほら、スプレー終わったよ」


「ありがとう。すごく気持ち良かったよ」


「何で」


「ほら、暑いから冷たいスプレーが気持ち良いでしょ?」


「何かもう、遥花の言葉の節々がエロくないか疑っちゃうよ」


「ごめんね、エッチな女の子で」


「まあ、嬉しいけど」


「嬉しいんだ」


 遥花は夏日にも関わらず、僕の腕にぎゅっと抱き付いて来る。


「そういえば、ブラジャーとか数は足りているの? 大きいほど値段が高そうだけど」


「うん、正直ちょっと数が心許なくて。こんな風にあたしのおっぱいが成長したのも幸雄のせいなんだから、ブラジャー買って?」


「良いけど。じゃあ、適当にバイトでもしようか」


「やるなら日雇いのにしよ。二人で過ごせる時間が減っちゃうから」


「じゃあ、バイトしないのが一番だね」


「うん……じゃあ、ブラの洗濯が間に合わなかった日はノーブラで過ごすね」


「エロい男どもに視姦されて襲われるからやめた方が良いよ」


「大丈夫、襲われても良いように護身術を習っていたから、お父さんに」


「そうなんだ。そう言えば、遥花のお父さんって何をしている人なの?」


「ビジネスマンよ。それから、趣味で空手をしているから。日本の文化に惚れたみたいでね」


「あ、護身術って空手なんだ。じゃあ、遥花は僕よりも強いかもね」


「どうだろう。でも、お布団の上では幸雄の圧勝だけど♡」


「さっきから下ネタばかり言うのはこの口かぁ~!」


 僕は遥花の両頬をむぎゅ~、と引っ張る。


「い、いはいよ~(痛いよ~)」


「じゃあ、もう下ネタは言わないって約束する?」


「ほ、ほえは、ふひ(そ、それは、無理)」


「遥花ぁ~?」


「ひぃ~ん!」


 そんな風に僕らがジャレていると、


「ねえねえ、ママ。あのお兄ちゃん、すっごくおっぱいのデカいお姉ちゃんと遊んでいるよ」


「こら、見ちゃいけません!……でも、本当に大きいわね。最近の子は発育が羨ましいわ~」


 などと、いつの間にかご近所の親子連れさんに見られていたので、僕はボッと顔が暑くなった。


「……い、行こうか」


「……う、うん」


 遥花もまた赤面していた。







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