第58話美空の気持ち
お母さん・・
私はすぐに空に駆け寄る。
『身体が冷たい…まずい完全に低体温症だ。身体もあっちこっちに打撲の後があるしかも左足何か割れた瓶のガラスが刺さって血が流れ続けてる。
しかも全身傷だらけだし、右足もかなり腫れている…これはまずい。』
私はすぐに救急車を呼ぶと同時に菫お母様に連絡をした。
予想通り家では空が戻って来ないことで、みんなが手分けして探していたみたいだった。
「お母様楓です。じっ『あ!ちょうどよかったわ!貴方も探して頂戴!空ちゃんが朝から3輪バイクで出掛けたまままだ戻って来ないのよ!今て』…お母様落ち着いてください!」
完全にパニックになっている。確かに私も大事な空がいなくなったらパニックになるかな…
「お母様落ち着いて聞いてください!空はここにいます!」
ピーポーピーポー
私が話してると救急車がサイレンを鳴らし近づいて来る。
それが通話越しに聞こえたのかお母様が怒るような口調で話してくる
「楓何があったの!教えて!救急車が近づいてるって事は何かあったの?」
私は空を見つけた時の状況を話す。
「実は美空とそっちに戻るために、遅くなったので川沿いの道を走らせてたら、土砂降りの中で、無人の道の駅で雨宿りしている人を美空が見つけたんです。
私は雨宿りしてるのだろうと思い、そのまま車を走らせてたら美空が、あの人様子がおかしいから戻ってと、言うから戻って来たら…」
「空だったのね。」
「はい…」
私は、今にも死にそうな空を見て涙が止まらなくなる。
「それでどうなの泣いてたらわからないでしょ!しっかりしなさい!」
娘が私の携帯を取りあげる
「お婆様美空です。お母様に変わり私が説明致します。
ここにいらっしゃる方は、私達が到着した時は、既に身体が冷たく呼吸も弱い状態でした。
それに足も深く切っていてかなり出血している状態です。
低体温症だとお母様はおっしゃってましたが、この出血も原因ではないかと思います。
ほんとに酷いのでかなり危ないと思います。
今救急車が到着しました。
携帯は繋いだままにしておきます。」
ピーポーピーポー
救急車が到着して隊員が降りて来て状況を説明して、隊員がタンカに載せ車に運び込み応急措置を施す。
「美空そこの隊員さんに病院を指定して頂戴!楓はたぶんダメだろうから私に変わってくれたら話をするから」
「わかりましたお婆様」
娘がお母様とやり取りしてる間、私は空の手を握り身体を擦り続けた。
☆・☆・☆・美空視点
私は日本有数のサクラグループの創始者の孫娘笹本美空
家は、何人もお手伝いさんがいるくらい大きく、お母様は大きな会社の社長でお婆様も会社社長しかもその会社がいくつも集まったグループの社長です。
だから私は小さい時から何不自由なく暮らして来ました。
勉強も習い事も全て優秀を貰えるようにこなして来ました。
お母様もお婆様も優しく何も不満はありません。
ただ…私にはお父様がいません。
お母様は私が小さい時に亡くなったと聞かされ育ちました。
そのお母様が最近おかしいのです。
完全に恋する乙女のように凄く綺麗になってるのです。
私は察しました。お母様もついに好きな人ができて再婚するんだと…
でもお母様とお話してると少し違うような気がします。
何か隠してるけど凄く嬉しそうです。
前にお母様に好きな人ができたら再婚してくださいとお願いをしましたら、再婚はしないと、お母様は私のお父様以外の人とは再婚しないとハッキリおっしゃいました。
なのに最近はおかしいのです。
急に引っ越しすると言い出したり、お母様らしくありません。
お母様のあの決意からして、違う男性を好きになることは考えられない…
今そのお婆様の家に向かってる。
お母様は、早く帰りたいのか私を連れ日付が変わってるのにもかかわらず車を走らせる
何この恋する女性のような態度は…
ほんとに嬉しそう…
まさかお父様が生きているの?
それ以外考えられない…
そして私が何気なく窓の外を見ててあれ?って思ってお母様に告げる
「お母様あそこの駐車場にバイクが止まってました。近くの屋根の下に人がいました。」
お母様は気にも止めず言葉にする
「それならこの雨だもの雨宿りしてるのでしょ。さぁ行きますよ。」
お母様は、そう言って車を走らせる
私はバイクの止め方、伏せていた方の状態をよく思い出して考える
あの状態はやっぱり変な感じがします。
「お母様やはりおかしいです。申し訳ございませんが戻って下さいませ。」
私が普段大きな声を出さないのにこの時ばかりは自然と出てしまってました。
何故でしょうか…
車はすぐに引き返し、バイクの横に車を止めテーブルに伏せている人に近づいた時、お母様が立ち止まる。
何かここにいたらダメな人を見たように呆然と立ちつくしていた。
私は眠っている人に近づくと、あれこの人誰かに似てる…って今はそんな事考えない。
私は眠ってる人に話しかける
しかし返事はない…
私は身体に触れると
「冷たい!えっ!死んでる?」
いえ弱々しいですが脈はあります。
私はお母様を呼びます。
「お母様!」
ん?何驚いた顔してるのですか?もう一度呼びます。
「お母様!早くこの方を病院に!」
どうされたのですか?普段冷静なお母様がこの方を見ての取り乱しよう…
え?まさかこの方が私のお父様…
お母様を捨てた?だから私に死んだと言っていた…
私は知っているし聞かされた。
お母様が私を育てながら、お婆様から与えられた会社を、大変な苦労してここまで大きくしたのを…
なのにこの人はバイクでドライブですか?
どうせ絡まれ怪我でもしてんでしょ。
フン!自業自得ね。もし貴方が私のお父様なら私は認めない!
何でお母様!あんなに苦労してたのに…
この人がいない事で大変だったのに何で…
こんなやつほんとに死んじゃえばいいんだ!
私は冷ややかな目で見ていると、お母様は救急車を呼びお婆様に連絡していた。
空と言う名前が出て来るのを聞いて、確信した。
この人は私のお父様なんだと…私とお母様を捨てた屑なんだと…
なのにお母様は完全にパニックになっていて、まともに話のできる状態ではなかった。
仕方なく私がお母様の携帯を取り上げ、代わりに私がお婆様と話をした。
「お婆様美空です。お母様に変わり私が説明致します。
ここにいらっしゃる方は、私達が到着した時は、既に身体が冷たく呼吸も弱い状態でした。
それに足も深く切っていてかなり出血している状態です。
低体温症だとお母様はおっしゃってましたが、この出血も原因ではないかと思います。
ほんとに酷いのでかなり危ないと思います。
今救急車が到着しました。
携帯は繋いだままにしておきます。」
ピーポーピーポー
救急車が到着して隊員が降りて来てお母様が状況を説明して、隊員がタンカに載せ車に運び込み応急措置を施している。
「美空そこの隊員さんに病院を指定して頂戴!楓はたぶんダメだろうから私に変わってくれたら話をするから」
「わかりましたお婆様」
私がお婆様とやり取りしてる間、お母様はあの屑の手を握り身体を擦り続けている。
お母様はそれほど大事な人なの?捨てられたんだよ!
私は許さないから!
その後救急隊員にお婆様の指定した病院を告げると、隊員さんはすぐに連絡を取り、受け入れてくれるから急ぎ搬送します。と言ってくれた。
お母様はすぐに車でお婆様の指定した病院に向かう救急車は信号を止まらず走っていくので私達は後から追いかけた。
私はお母様の代わりにあの屑の乗っていたバイクの事をお婆様に報告した。
お婆様は後から引き取りに向かわせると言い、屑の荷物だけ持って来て欲しいと言われ、ずぶ濡れになった荷物をトランクに入れた。
でもあのお婆様まで必死なのはびっくり、お母様が苦労してるの知ってるのに…
何でお母様を捨てた屑を大切にするの?
もう訳わからない…
私はお母様が救急車の後を事故らないように励まし続けた。
救急車は無事おばあさまの指定した病院に到着しすぐに緊急手術が行われた。
暫くして知らない人達が大勢病院に来てお母様に詰め寄っていた。
「空はどうなんですか?」
お母様はとてもしゃべれる状態ではなかった。
あの人の状態を見たら生きてるのが不思議なくらいだったから・・
仕方なく私が説明した
「娘の美空です。母は話せる状態でないので、あの方の状態は私が説明します。
私達があの方を発見し到着した時は、既に身体が冷たく呼吸も弱い状態でした。
それに足も深く切っていてかなり出血している状態で危険な状態だったと思います。」
集まった人たちは皆凄い美人で雑誌でよく見るモデルさんもいた。
その方々が私の説明を聞いて泣き崩れる人もいた。中には私にどうしてあんなところにいたのか聞いて来る人もいた。
私はたまたまあの道を通った時にたまたま見かけただけで、わからないと答えた。
あの方はこの人たちにとって凄く大切な方なんだと嫌でも感じた。
でもあの人はたぶんお母様の大切な人でも私が生まれてるのに何も言って来なくて他にもこんな綺麗な女性の恋人がいる・・
許せない!お母様はきっと騙されている!
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