第64話四葉グループ

四葉商事役員会議


四葉商事本社会議室では、議長の総務部長がこの度の会議について説明を始める


「この度四葉グループ各関連会社の代表者に集まって頂いたのは四葉グループ四葉孝蔵総取締役から定例会議の後報告があります。


その後緊急の人事案件について話がありますので、いつもより時間が長くなることを先に報告しておきます。」


会議には一葉総合企画代表取締役九条道夫(元梨香の夫)も一条彰も参加していた。


一条の役職一葉総合企画開発部長では、この重役会議には参加できないはずなのだが、孝蔵の命令で参加が許されていた。


本人は孝蔵社長よりあらかじめ聞いていたため堂々としていた。


本人は将来を見込んで重要ぽを任されるので、周りを気にする事なく会議に参加している。


周りも取締役以外の役職者がいることに驚いているが、総取締役孝蔵からの推薦だと聞いて皆何も言わず様子を見ている。


議長の冒頭の説明の後グループのいつもの現状の実績等報告される。


各代表者が指名され報告をし、今後の展開も報告していく。


全てのグループ会社の報告が終わった後、今回の本題を司会者が簡単な概要が説明していく。


来期よりアメリカ合衆国で新エネルギーの新会社を立ち上げる事を告げその取締役のポストに一条彰が任命される。



司会者が詳しい容を述べて貰うのに四葉孝蔵取締役の名前が告げられる


「では新会社についての詳しい内容について四葉孝蔵代表取締役に説明して貰います。ではお願いします。」



孝蔵が立ち上がり説明を始めようとした時に会議室の扉が開かれる。


ガチャ!


「緊急のため失礼します。」


司会者が扉を開けた者を叱責する


「おい!今重役会議中だぞ!誰の緊急だ!」


孝蔵も怒り後にするよう命令する。


「今から重要な話をするんだ!後にしろ!誰だこんな時に緊急だと言ってくる奴は!」


開かれた扉から入って来たのは着物姿の二人の女性と若い女性数名入って来る

着物姿の女性は司会者の横まで行き威圧のある声で会議に参加してる者に語る。


「私です。孝蔵取締役!緊急だと申しました。すぐにその議題の話を止めなさい!

これは命令です!」


その言葉に会議室は静まり孝蔵は面子を潰され樺音を睨み付ける。


扉から入って来たのは四葉グループ会長四葉樺音が相談役四葉麗奈、会長秘書、監察官、弁護士を伴って入って来たのだった。


皆席から立ち上がり一礼する


樺音が会議室全体を見わたし人物を確認した後着席するように促す。


「皆様お座りになって下さい。司会者も椅子を用意して座りなさい!ここからは相談役の麗奈が進行役をします。」




四葉樺音は一段高い会議室前方の場所に座ると全体を見渡し一条彰を確認すると、一条彰は目が合うと微笑み軽く頭を下げる。


それから一条は何を勘違いしたのか態度が大きく変わる。


それを見て少し微笑み樺音は皆にこの会議を孫の優里奈を見学させる旨を伝える。


優里奈は麗奈の秘書に連れられ入って来る。

優里奈は一礼して用意された椅子に座る


それを見て樺音は麗奈に目で合図する


麗奈は各グループ代表者が注目する中、ゆっくりと話し出す。


「皆さん今期の各社の成績について話し合われたと思いますが、どうですか?

来期の対策はできまして?今期なぜ落ち込んだか原因はわかってますか?

その上で新会社ですか?グループ全体に業績が落ち込んでるのに大丈夫ですか?

当然わかった上で新会社や来期の対策を話し合われたと思いますがどうですか?

どう?一葉総合企画代表の九条さん!」


いきなりの指名に戸惑う九条道夫はしどろもどろで答える事は出来ない。


「あらどうしたのかしら…」


麗奈は問い詰めようとしてわざと止め、一条をちらっと見て本題を話し出す


「まぁいいわ、本来ならこの場に参加出来ない方も来て頂いているようですが何故かしら?誰かの指示でもない限り・・・」


それを聞き秘書のエミリーが近づき耳打ちする


一条は自分が注目され盛大に勘違いをする。


『ふん!やっと俺の事を認めて四葉の重役として責任ある部署を任せる気になったか…


俺をどのグループの代表にするんだ?遅いんだよ!バカが!』



麗奈は一条の事には全く触れず秘書達に指示をして皆に資料を配る。


「エミリー、ルーシー」


呼ばれた二人はモデル級の容姿とスタイルに膝上のミニスカートスーツ姿で資料を配って行く。


一条は自分の参加理由が告げられたはずなのに全く反応しなかった事に疑問に思うも、すぐ資料を配布する秘書に目が移りニヤニヤ笑みを浮かべる


当然これは狙っての事だった。

そして秘書の一人が一条の近くまで来てわざとつまづきよろける。


「きゃっ」


それを一条は素早く動き受けとめる。


一条はその時どさくさにまみれ軽く胸もさわる


「ありがとうございます」


「君のような美しい女性が怪我して欲しくないからね。」


秘書は一条の言葉に全く反応せず再び資料を配布する。


優里奈もその状況は見ていた。

まるで汚物でも見るように冷ややかに…


『ほんとこんな男に私は… 早くあの汚物を処分して頂いて、ほんとの王子様の所に行きたいわ』


秘書が横に戻り麗奈は話を始める


「皆さんに渡した資料は広告、音楽、出版、映像の各グループ会社の業績です。」


代表者達は目を通して行く。九条道夫も、一条彰も資料を見る。


どの部門賞も前半は例年通りの上昇傾向だったが、そこからは下降し特に直近は急激に落ち込んでいる。


特に九条の広告部門が特に酷く、道夫も固まっている。


一条は我関せずのように、さらっと見て資料をテーブルに置き、先程の秘書を見つめていた。


参加してる者の表情は全て、華音の座るテーブルにあるモニターで確認できるようになってるので、それを樺音と麗奈は見ている。


二人は小声で話す


『この男はどうしょもないわね。それを見て孝蔵も成仁も諌めないとは…』


麗奈は夫である成仁が一条の行動を見たのにも関わらず何も言わない事に見切りをつけ呟く


『お母様やはり処分ですね。』


華音は頷き麗奈が立ち上がり話し出す。


「皆さんこれはまだ始まりに過ぎません。その状態で今期の業績です。これから全ての部門で今期以上に業績は悪化するでしょう。私達はその原因を掴んでいるからここに来たのです!

孝蔵取締役!新規事業を起こす前にやることがあるはずですよ!成仁取締役はこの事気づいてましたか?どうなんです!」


新規事業に釘を刺される孝蔵、業績悪化の件で叱責される成仁の二人は不貞腐れたように腕を組み麗奈を見る。

会議室参加者の他の取締役は全部門で今期以上に業績が下がると聞いてざわつく


それが暫く続き見かねた華音が一喝する


「静かになさい!今からその事について相談役が説明します。よく聞きなさい!」


華音の言葉に会議室は静まり返る。

 


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