#5 絶対に知られてはいけない【僕ら】の関係 前編

通り魔事件を装って交際相手を刃物で襲った村山武は工藤俊輔とトクヨちゃんの連携により確保され、その後に名古屋県警刑事部捜査一課に勤務する宇垣陽子達に引き継がれた。すると宇垣の年上の部下である小野寺宗介は工藤がなぜ、今回の事件を未然に防げたのかが疑問に思い、宇垣に取り調べの許可を貰い彼を取調室まで呼び寄せた。ー

「いや今回の事件はお疲れだったね、工藤俊輔巡査部長。」

「いえ、僕は何も…。」

これは取り調べでは無い為、取調室の机にはお茶と和菓子(工藤の好物)が置かれていた。通常、事件の被疑者には飲食物への提供は利益供与と呼ばれ、自白の強要の一種と数えられ禁止されている。そうした場合だとその時は自供をペラペラとその場で話しても検察や裁判所に身柄を移された場合に供述を覆してしまう為だ。しかし、工藤は警察官であるためかそのような問題は無い。先ずはリラックスして話し合いをしようと言うのが小野寺の弁だった。

「実は不思議だと思ってたんだよ。」

「不思議?何がでしょうか?」

「いや、君は村山武元警部補が今回の通り魔に見せ掛けた交際相手への殺人未遂で、村山が今回の事件に関与し,通り魔に見せ掛けての犯行に及んだという確証を,一体どこで得た?」

工藤は小野寺からのその質問に身震いを覚えた。本当はスマホの謎のアプリ【トクヨちゃん】だと知られてはいけないからだ。

「僕は…。」

続く

あとがき

今回約3ヶ月ぶりくらいにサーチワン・アプリを描きました。これからも定期的に書いていこうと思います。

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