第63話理沙と百合と美空

空がICUに入って2週間経過するも眠り続けたままだった。


その間美空は毎日通い続けている。


学校から病院家までの送り迎えは理沙と百合が交代で送っている。


美空は毎日空に楽しそうに話しかける


「パパ今日ショッピングモールでね。またスカウトされたんだよ。早く目を覚ましてくれないと私騙されて拐われちゃうよ。」


…………


「パパ私ねいつもね。寂しかったんだからね。お友達は成績上がってパパに誉めてもらったとか、パパとママと一緒に食事に言ったとか…聞いてて…」


………


「パパ…もしわたしが拐われたらママみたいに助けてくれる?」


・・・・・


「パパ・・早く目を覚ましてよ。私ずっと寂しかったんだからお友達はパパと楽しそうにしてるのに私にはずっといなくて寂しかったのに・・

やっと本当のパパが見つかったのにすぐ別れるなんて嫌だよぉ・・ぅぅ グスン」


・・・・・


毎日病院に来て空に話しかける美空を見て理沙と百合は空に目を覚ましてほしいと祈るばかりだった。


百合は美空を見つめ理沙に話す


「美空ちゃんの気持ちわかるなぁ・・今まで楓さんと二人だったけど、いなかったお父さんが現れて、それが自分の中で思ってた人と違って凄く強くて優しい人だとわかってパパって呼んでお話したいんだろうな・・」


理沙も頷き百合に話しかける


「私も空には早く目覚めてほしい。前に空が志保さんを助けるため大けがをして入院した時私ずっと看病してて、あの時女として目覚めたもん。


空が男性医師の診察で身体を触られ逃げ出し、窓から飛び出して梁に引っ掛かって、空が梨香さんにバイバイって言った時私夢中で走ってた。


落ちて行く空の手を掴んだ時、ビビって来て身体が熱くなったわ。この人は運命の人なんだと感じたわ。

だから空は絶対離さない!たとえ一緒に落ちてもって…


それから看病を続けて行くうちに、空を愛してしまってたわ。どうしようもないくらいに・・」


百合は何かを思い出すように話す。


「実はね。私前に一度空に会ってるんだぁ。皆みたいに派手な出会いじゃなかったけどね。

大学の時サークルの飲み会で飲んでて、かなり飲まされて、フラフラの状態でサークルの男の子達に連れられて歩いてたの。


男の子達は家まで送っていくからと言ってくれて、彼らの言われるまま歩いてたら公園に連れていかれて、知らないうちに服脱がされてたんだよね。

そこは外でエッチな事するので有名で、周りも似たような事してるし、見てる人も多くて、そんな場所だったみたい。


私も酔ってて朦朧として声も出さなかったから・・

たぶんだしても無駄だと思ったから…


あの時、あぁ私ここで犯されちゃうって思ってた。


酔ってたし抵抗もできないし、どうでもいいやって思ってた。


そしたらいつの間にか近くにリュック背負った小さい男の子が来てて、私も周りのサークル仲間もビックリしたわ。


男の子は私に言ったの『助けてほしいですか?』って・・」


「それでどうしたの?」


「勿論助けてって言ったわ」


理沙は距離を詰め真剣に聞いて来る


「それで!」


ちょっと近いってもう・・


「空はわかったと言って、サークルの子達を馬鹿にするように言ったわ。そしたら当然仲間も呼んでたから強気になってる男の子たちは空に殴りかかったわ。」


理沙は微笑み呟く


「それはお仲間さんご愁傷様だね。」


百合も思い出しながら微笑み話す


「フフフまぁね。その時まさか空がそんなに強いと思わなかったからあいつら仲間も10人くらい集まってて、私は謝ってたもんごめんなさいって。


そしたらもう空くんが馬鹿な男たちを瞬殺だもん。ビックリして酔いが覚めたわよ」


「ふーん百合もあるじゃん王子様体験」


百合は首を振り話す


「私はあの時犯されてもいいやって思ってしまったから・・でもあの後空に叱られたんだ…」


空は私に・・・


『お姉さんは馬鹿ですか!エッチしたかったですか!』


私は首を振ったわ


そしたら空は言うの。


『お姉さん男はエッチな事やりはじめると、どんどんエスカレートして、お姉さんが思ってる以上の酷い事されて後悔することになるんだよ!わかってる!』


私はこの子真剣に怒ってるって思って謝ったわ


『ごめん・・』


そしたら空は私に…


あの時の言葉今でも忘れない…


『謝るくらいならもうこんな事するな!馬鹿姉ー!コツン!』


「空はほんと私の事を心配してくれ、ほんとの弟に叱られてるようで、最後に軽くげんこつもらった時、涙が出て来て止まらなくなった。あの時叱られたゲンコツは未だに忘れられないなぁ・・」


理沙は百合の横に立ち空を見ながら話す


「私やっぱ空がいないとダメだ・・この気持ちは抑えられない。

百合の話聞いて改めて空の優しさ知って・・どんな形でもいいから空の側にいたい。空を失いたくないおぉ・・」


百合も頷き話す


「それは私もだよ。空は私の弟でもあり、私が間違った事したら叱ってくれる旦那様。愛人でもなんでもいいからずっと側にいる。」



そこに美空が話しかける


「お二人からパパの素敵なお話聞けて嬉しかった。最初は何であんなに沢山の女性がパパの事が好きだなんて信じられなかった。


でも理沙さんや百合さん達と同じで、ここに来たらみんなぱぱとの出会いの事や、自分たちのパパへの思いを伝えるから、パパがどんな素敵な人かわかった。


私もパパを好きになっていっぱい甘えたい。」


理沙と百合は美空を抱きしめ話す。


「私たちは家族よ。みんなで空を愛して、楽しく過ごすのよ。」

「そう私たちは家族、空はパパであり旦那様であり恋人よ。だから皆で空に愛をいっぱい注いで目覚めさせるの。」


美空は頷き空を見つめ呟く


「パパ早く目覚めて美空を抱きしめて!」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る