第55話空はまたトラブルに巻き込まれる
いろいろ話し合ってキャサリンさんは、日本に滞在中はこの家にいることになった。
できるだけボクと一緒にいたいらしい。
あれから3日経って、キャサリンはソラがいる生活が、今までにない幸福感でいっぱいになり、本格的に日本に生活拠点を移す事を考え行動していた。
キャサリンは既に予定してた仕事は全て終えて、今は自分の将来のためにアメリカに帰国する日まで、動き回っていた。
菫さん達も仕事が忙しくなり今日は朝早くから出掛けた。
キャサリンさんはTV局で取材があっていない。
真帆も志保も撮影でいない…
梨香さんと、紫苑、理沙、百合は次の旅雑誌の打ち合わせと、近郊の鉄道の取材で出掛てる。
しかしこうもみんなの予定が入るなんて、忙しいのはいいことだね。
クリスさんもさっきメッセージ入って、知り合いが日本に来てるから出かけるって連絡来た。
珍しくボク一人か、メイドさんも少し買い物に出て来ますと言っていないし、ボクは家でのんびり…
じゃなくリハビリ兼ねて、バイクでツーリングでも行こうかな。
菫お母さんはやりたいとこしていいって言ってたしね。
よし!ならすぐに準備だ。
ボクは、男の子の服装に着替えて出掛けた。
女の子の格好は安心できるから着替えたくなかったけど、変な人に絡まれたくないから、この格好なら大丈夫かな?
肌を露出させないように長袖服にジーンズ、髪は切りたくないから後ろで束ねただけ、ポニーテールにしたら可愛くなるからたぶんダメだ。
黒のフレームの眼鏡かけて…うん♪完ぺきだね。
これなら可愛く見えないね。リュックに荷物入れたし、リビングにメモ残したし、じゃ行って来まーす。
『天気がいいからリハビリ兼ねてツーリングに行って来まーす♪お土産も買って来るからね。』
ドルン…
ボクは、海岸線に出て海沿いに走る国道を岬を目指してバイクを走らせた。
ドルルル…
風が気持ちいい…
でも交通量が多いからボクのバイクが遅く渋滞ぎみになってる。
40kmしか出てないから片側1車線じゃ渋滞するよね。
一応車線ギリギリ寄ってるつもりだけど…
パーーーン!
「☆%δα…!」
何かわけわからない言葉を浴びせて追い抜いて行く車も何台かあった。
ぼくはルートを見直すために自販機が置かれてる簡易パーキングの駐車場にバイクを止めた。
すると少しして車が入って来てバイクの近くに車を止めた。
運転していた人が車から降りてきて飲んでいた瓶をボクに投げつける。
「君トロイんだよ!」
ヒユン
当然よけると瓶は道路にあたり割れる
『なんなのこの人!』
怒りながらスーツ姿の男性はボクの方に歩いて来る。
何だろうって思ってたら、ボクを指さし起こってくる
「君はなんだ!何であんなゆっくり走る!迷惑極まりない!
君のせいで大渋滞だ!
私も大事な打ち合わせに遅れるしどうしてくれるのかね。」
うわーカンカンに怒ってる…
打ち合わせに遅れるって言われてもボク法定速度で走ってたし、それより打ち合わせに遅れるのにボクに文句言ってる場合じゃないでしょ?
さっさと行けば!ばーか
「あのボク障害あってあんましスピードあげると、身体に負担かかるので、あれ以上早く走れません。それに法定速度で走ってるから文句言われる筋合いないんですけど・・」
ボクは、バイクを降りてバイクの横に立ち近寄って来た男の人に正論を述べた。
男の人はボクを睨みとんでもないことを言って足を蹴ってくる。
「フン!ほんとに障害があるか確めてやる。嘘かも知れないからな!」
はぁ?何言ってるのこの人
ドカ!
ボクは膝を蹴られ疼くまる。
うう…
「フン!ほんとうみたいだな!しかしこれってオートマチックだろ!
ならアクセルあけるだけじゃねえか!」
酷い…
「右手も握力弱くてあの速度で走るのが、限界なの…」
男はボクをじっと見つめてくる。
「何が限界なのだ!じゃ確めてやるよ!」
そう言ってボクの手を強く握って来る。
ボクはあまりの痛さに叫ぶ
「痛い!痛い!やめてぇーーー!」
「お前女だったのか!顔にわからないように化粧して眼鏡までかけて、素顔見せろ!」
ボクの眼鏡を無理やり取り投げ捨てる
「こんなの邪魔だ!」
ポイ!
投げられたボクの眼鏡は10m以上滑って止まる
「酷い…」
足と手を傷めつけられ疼くまるボクに顔を向けるように言って来る
「おい!こっち向け!」
ボクが顔を向けると『ガシャ』とスマホのシャッター音がする
「お前の謝罪写メで許してやる。足元で土下座しろ!」
「ボクは悪くないのでできません!」
ボクが断ると男の人は怒りボクを蹴りあげる
「君がトロトロ走るのが悪いと言ってるんだよ!」
ドカッ
ボクは2mほど吹き飛び地面に叩きつけられる。その時男がここに来てすぐに投げつけて割れた瓶が太ももに数ヶ所深く刺さる
ザクザクザク・・
ぅう…
「待って!貴方が割った瓶が刺さったの…ぅぅお願いとって…」
「ハハハそんなの知らないね。どこだよ。」
ドカッ
ドカッ
ぐぅ・・
男は知っててガラス瓶が刺さってる場所を蹴って立ち去る
「フン!私は急ぐので失礼するよ。」
男は車に乗り込み走り去って行った。
ボクは足を蹴られ立ち上がる事が出来ず、左足に割れた瓶が深く刺さってかなり出血して歩くことができない。
ボクは這いつくばって投げられた眼鏡を拾いバイクまで戻ってくる。
はぁはぁ…
服もジーンズもボロボロだ…
いっぱい血も出てるしヤバいかも…
早く帰って手当てしないと…
どうしょう…家からここまで気持ちよすぎて3時間近く走って来たけど、まさかこんな事になるなんて…
この状態じゃバイク運転出来ないかな…足も手も力入らないし…
出血もかなりしてるから、早くしないと…
何か空が黒くなってる…そう言えば天気予報確認してなかった。
まずい雨が降って来そう・・・
ボクは慌てて携帯を取り出し家に電話しょうとした時、凄い音がした瞬間空に稲妻が走る。
ピカー
ドーーン
わっ!雷
そのショックで驚き携帯を落としてしまう
ヤバい…
その時ポツリと雨があたり始めすぐに土砂降りの大雨になる。
ヤバいヤバい!携帯がぁ…
バイクの下に入った携帯は身体にダメージのある今のボクはなかなか取る事が出来なかった。
雨は酷くなり豪雨になった。あっという間に、水溜まりができ携帯も完全に水没してしまっていた。
ずぶ濡れになりながら携帯をつかみ、確認するとやはり完全に壊れてしまっていた。
ガックリ肩を落としボクは鞄からレインコートを取り出し、ずぶ濡れの服の上から羽織ろうとしたけど風が強く吹きコートが飛んで行く。
はぁー握力ないから・・仕方ないか・・その後時間をかけて何とかバイクにまたがりる。
誰か来たら助けてもらうのにこんな時に限り誰も来ない・・
はぁはぁ・・・なんとか乗れた。
仕方ない諦めてゆっくり走れば何とかなるかな、後は腕だけだから何とか走れる・・
かなりゆっくりの速度だけど今はこれが限界・・スロットルをゆっくり動かしバイクを走らせる。
追突されるの嫌だからウインカーを点灯させながらゆっくり走る。
ドルルル…
雨は激しく降り続ける。次第に視界は悪くなり道路標識も雨が強く見る事が出来なくなる。
ボクは、走ってきた道を思い出しながら走る。
確かこの大きな橋を曲がって来たような…
橋を渡り川沿いの道を走る。
どこか雨宿りできるところ探さないと、もう体力も限界…腕も足も痛しガラスが刺さってるところからも血が流れ続けてる…
ヤバいふらふらしてきた。
ボクは、限界に近い体力を振り絞り速度を上げる
どれくらい走ったかわからないけど、川沿いに屋根のある道の駅のようなところが見え、すぐにバイクを止め屋根の下にあるベンチに座る。
雨は風も強くなり横なぐりになる。
屋根の下にあるベンチもテーブルもビショビショだ。
今のボクはただ疲れた身体を休めたかった。
寒い…もう力も入らない…
ボクはテーブルの上に倒れ込む。
ああ…これ変な格好だ…上半身だけテーブルの上って…
椅子に座れてないや…もう起きる力もないや……
はぁーみんな心配してるだろうな…
またやっちゃた…
菫お母さんや梨香母さんに叱られるなぁ…
今何時だろ…
寒い…
もう…
お母さん…
…………………
……………
………
☆・☆・☆・・・・
東京から千葉に向かう一台の車が国道をはずれ川沿いの県道を走る
豪雨の中車内では親子のほのぼのとした会話の中車は速度を落とし走る
ブロロ…
「ごめんなさいね。美空こんなに遅くなっちゃて、会議が長引いてしまったから…」
「お母様はお仕事なんですから、謝らないで下さい。
私は新しいお家で菫お婆様と一緒に暮らせるのが楽しみなんです。」
「遅くなったから近道するわね。この道は川沿いの道で、走りにくいから車の通りも少ないのよ。
ただ道があまりよくないから気分悪くなったら言うのよ。」
親子の乗る車は雨が降りしきる川沿いの県道を水飛沫をあげながら普段より速度を落とし走っていく、時間は深夜1時を過ぎようとした。
川沿いの道の駅が見えたその時助手席の娘が声をあげる
「あれ?お母様止まって下さい!」
娘の叫ぶような声に母親は車を止める
「どうしたの?美空!」
娘は後ろをさして車を戻すように言う
「お母様あそこの駐車場にバイクが止まってました。近くの屋根の下に人がいました。」
「それならこの雨だもの雨宿りしてるのでしょ。さぁ行きますよ。」
母親は、そう言って車を再び走らせる
その間娘はずっと考え込むそして運転する母親に強い言葉で言う
「お母様急いで引き返して下さい!あの方死んでるかも知れません!」
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