17 巨乳の彼女と海でデート

 夏と言えば海。


 そして、女子の水着。


「お待たせ、幸雄♡」


 その声に振り向いた僕は目を丸くした。


 白いビキニを纏った遥花の姿はやはり素晴らしかった。


 その圧倒的なサイズの胸がちょっと動くだけでプルプルと震えているし。


 周りの男達も目線が釘付けになっていた。


 当然、分かっていたことだけど。


 水着となると、普段とはまた違う凄さを感じてしまう。


「やっぱりビキニは良いなぁ。体育の時のスク水はパツパツ過ぎてくるしかったもん」


 ちなみに、男子もその時、全員がパツパツ状態だった。


 どこがとは言わないけど。


 僕だけは得意の賢者モードを発動して女子に引かれずに済んだ。


「可愛いよ、遥花」


「えへへ、ありがとう。でも、ちょっとサイズが小さかったかな?」


「また成長したんじゃない?」


「幸雄のせいでね♡」


 僕らがそんなやり取りをしている間、周りの男たちは彼女持ちでさえ涙を流して悔しそうな顔をしていた。


 本当にすみません。


「行こ、幸雄」


「うん」


 僕らは砂浜を走って海に向かう。


「それっ」


「うわっ、やったな」


「きゃっ……おっぱいが濡れちゃった」


「相変わらず、遥花はエッチな子だな~」


「幸雄こそ、あたしのおっぱいばかり狙って~」


 それは仕方のないことだ。


 周りにもけっこう、胸が大きいお姉さんとかいるけど。


 やっぱり、遥花のそれが圧倒的なのだ。


 何かこの前、自分から「3ケタ行っちゃった♡」とか言ってきたし。


 いかん、いかん。


 賢者モードになろう。


 スン。


「ちょっと、幸雄! せっかくの海なんだから、もっと弾ける若者の顔になって!」


「あ、ごめん」




      ◇




 お昼ご飯は海の家でラーメンを食べていた。


「ふー、ふー」


 遥花は可愛く息を吹きかける。


「焼きそばがイメージだけど、ラーメンも良いね」


「うん。あたし、ラーメン好きよ」


「何味が好き?」


「う~ん……みそかな?」


「そっか。僕はしょうゆなんだ」


「あ、実はあたしもしょうゆ派なの」


「無理して合わせなくて良いよ?」


「だって、幸雄と一緒が良いんだもん」


「遥花って本当に可愛いよね」


 僕が言うと、遥花は本気で照れたように顔を俯けてしまう。


「あ、暑いね」


 手で小さくパタパタと仰ぎながら言う。


 それによって、また胸がプルプルと揺れていた。


 いちいち眼福な彼女だなぁ。


「今度、ラーメンデートしようか」


「何それ、おかしい。けど、楽しそう」


「うん。夏はラーメン屋で冷やし中華が流行り出すけど、暑い時こそ暑いものが美味しいからね」


「うふふ」


 遥花は微笑む。


 冷ました麺をちゅるちゅる、と啜る様がまたエロかった。


「なに?」


「いや、自分の彼女にこんなこと言うのもなんだけど、遥花のエロさって罪だなって思って。今日もビーチの男どもの視線を独占していたし」


「そ、そんなこと言われても……あたしは幸雄の視線だけ独り占め出来れば良いもん」


「あ、ごめん。他のビキニのお姉さんにも見惚れていたよ」


「何でよ?」


 僕が冗談交じりに言うと、遥花は青い瞳でじろりと睨んで来た。


「見惚れて、見比べて、やっぱり遥花が一番だと思った」


「それなら許す」


 遥花は二カッと笑った。




      ◇




 夕焼けに染まる海はきれいだった。


 僕らは砂浜の上で三角座りになって、寄り添っていた。


 遥花は僕の肩に頭を置きながら、


「ねえ、幸雄」


「ん?」


「キスしよ?」


「うん、良いよ」


 ちゅっ、と僕らはキスをする。


「せっかくだから、ちょっと散歩しない?」


「うん、良いよ」


 僕らは手を繋ぎながら立ち上がる。


 サク、サク、と砂浜を進んで行く。


「夕日がきれいだね」


「そうだね」


 しばし、無言になる。


「……そこは、『遥花もきれいだよ』って言ってくれないの?」


「えっ? あ、ごめん。そんなロマンチックなセリフを思い付かなかったよ」


「幸雄もまだまだね」


 遥花はくすりと笑う。


 しばらく歩いて行くと、大きな岩が現れた。


「ここでUターンだね」


「うん」


 僕らは回れ右をして帰ろうとした。


「…………あっ」


 ふいに声がして、僕らはピタリと立ち止まる。


「「えっ?」」


 二人で目を丸くして顔を見合わせる。


 そーっと岩壁の端から向こう側を覗いた。


 そこでは、カップルがイケナイことをしていた。


 その大胆さと激しさに僕らはつい目を奪われてしまう。


「……す、凄い」


 遥花も手を口で押さえながら見入っていた。


 しばらくして、カップルが行為を終えると、僕らは背中を向けて歩き出す。


 またしばらく、無言の時が流れた。


「……あたし達にはまだ、外でするのは早いよね?」


「……うん、そうだね」


「……だって、恥ずかしいし、下手をすればマナー違反だもんね」


「……うん。僕たちは優等生だもんね」


「……自分で言っちゃうんだ」


 遥花はくすくすと笑う。


 それから、僕らはゆっくり歩いて来た道を早足で進む。


 シャワーを浴びてさっぱりして着替えて。


 今日お泊りするホテルに向かった。



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