第51話ハリウッド女優キャサリン・リモワール

私はキャサリン・リモワール、今度主演で出演した映画のPRと、自身のブランドリモワの販売路の確保のために日本に来た。


キャサリン・リモワールは若くして超有名なハリウッド女優だ。

彼女の出演する映画全て大ヒットし、彼女が立ち上げたファッションブランドは自身が広告塔になり、若い世代に爆発的に広まる。

自身のブランド☆リモワ☆今やその年商は1000億を超えるまで成長していた。


そのリモワのCEOでもあるキャサリンは、念願の日本でも販売拠点を築くために提携先を模索していた。


四つ葉グループのファッションブランドのフタバが、いち早く提携に名乗りをあげ、キャサリンとの交渉に望んでいた。


交渉はキャサリンにとって破格で、好印象を与えていた。

交渉も終わり結果は後日伝えると告げた。


その後四つ葉グループの食事に招かれ、その席でやたら絡んでくる男がいた。


「貴方のような美しく素晴らしい女性に出会えて私は幸運です。

この素晴らしい出会いに乾杯しょう。ミス・キャサリン………」


学歴と容姿に自信のある一条は得意のトークでキャサリンを口説こうと必要以上に話しかける




『何こいつ!どんな自信家なの?確かに容姿は問題ないわね。

しかし私は、ハリウッド女優であり、有名ブランドのCEOよ!

わかってて私を口説いてるの?

ほんとたいした自信家ね、もういいわ』


「ごめんなさい一条だったかしら?私はこの後も予定があるのよ、失礼するわ」


私がこの後の誘いを断ったら、凄く睨んでるわね。あら?私の付人を誘ってる?

なるほどね


アイシャを落として私の情報得るつもりかしら?

まぁあの子なら心配いらないわね。


☆……☆……☆☆


ホテルのラウンジには、一条とアイシャがテーブル席で楽しそうに飲んでいた。


一条はアイシャを口説き落とすのに必死になっていた。


「君のような美しい素晴らしい女性が、何故キャサリンの、マネージャー何かしてるんだ?」


『一条様、ジョークがお好きなんですね。フフフ』


すると一条は、アイシャの手を握り、自分にたぐり寄せる


アイシャと一条の距離は一気に縮まり、キスができそうなところまで近づく


一条は、抵抗しなかったのをみて、行けると確信して、甘い言葉を囁きながら、キスを迫る。


アイシャは、にっこり笑い


『一条様このような行為、変な噂が立ちますわよ。

私も愛する人がいますので、これ以上はちょっと…

明日はいろいろとスケジュールが詰まってますので、この辺で失礼しますわ。』


一条は焦りながら謝罪をする


『すまない君が美しいのがいけないんだ…』


『あらありがとう…では、』


アイシャは、1時間ずっとうんざりするほど口説かれ、かなりストレスがたまっていた。


『あの男何!会話になりにくいように、ずっと英語でしゃべってたのに、ほんとうんざりだわ』


あら?ここは、どこ?

ちょっと飲み過ぎたかな?


あまりにもムカついてホテルを飛びだしたのはまずかったかな…


あの男も慌てて追いかけて来てたから、夢中で走ったからどこかわからなくなったわ。


まぁタクシーつかまえれば、ホテルに帰れるし、この道大きいから問題ないでしょ


私はこの時、この通りがほとんどタクシーが通らない事を知らなかった。


『うーんタクシー来ないなぁ…携帯も充電切れちゃたし、困った…』


結構歩いたけど…ダメだ疲れて眠くなってきた…

あそこにベンチがある…


『はぁ…疲れた』


私がベンチに座り込んでると、三輪のスクーターに乗った小柄な女の子が私の前にきた。


「お姉さんどうしたのですか?」


私は、英語で答えると、その子も英語で返してくれた。


『お姉さん道がわからないのですか?』


『ちょっとお誘い受けて、ラウンジで飲んでたんだけど、帰り道わからなくなったの。

このホテル知ってるかな?』


私は女の子にホテルの名前を言った。


『グランシャリア成田知ってるかな?』


『はい!知ってます。』


助かったぁーそうだ!その前にキャサリンに連絡しなきゃ、心配してるよ


『ごめんなさい、あなたお名前何て言うのかしら?』


女の子は少し間があってから答えてくれた。


『瑞樹ソラです。』


『ミズキちゃんお姉さんは、アイシャって言うの、パートナーが心配してるので連絡取りたいんだけど、携帯この状態なの。

もしよかったら、あなたの携帯貸してくれるかしら?』


女の子は気持ちよく貸してくれた。


『はいどうぞ!』


『キャサリン出てくれるかしら…知らない番号だから』


私は祈る気持ちでかけた。


トゥルルルル…


『はいどちら様?』


『キャサリン!私アイシャよ!』


私は状況を説明した。キャサリンは凄く怒っていて、四つ葉の男は許せない!って何度も怒鳴ってた。

私はキャサリンをなだめながら、今一緒にいる女の子に携帯でタクシーを呼んで貰って、帰る事でキャサリンを納得させた。


『アイシャ!今いる女の子に代わって!』


『ちょっと!キャサリン怒ってない?この子関係ないからね。!』


とりあえずその子に携帯を渡して話して貰った。


『アイシャと連絡とれた事は感謝してるわ、携帯でタクシー呼ぶ時変なところに連絡しないで!

アイシャが無事帰らなかったら、追跡して警察に捕まえて貰うから!

それとこの通話終わったら番号の履歴消しなさい!』


女の子はかなりきつく言われ少し落ち込んでいた。


私は必死に謝罪した。


『ごめんなさい!あの子私の事ほんと心配しているから許してほしいの』


女の子は優しく頷いて、私にバイクの後ろに乗るように言う。


『お姉さんに何かあると大変みたいだから、ボクがホテルまで送ります。

ただボク身体にハンデがあるから、あまり早く走れないから…』


これ障害者用に、改造してあるバイクなんだ…

たぶん相当きつい事言われてるはずなのに、この子ほんといい子だわ


私は女の子の後ろに乗った。

バイクはほんとゆっくりと走る


ドルルルル…


これって時速40km出てないような…

ほんと大変そう…


結局1時間くらいかかって無事ホテルに着いた。

私はお礼がしたいからとホテルの中に入るように言ったが、頑なに拒否され、連絡先も教えてくれなかった。


女の子は、私を降ろしてすぐに帰って行った。

私がその姿を消えるまで見送ってると、キャサリンがホテルから飛び出て来た。


『アイシャ無事でよかったわ、あの子ちゃんとタクシー呼んだみたいね。』


私は首を振りここまで女の子のバイクで送って貰った事を伝えた。

その子は、身体に障害を持っていて、凄く優しい子だった事を告げた。


それを聞いてキャサリンは、凄く反省して、女の子に酷い事を言ってしまった事を後悔していた。


『はぁーやっちゃった…アイシャが男に口説かれてたと聞いて、冷静でなかった…

完全に八つ当たりだと…』


私が落ち込んでると、親友のクリスから連絡がくる。


『キャサリン久しぶり!あなたが今日本に来てるの知って連絡したのよ』


『クリスそれどういう事?もしかして貴方も日本に来てるの?』


『そうよ、もう半年以上経つわ、私ね、今一人の可愛い女の子のリハビリのサポートしてるのよ』


『あなたがサポートするなら相当のお金持ちか一流のアスリートかしら?』


『アハハお金持ちは当たってるかも、でも私がこの依頼を受けた金額は、私の引き受ける金額の50分の一なの』


『はぁー?どういう事よ!』


『フフフこれを見れば納得するはずよ』


クリスから写メが送られてくる、


ブーン


【写メ画像】


私はその写メを見て涙が溢れて来た。そう写メは私が探してた女の子だった。


『クリスずるい!何で…

私もずっと探してたの知ってたくせに…

私達の恩人の王子様…のような女の子…』


『ごめんねキャサリン…この子に会いたい?』


クリスの言葉に私はすぐに返事をした。


『クリス!何言ってるの!会えるならすぐにでも行く!予定何か全てキャンセルするわ!』


『わかったわ!会えるようにしてあげるから、ちょっと待ってて』


一旦通話は、切れる。

私は嬉しくて、クリスからの連絡が来るのをそわそわしながら待ち続けた。


そんな私を見てアイシャが微笑みながら話しかける


『キャサリン凄く嬉しそうですね。何かあったのですか?』


私はアイシャに以前から言っていた。女の子が見つかった事を話した。


『キャサリンの想い人が見つかったのですね。よかった…

私も嬉しいです。』


『ありがとうアイシャ…やっとだ…あの子にあえるグス』


私はまた涙を流す。

それをアイシャが私を抱きしめながら手でぬぐってくれる。


『ほんとよかったです。キャサリン…』


絶望的な中に飛び込んで来て私達を助けてくれた。

王子様…酷い目にあって傷ついてる私達を気遣い優しくしてくれた。

私の大好きな人やっと会える…

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