#4 僕とトクヨさんの最初の事件。後編

 現場に到着した。工藤は男に声を掛けた。

「村山武、警部補ですね。」

 それは今朝、携帯の修復を依頼してきた男性刑事だった。

「何で分かったの?工藤君。」

「貴方の県警配属前の履歴書を僕のツテにサーバーで調べてもらったんですよ。すると貴方は警視庁刑事部捜査一課に配属してた時期に強盗事件で検挙した犯人から得た金を不正に横領していた。そして、貴方は本庁に会計課に勤めていた元警察官の恋人の女性を口封じに殺そうとした。」

 すると村山は高笑いをした。

「ハハハ、そうか。『そうとした』って事はアイツ、生きてたの?へぇー、しぶといねー。結構、この刃で押し殺した筈だったんだけどな。」

「自首してください、村山さー」

「する訳ねぇだろ、ボケが。」

 そう言うと村山は工藤に切り掛かった。工藤は自慢のフットワークと反射神経で村山の攻撃を捌いていたが、武術は恐らく向こうの方が上なのだろう、あっという間に追い込まれた。窓際部署に勤めて長いからか術科訓練は疎かにしがちだったツケが回ってきたみたいだ。するとトクヨが声を上げた。

「『股間を蹴り上げな!!俊輔。』」

 止めの一撃を振り下ろしたがそれにびっくりした村山に工藤はとっさに右足を彼の股間に目掛けて横薙に蹴り上げた。悶絶した村山に工藤は得意の背負投と手刀で気を失わせ、所持していた。手錠を村山に掛け、トクヨが通話機能で工藤の声で110番通報した。ー

 数時間後、名古屋県警捜査一課刑事の宇垣陽子が廃工場の鉄格子に手錠と共に繋がれている同僚である村山武を発見した。

「全く何処のどいつよ。こんな状態のホシを発見したのは。」

 すると2歳年上の部下である小野寺宗介が『あそこにいる彼です。』と工藤を差した。すると何故か宇垣は工藤の顔を見た瞬間に胸の奥がキュンとした気持ちになった。そう、宇垣は工藤に常日頃、恋心を寄せている女性だからだ。ー

第一話 終わり 次回に続くー

あとがき 

 股間を蹴り上げて逮捕だなんて2ヶ月前に放送終了した絶対零度未然犯罪潜入捜査2020〜の小田切さんかよと我ながら書いてて思いました。トクヨはMAOさんか、花澤香菜さんがCV(キャラクターボイス)で良いと前に書きましたが、主人公の工藤俊輔は若手俳優の横浜流星くんで、ヒロインの宇垣陽子は若手女優の馬場ふみかさんがいい感じですね、今の所は。【あとがき⇨6/18(木)変更済み】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る