第57話空の行方
空がバイクで出かけて数時間後、昼食を知らせにメイドの木蓮が部屋をノックする。
空は、たまたまメイドが屋敷の外へ買い出しに行ってる時に、バイクで出かけたため、誰もバイクで出て行った事を知らなかった。
「空ちゃん朝食ですよ。木蓮お姉ちゃんが食べさせてあげるから一緒に食べましょ」
あれ返事がない・・
「開けますよぉ・・・」
いない・・・テーブルにメモが・・
『天気がいいからリハビリ兼ねてツーリングに行って来まーす♪お土産も買って来るからね。』
え?何言ってるの空ちゃん!今日は午後から天気大荒れで台風並みの嵐になるって言ってるのに・・どうしよう。
空を大切に思う屋敷のメイド達は、念のため周辺を見て回るも見つからなかった。
屋敷のメイド達空の事が気になり不安ばかりがつのっていた。
メイドの責任者の城之崎は、何度も空の携帯に電話するもでない
「出ませんね。恐らく運転中でわからないのでしょう。
奥様は今日は午前中役員会議で連絡できませんから、終わるタイミングで会長秘書に私が電話しましょう。
他の者は空様がずぶ濡れで帰って来ると思いますから、お部屋を整えお風呂の準備もしておいてください。」
メイド達はいろいろ想定して動き出す。
時間は経過し午後になるも空に連絡がつかないので、メイド長の城之崎は会長秘書の水上に電話をする。
「水上様城之崎です。菫様に伝言をお願いします。
今日空様が朝からバイクでお出かけになり、天気の事もあるので心配で連絡してるのですが、連絡がついていません。
恐らく運転していて、気が付かないだけかと思います。」
「わかりました。お伝えします。何かありましたら連絡ください」
この時に限り会議が長引き、菫が会議室から出てきた時、外は雷が鳴り雨が激しく降り嵐のような天気になっていた。
会長室に戻った菫は、秘書からこの後の予定を聞かされる。
「会長お疲れさまでした。この後ですが昼食を取られてから14時から第2会議室で篠崎電子と・・・・・・・・・・・・」
はぁ~今日も早く帰れそうにないわね。
ちょっと空ちゃんの事でいろいろあったから、会社の事他の役員に任せてたから仕方ないわね。
菫が考え込んでいると、水上が何度も呼びかけているのに気が付き、慌てて答える
「ああごめんなさい。考え事してたわ。何か緊急みたいだけど何かあったの?」
秘書の水上が慌てたように言って来る
「はい!つい先ほど城之崎から連絡がありまして、空様の携帯に繋がらなくなったと・・・」
菫は何の事がわからず問いただす
「どういう事詳しく説明して!」
「はい!実は会長が会議中に城之崎から10時くらいに連絡があり、空様がバイクで出かけたと、それで今日は午後から天気が大荒れになるから心配で空さまに連絡してたそうなんですが、運転中でお出にならないと連絡がありました。」
「え?」
え?バイクで出掛けて連絡がつかない?
水上は菫の様子を見ながら報告を続ける。
「よろしいでしょうか? 」
「ごめんなさい続けてくれる」
「その後何度か経過報告があり、つい先ほどの連絡で携帯が全くつながらなくなったと・・
会長すぐに戻ってください!後の事は他の役員で対処いたします。
空様は会長にとってもサクラグループにとっても最重要な方です。」
菫は頷き急ぎ家に戻る
城之崎は冷静に対処してくれていて、梨香や真帆たちエイトクローバの家族にも状況を知らせてくれていた。
「奥様お帰りなさいませ。一応お風呂の準備も空様の部屋も整えてございます。
今現在も木蓮が携帯に連絡していますが、全くダメみたいです。
ネットワークシステムに詳しい水連が、今PCを操作して空様の携帯の位置を確認してますが、雨が降る前にいた場所から移動されたみたいで、今現在場所がわかっていません」
城之崎が報告した後警備員の木崎から連絡が入る
「木崎です。情報のあったパーキングに来て情報を集めましたが空様の目撃情報はございません。ただ・・」
口ごもる木崎にはっきり話すように命令する
「木崎ただなに!はっきり言いなさいどんな小さなことでもいいから言いなさい!
今は少しでも情報がほしい状態です。」
「瓶が割れてガラスの破片が散乱しています。その中にこの雨で薄くなっていますが血が広がっていました。
この状態からするとかなりの出血ではないかと・・これが空様の血と限りませんが、ただ追跡は難しいかと、このまま付近の捜索を続けます。」
考え込む城之崎に菫が問いかける
「どうしたの?何があったの?」
「さっき木崎からの報告で・・・・・」
「考えたくないけど可能性が生まれたわね・・・もし大量に出血してるなら早く見つけないと手遅れになる」
日も暮れ時間も経過し梨香たちも集まって来る。
状況を説明して真帆たちも空の行方をTITTAでつぶやいて情報を求めるも、今回は豪雨で皆出かけている人が少ないのか情報が集まらない
そこにキャサリンが帰って来る。
キャサリンは戻って来るとすぐに空の行方不明の件に、一条が絡んでいることを告げる。
しかし行方についてはわかっていないみたいだが、一条の口調から空は怪我をしてる可能性があることを伝える。
それを聞いた梨香は任せてといい連絡をとる。
普段はおちゃらけだけどこんな時はスゴク頼りになる妹なのよ。
特に空が絡んでたら本気になるはずだから
「風香ちゃん大事なお願いがあるの聞いてくれる。」
「空の事でしょ!何があったの!早く教えて姉さん!」
菫は真帆に尋ねる
「梨香さんは誰に電話してるのかしら?もう情報が集まらないのに・・」
真帆は安心したように答える
「こういう時に一番頼りになる空の護衛の警視庁広域捜査監察官安西風香警視です。」
梨香が皆に説明する
「今回の事は事件性があったから、一番信頼できる妹にお願いしたらかなり怒って電話を切られました。無茶しないといいんだけど・・・」
理沙がぼそり呟く
「一条は終りね・・」
その後何も情報がないまま時間だけが経過し、深夜1時を回った頃菫の携帯が鳴るその相手は楓だった。
楓がしゃべってるのを遮って私は空の事をまくしたててしまっていた。
「お母様楓です。じっ『あ!ちょうどよかったわ!貴方も探して頂戴!空ちゃんが朝から3輪バイクで出掛けたまままだ戻って来ないのよ!今て』…お母様落ち着いてください!」
私は完全にパニックになっていた。楓の言ってることも聞かず全く冷静になっていなかった。
私がしゃべって少し感覚をあけて楓が私を落ち着かせるように話してくる
「お母様落ち着いて聞いてください!空はここにいます!」
ピーポーピーポー
菫は楓がしゃべる後ろから救急車のサイレンが聞こえて来るのを聞き慌てて尋ねる。
「楓何があったの!教えて!救急車が近づいてるって事は何かあったの?」
楓は空を見つけた時の状況を話してくれた。
「実は美空とそっちに戻るために、遅くなったので川沿いの道を走らせてたら、土砂降りの中で、無人の道の駅で雨宿りしている人を美空が見つけたんです。
私は雨宿りしてるのだろうと思い、そのまま車を走らせてたら美空が、あの人様子がおかしいから戻ってと、言うから戻って来たら…」
「空だったのね。」
「はい…」
楓は泣いていて話死できる状態でない。私はしかりつけるもどうにもならなかった
「それでどうなの泣いてたらわからないでしょ!しっかりしなさい!」
すると娘が楓の携帯を取りあげ状況を説明をしてくれた。
「お婆様美空です。お母様に変わり私が説明致します。
ここにいらっしゃる方は、私達が到着した時は、既に身体が冷たく呼吸も弱い状態でした。
それに足も深く切っていてかなり出血している状態です。
低体温症だとお母様はおっしゃってましたが、この出血も原因ではないかと思います。
ほんとに酷いのでかなり危ないと思います。
今救急車が到着しました。
携帯は繋いだままにしておきます。」
ピーポーピーポー
娘は救急車が到着して隊員が降りて来て状況を説明して、隊員がタンカに載せ車に運び込み応急措置を施してると状況を詳しく説明してくれた。
私は孫の美空に病院を指定するように指示をする。
「美空そこの隊員さんに病院を指定して頂戴!楓はたぶんダメだろうから私に変わってくれたら話をするから」
「わかりましたお婆様」
電話を切った後梨香さん達にすぐに病院に向かってもらい私は恵美理と空のバイクの止まってた道の駅に向かった。
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