9 君のおっぱいを守りたい
世間はGWを迎えていた。
きっと、家族や友人や恋人と楽しいレジャーに出掛けたりしているのだろう。
けれども、僕の家はそういった家族旅行に出かけたりしない。
そして、それは遥花も一緒だった。
「お待たせ、幸雄♡」
近所の公園のベンチに座っていると、遥花がやって来た。
「あ、ああ」
僕はのっけから目のやり場に困ってしまう。
この時期は初夏ということもあって、気温がぐっと上がる。
そのため、遥花はTシャツにジーパンというラフな格好。
そして、白くて横文字が書かれているそのTシャツが物凄く盛り上がっていた。
もちろん、胸の部分が。
また今日は一段とよく揺れているなぁ。
「ん、どうしたの?」
「いや、何でもない……」
僕はサッと目を逸らす。
遥花は僕の隣に座った。
「幸雄はGWに何もしなくて良いの?」
「うん、まあ。秀彦は家族と旅行に行ったし。特にすることも無いかなって」
「あたしも一緒だ」
遥花がそっと僕の手に自分の手を重ねる。
「……今日は暑いから、ほどほどに」
「ぎゅ~♡」
遥花は笑顔を浮かべて僕の手を握り締める。
どうしよう。顔を見て文句を言ってやりたいけど、そちらに目を向けると、どうしても胸の谷間に視線が吸い込まれてしまうようで、遥花を直視できない。
「お腹空いたでしょ? お弁当作って来たから」
遥花は普段の学校と同じように弁当の包みを開く。
「ジャーン! って、いつもと変わらないけど」
「十分だよ。僕はいつも通りの遥花の弁当が好きだから」
「お弁当だけ?」
「……遥花のことも好きです」
「合格♡」
遥花は笑顔で僕の頭を撫でる。
そのせいで、また谷間が間近に迫った。
いちいち、ぷるんと揺れるイケナイおっぱいめ。
「はい、幸雄。あーん♡」
ハッとして僕は口を開ける。
「お味はいかが?」
「うん、相変わらず美味しいよ」
「良かった。あ、麦茶もあるよ」
「ありがとう」
遥花は水筒に入った麦茶を紙コップに注いでくれる。
「そういえばさ、幸雄」
「ん?」
「さっきから、あたしのおっぱい見てるっしょ?」
ドキリ、としたせいで。
麦茶を受け取り損ねた。
バシャッ、と遥花にかかってしまう。
「きゃっ」
「ご、ごめん!」
僕は慌ててベンチの上に置いていたタオルを手に取って遥花の濡れたTシャツを拭いた。
「ああぁん!」
「えっ!?」
急に遥花が嬌声を上げたので僕は硬直した。
「は、遥花……なっ」
僕は目の前の光景を見て絶句した。
麦茶で濡れて透けた遥花のTシャツ。
そこに、ブラジャーは見えなかった。
何か突起みたいなのが、ぷくっと出ていた。
僕は初夏の気候も相まってダラダラと汗を流す。
「は、遥花、まさか……」
「うん、ノーブラなの♡」
「な、何で?」
「だって、どうせ後で外すし。その方が、幸雄も喜ぶと思ったから♡」
「いや、喜ぶというか……驚きの方が上です」
「ふふふ、大成功」
遥花はくすりと笑う。
「ていうか、隠さないと」
「大丈夫だよ、周りに人いないし」
「でも万が一、他の人に見られたら……嫌なんだ」
「幸雄……」
遥花はぴとっと僕にくっついて来る。
「……じゃあ、早くあたしの家に行こ?」
「あ、うん」
僕は豊満すぎる遥花のおっぱいの感触にくらつきながらも、何とか頷く。
「とりあえず、僕の上着を羽織って」
僕は着ていた薄手のアウターを遥花に着せようとする。
「幸雄、ボタンが閉まらない」
「何てワガママなおっぱいなんだ!」
「本当にねぇ」
「笑っている場合じゃないよ!?」
僕は無理やりボタンを閉めようとする。
「んぁ! ゆ、幸雄、む、胸が苦しい……」
「が、我慢してくれ……ふん!」
瞬間、悲鳴を上げたボタンが勢い良く飛んで僕の額にクリーンヒットした。
「ぐへっ!?」
僕はそのままノックダウンする。
「幸雄、大丈夫?」
「色々な意味で大丈夫じゃない……」
「あ、そうだ。良いこと考えた。あたしのおっぱいを隠しながら帰る方法」
「え、どうするの?」
「おんぶして?」
「え、おんぶですか?」
僕は立ち上がりながら聞き返す。
そんな僕があまり気乗りしないように見えたのだろうか、
「何よ、あたしそんなに重くないわよ……あ、でもおっぱいがあるか。お尻も最近、大きくなったし……」
「エロく育っていますね」
「バカ……」
「分かったよ。おんぶしてあげるから。今まで鍛えて来たんだし、たぶん大丈夫さ」
「さすが、頼りになるね♡」
「ほら、どうぞ」
僕は遥花をおんぶする体勢に入った。
「じゃあ、せーの……よいしょ!」
遥花が乗った瞬間、僕はズシリと重みを感じた。
背中に、おっぱいの重みを。
なぜ、こんな当たり前のことに気が付かなかったのだろうか。
僕はガクリと膝が折れかける。
「わわっ! ゆ、幸雄?」
「ハッ、ご、ごめん……」
「無理なら良いよ? あたし手ブラで何とか隠すから」
「いや、大丈夫だ。遥花のおっぱいは僕が守る」
「幸雄……かっこいい」
もはや、ただのバカップルだった。
「ねえ、あたしのアパートに着いたら……いっぱいしてくれる?」
「ちょっと疲れちゃったからなぁ……いっぱいは」
「ダーメ、いっぱいするの! だって、GWでお隣さんも他のアパートの人たちもみんないないから……思い切り声を出せるよ?」
「前から思っていたけど……遥花ってエッチだよね」
「エッチな女の子は嫌い?」
「好きだよ……どんな遥花でも」
「……ありがと」
遥花はひしっと僕の背中に抱き付いた。
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