第14話 上位魔族戦①
(フレイン側視点)
あたしは下位の魔族ですら戦った事すらないというのに、「弱く感じる」で済むのかな……?
途中で地下に繋がる通路を見つけて、分かれたけど……果たして勝てるのだろうか?
でも
それに、分かれる前に少しだけ聞こえた
あれが少し気になる。
『急がないと手遅れになる可能性があるな』
手遅れ……もしかして本当のあたしの親の命が……?
それなら辻褄が合う。人は命が削られていく度に魔力が減っていく。
少量の魔力で、尚且つ減っていくとなると……拷問を受けてる可能性が高い。
急がないと……!その途中で狙撃手人形のマゼラを出し、同行させる。
*
地下を降り、もぬけの殻の牢屋を一つ一つ確認しながら別の牢がある部屋に行く。
そうして進んでいくうちに広い場所に出る。
石造りの広間とたくさんの拷問器具。触った感じだと魔法で出来ている。
恐らく、これであたしの親を……。
近くの牢を確認しようとした時だった。
背後から攻撃魔法の気配がした。タイプは中距離。属性は闇!
咄嗟に高く跳躍し、魔法を回避する。
気配を感じた方に目を向けると、人のような姿、とがった耳に額にある二本の大きな角……これが、上位魔族。
「ほう……半端のお前が戻ってくるとはな。改めて名乗ろう。オレは「クレイマン」。上位の魔族であり、この家の管理者だ」
「あたしはフレイン=ヴァロード。半魔の人形師!そしてネクロ
クレイマンはにたりと笑い魔法で出来た槍を生成する。
あたしも背負っていたカバンから鉄球を取り出し、構えた。
「半端もの風情がオレに勝てるかな?」
「やってみなければ分からない!」
最初にあたしは鉄球を相手に当てずに振り回す。
ゴウン ゴウン ゴウン
鉄球を振り回す音が響く。
それを信じて、振り回す。空気をこちらに引き寄せているのか、クレイマンの衣服があたし側の方にたなびいてる。
「……」
「なかなかの気迫だな。だがそれで臆するオレではない」
それと同時にあたしは鉄球を上に飛ばす。
「上に飛ばした?投げ方を誤ったな」
違う。上に投げたのはちゃんと理由はある。
先ずはこれで反応するかの試し。上へ飛ばした鉄球を繋いでる鎖に魔力を込め、鎖自体を伸ばす。そして頭上に思いっきり落とすように鎖を引っ張り、動かした。
「【
鉄球がクレイマンの頭上に落ちる。まずはこれで反応を見る。
ガキン!
落ちた鉄球を槍で弾く、負けじともう一つの鉄球をぶん回して投げる。
あたしの鉄球は柄がない。両方とも鎖で繋がれた武器で、どれも攻撃、守りに転じれるものとなっている。
「ふん!」
さらに投げた鉄球が弾かれる。引っ張ってはぶん回して投げる。
「こいつ……鉄球を剣のように扱ってるな」
「どうも、あたしはパワーで押すタイプなので!」
今度は使い方を変える。鎖を経由して鉄球に魔力を付与する。
効果は……。
グググッ!
「?!鉄球が大きくなった!?」
二つの鉄球を大きくして同時にぶん投げる。生憎、中心となる持ち手の鎖は背中に。
だから手放していない。
「大きくしたところで変わらんぞ!」
はて?それはどうかな?
全ての鉄球を弾いた時だった。
『ヘッドショット』
バンッ!と魔法長銃の銃声がなる。あたしの攻撃が弾かれたと同時に無防備になった頭をマゼラが撃ち抜いたのだった。
弾はクレイマンの額には当たらなかったが、大きな角を一本折った。
「バカな!」
『誤差を修正する』
今の射撃でクレイマンが狼狽える。落ち着かせる隙を与えずにあたしは鉄球をぶん投げる。
投げた鉄球は一直線にクレイマンの顔面に目掛けて飛んでいく、上手く対応が取れずに
「!!」
ドゴォッ!
一度の攻撃が直撃し、もう一つの鉄球を魔力を込めて全長三メートルまで鉄球を巨大化させる。
「な!?」
「トドメ!」
巨大化した鉄球をぶん回してクレイマンに向かってぶん投げる。
その攻撃が見事に直撃し、壁を貫通して隣の部屋の壁をぶっ壊す。
その先にはあたしには見覚えがあった。
騎士のような鎧を着て、蒼い髪が目立つ男性と白い魔力のローブを着て、腰まで伸びている白髪の若い女性が一緒に牢に入ってた。
「お父さん……お母さん!」
あたしはついに、本当の親を助け出したのだった。
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