第62話ICUの空と美空と家族達
菫は美空の手をとり優しく話しかける
「私は楓がお腹の子供を生む事を反対したのよ。でも今思うと楓が反対を押しきってあなたを生んでくれてよかったと思ってるわ。」
美空は黙って聞いている
「だってこんなにも可愛くて優しい子なんですから、あの時は言えないような事情があったから…
その事は後でゆっくり話すから…
美空周りを見て!ここに集まってる綺麗な女性は全て空くんが命がけで助けた女性ばかりなのよ。
中には何度も助けてもらった方もいるのよ。
あなたの知りたい事については後で話すから、今は楓やここにいる方々の生きる希望の空くんを助けてくれないかしらお願い…ぅぅ」
真帆も泣きながら懇願する
「私の希望空のを助けて下さい…お願いします ぅぅ…」
集まった女性全員が泣きながら懇願する姿を見て、美空は手術室に向かって走りだす。
手術室に入ろうとする看護師に向かって叫ぶ
「私の血を使って下さい!」
手術室に入る寸前だった看護師は頷き、美空に説明をした後一緒に手術室に入って行った。
その後空は一命を取り留めるも意識は戻らず集中治療室に入ったままだった。
美空の事もあり空の関係者全員が今、菫の家に集まっていた。
菫はここにいる者全員空と家族になりたいと思ってる者達だと説明をし、空の過去について風香が説明を始める。
「美空さんに何故説明出来なかったかは空の過去を知ればわかると思います。
キャサリンも家族になるなら是非知っておく必要あるから、ただ覚悟が必要だから受け入れられないなら退席しても構わないから…
菫さんも恵美理さんも本当に覚悟いるから大丈夫ですか」
風香はまず自分と空の過去を話したあと空の小学生中学生時代の話を始める
「私は警視庁に勤める警察幹部の安西風香です。
私と空の出会いは …とまぁ裏組織に裸で拘束されてたところを助けて貰った。
警察関係者の私は、もし空が助けてくれなければ死んでいたか、男どもになぶられた後、薬ずけにされ海外に売り飛ばされていたでしょうね。
だから私は生涯空くんから離れるつもりはないわ。家族として空を守るつもりよ。
希望は私も空の子供を生みたいと思ってるわ。
それで話す前に、皆さんそれぞれの空との繋がりの過去と思いを自己紹介を交え話してくれないかしら…」
すると真帆、志保、紫苑が赤裸々に空との出会いの過去を話した後思いを伝える。
母親として接している梨香やサポートしている理沙と百合も空との出会いと思いを伝える。
そしてキャサリン、クリス、早苗も同じように出会いの過去を話したあと空への思いを伝える。
恵美理も空との出会いを話し思いを伝えると美空が驚いた表情を見せる。
『そんな…恵美理おばさまもあの男に助けられたの…』
そして最後に菫と楓が立ち上がり赤裸々に空との出会いと過去を話していく、明かされる事実を知りショックを受け涙を流す美空。
そして菫と楓も空がいかに大切かを思いを伝える。
話を聞いて泣き崩れる美空を二人は優しく抱き締める。
風香はそんな美空を見てキャサリン達と菫にも空の凄絶な過去を話す前にもう一度確認するために告げる。
「キャサリン、クリス、早苗、菫さん恵美理、楓、まだあなた達の知らない空の過去があるの。
これを知りそれでも変わらず空に同じ思いで接してくれないとほんとの家族として受け入れられないなわよ!覚悟はあるかしら」
するとキャサリン達3人は服を脱ぎ肌を見せる。
3人がそれぞれのタトゥーの場所を見させ熱く語る
「私もクリスも早苗もあの時男達に身体を汚されタトゥーまでされたんだ!
そんな汚れた私達を見て空は、優しく抱き締めてくれて身体を拭いてくれたんだ!
汚れた私達を優しく接してくれた空を私達は好きになり、皆空を探していたんだ!」
「私も同じよ。ずっと探してた空を見つけ再び会い空の状態を見た時、私の全てを注いで回させるつもりだった。
空にどんな過去があっても私は全て受け入れケアする。」
「私は四葉グループにいて商談でキャサリンに教えて貰って、まだお礼すら言えてないのよ。
勿論四葉は辞めて、これからはキャサリンの補佐をしながら空をサポートします。
空が家族として認めてくれるように尽くすわ」
美空は驚きの表情で3人を見つめる
菫は空にまだ知らない悲惨な過去があると知り風香に思いを伝える
「風香さん空ちゃんにまだ私の知らない事があるなら私が全て受け入れケアするから是非教えて欲しい。
私はあの時から空ちゃんの母親ですから…」
風香は楓も恵美理が目を見ると受け入れる覚悟があるとわかることがわかり、安心したように話し始める
「皆さんは大丈夫なようですのでお話しさせて頂きます。」
それから風香は空の徳島での生活を伝える。
性癖の歪んだ母親の再婚相手に散々性的虐待をされた事、それがどれほどの事だったかも包み隠さず伝える。
そして耐えきれず、手首を切り自殺しようとまでしたことも伝えると、美空は涙を流し始める。
そして母親が空を守るために、父親をつれ死ぬ覚悟でドライブに行き事故に合う。
その事故で両親共に亡くなった事等々を伝えると、皆涙を何度も脱ぐっていた。
「両親が亡くなってからは奈良の祖母の所に引き取られました。
そこでも親戚との間でいろいろあったみたいで、それは祖母が空を守ってくれたみたいです。
それからは菫さんがご存じのように、学校でも楓さんを守るために屑な男子学生の言いなりに暴行動画をネットにさらされるよなり、心の支えだった優しい祖母も亡くなり精神が壊れてしまった。」
菫がその時の状態を思い出すように話し始める
「楓から空ちゃんを助けて欲しいと泣きつかれ、空ちゃんの所に行ったらほんと酷い状態だったわ。
部屋は汚れ、電気もつけず虚ろな目で何を言っても空ちゃんは反応しなかったわ。
完全に精神が壊れてしまってた空ちゃん…
あの時の空ちゃんを最初軽い気持ちで援助していたわ。
部屋をかたずけて少し話しかけて、ご飯を作って置いて帰る。
ほんとに他人の子供の援助してるように普通に…
数日が経過しても全く食事にも手をつけず、ほとんど動いていない空…
だからオシッコもそのまま…
ほんと酷い状態だった…
私はあぁこの子死ぬ気なんだと思ったわ
横で必死に泣きながら空に呼び掛ける楓、空の服と下着を全部脱がせて身体をふき、着替えさせる楓を見て、私は決意したわ。
この子の壊れた心を戻すには、親として愛情を注がないとダメだと…
それから私は毎日が必死だった。
空ちゃんは何を作っても食べなくて、何を言っても反応なくて…
私は中途半端はダメだと決意したわ。
空ちゃんを助けるために、主人に事情を話し会社の事を全て任せ、空ちゃんの家に同居する事にしたわ。
空ちゃんに毎日話しかけ何とか食べてもらえるように工夫してご飯を食べさせ、お風呂も一緒に入り、少しでも状態が良くなればと返事しなくても毎日優しく話しかけた。ほんとあの時は毎日が大変だった…
それから私の事に答えてくれるようになり、徐々によくなり精神の不安定な空ちゃんは私の事を母親のように思って小さい子供のように甘えて来たわ。
その後空ちゃんは精神も安定し普通に接する事が出来るようになり、卒業するまでには何とか回復する事ができたのはほんと嬉しかった…
卒業式で空ちゃんが楓と一緒に歩いて来て、お母さんのおかげで空は卒業できた。ありがとうって言われた時涙が溢れて止まらなくなった…グスッ
その後空ちゃんは卒業して関東の会社に就職が決まり私の元を離れて行ったわ」
周りは菫の話を聞いて泣いている。
風香は空が酷い状態だったのは、事件からの押収した記録を見て知っていたが、実際に空の状態を聞いて涙が止まらなくなる。
自分は十分わかってるつもりだった…
しかし実際その事を見て、空の状態を回復させるのに苦労した菫の話を聞いて、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
風香は菫に謝罪し空をケアしてくれた事に感謝を述べる
「ぅぅ… 菫さん私は恥ずかしい…空の事は誰よりもわかってるつもりだった…
でも実際菫さんから空の状態を聞かされ恥ずかしくなった。
菫さんが心の壊れた空を時間をかけて寄り添い回復させてくれた。
そんな苦労も知らず私は恥ずかしい…
ごめんなさい…
そして空を救ってくれてありがとうございます…」
そう言って泣きながら風香は菫のてを握る。
菫も皆が見つめるので空への思いを語る
「私は人として当たり前の事をしただけです。ただ楓が空ちゃんにした行為は許されるものではありません。
だから楓の親としてなんとしても回復させないとと言う気持ちになりました。
でも実際は感情が入り過ぎ空ちゃんの家に寝泊まりし、一緒に食事を食べお風呂も入りました。
ほんとに大変だったから・・・
私にとって空ちゃんは自分の子供と同じ…
だから空ちゃんは私の子供としてこれからも接して行くつもりよ。」
菫は風香のてを取り立ち上がり話し出す
「ここにいる方々は皆空を愛してくれています。私も会う前の空ちゃんの事がわかってよかった。
皆さん私達は空に沢山優しさを頂きました。今度は私達が空ちゃんを沢山愛してあげませんか?
母として、妻として、愛人として、恋人として空を愛してあげましょう。」
それから菫達はこれからの事を話し合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます